2021.3.23 忘れ物ない?

ローカル線の車窓から菜の花を眺め、春のお出かけ…ではなく、産業医の仕事先に向かいます。

 

何回か訪問するうちに、新米産業医(院長)と安全衛生委員長(店長さん)との距離も近づいてきたような…

 

まずは、直近の安全衛生委員会での議事について確認します。

安全衛生委員会は、政令で定める規模の事業場ごとに設置が義務付けられていて、業種に関わらず常時50名以上の労働者を使用する事業場が該当します。

委員長をトップに、会社側から安全管理者・衛生管理者・メンタルヘルス推進担当者・産業医が選任されています。

労働者側からの参加もあります。

月別の課題や労働災害の発生状況の確認、ヒヤリハット、改善・注意点、コロナウイルス感染対策関連やメンタルヘルス不調者の確認など多岐にわたります。

初めて知る業界用語も多く、新鮮です。

 

また、店長始め、スタッフからの質問も受け付けます。

今回は、新型コロナウイルスワクチンの接種についていくつか質問を受けました。

また、事務所の保健室的な利用については、小さなささくれ程度は別として、内服薬(店内併設の薬局の市販薬)などを渡す際は、体調不良の状況などを記録するよう助言しました。

 

毎回の職場巡視は、少しづつ慣れてきましたが、産業医が気付く前に、同行の店長さんが気付き指摘することが多いです。

さすが、毎日現場に立つ現場の責任者です。

 

全社挙げて、大掛かりな2S(整理整頓)がなされ、ビフォーアフターの写真も見せてもらいました。

棚の最上段には、危険を知らせる黄色と黒のテープが貼ってあり、落下防止のために物を載せないような注意喚起のサインも視覚化されていました。

惣菜揚げ物部門では、使い捨てのアームカバーを付けて作業。

紙マットも毎日替えることで、転倒防止になっています。

店全体として、改善事項に取り組み、実行されているのを見ると、産業医として、嬉しくなります。

 

このスーパーのベーカリーコーナーは、形成生地が届き、店内で焼成だけします。

昔、パン教室で習っていたのとは大違いの業務用オーブンです。

この部門も、大きなオーブンから、奥のパンを取り出すときなど、火傷に注意です。

天板も大きく、パンの数も多いので、重さのバランスも難しい。

腕まくりをしたほうが作業はしやすいようですが、火傷の心配が…

これも改善を考えます。

 

店内の改装・修理はもちろん、バックヤードについても、店舗の売り上げ規模により、本社から予算が配分されるそう。

近くには競合店もあり、売り上げ増も大変です。

 

帰り際、事務所に厳重に管理された『落とし物』コーナーが目に付きました。

中身を見せてもらうと、トイレットペーパー、キッチンペーパー、洗剤、ポテトチップス、カレー粉、ジュース、マヨネーズなどなど。

全て、店内のレジ台で忘れられていたもの。

こんな大きなもの、忘れる?

帰宅して忘れ物に気づいたら、お店に問い合わせないの?

もしかして、買ったことも忘れていたりして?と、びっくり。

けっこうな量になるそうで、すべてを、毎回、警察に届けます。

現金やカードなどは、警察保管ですが、かさばるものは、店内に持ち帰って保管。

保管期限が過ぎると、また店長が警察に出向いて…

 

買い物をしたら、最後に、レジカゴに何も残っていないか確認しましょう。

家に帰って唖然とするのも、お店の手間も減らせます。

カテゴリー:健康 産業医

2021.2.9  人間ドック

毎年秋に受ける人間ドック(ドック)をキャンセルしていた院長。

『がん検診を受ける人が前年比3割減に伴い、受診者の減少で1万人以上のがんが未発見』という調査結果を知り、すぐに再予約。

 

ドックの前日もしくは数日前から節制をする人も多いと思いますが、普段の自分の身体の調子を確認するのがドックです。

普段の診療でも、受診数日前だけ内服や点眼をしっかりするとか、節制をして、診察や血液検査に臨む患者さんがいますが『ありのまま』が大事。

院長も、その辺りは心得ているので、前日は普段通りの夕食、アルコールもいつも通り。

 

ドックの朝の絶食は、朝食ガッツリ派としてはつらいところですが、その分昼食が楽しみです。

検査着に着替えると、『全部お任せします~』の受け身に転身。

いつもは診療する能動的な立場なので、逆な立場は新鮮でちょっと楽しい体験です。

もちろん、病気の検査ではなく、健康人の人間ドックだからこそですが。

 

眼底検査では、昔は、高血圧や動脈硬化の程度を主に判定していましたが、近年は、緑内障の早期発見に力を入れて判読されています。

眼科検査項目は、自院(自分)でもできますが、被検者の立場を年に一回体験するのも勉強になります。

 

いつものように、緊張感高まる胃カメラ。

経鼻胃カメラは、経口よりは楽になったものの、ドック項目の中では唯一苦手。

毎年、自分より年上と思しき男性医師が担当。

なのに、現れたのは、30代小柄で可愛い女性医師。

専門医取って間もないくらい?

看護師さんに背中をさすってもらうくらい、毎度の苦行ですが、いつもより気分的に楽だったような…

説明もわかりやすく丁寧でした。

まだ若いけれど(経験浅そうだけど…)…と同性、同業でも少々先入観があった院長です。

きっと、自分もその年代の頃、患者さんに思われていたことでしょう。

どんどん経験を積んで、エキスパートの道を進んでください!応援しています!と、先輩オバサン医師からのエールです。

 

さて、お楽しみのお昼。

ランチタイムまで時間があったので立ち寄ったスーパーで目に留まったのはいちご。

ふんだんにいちごを使って、フルーツサンドを作ろう!

いちご・キウイ・サンドイッチ用食パン・生クリーム(もちろん動物性)購入。

生クリームを砂糖と泡立て軽いホイップクリームを作ります。

薄いサンドイッチパンに、クリームをたっぷり塗布。

丸ごといちごをカットしたときに美しくなるよう並べます。

間にキウイも。

 

銀座Sのフルーツサンドが浮かびます。

初めて食べたのは、ちょうど胃カメラの女医さんくらいの若き日。

眼科専門医として少し自信がついてきた頃。

きれいに並んでいる一口サイズのサンドイッチ。

上品に散りばめられた果物とクリームのコントラストにうっとり。

S(もどき)バージョンも作成。

 

さて、包丁で切り、お皿に並べてみると…

『映え』って、こういうことね~

三角に切って果物を前面に押し出す今風の映えバージョンと、果物が控えめに顔を出す老舗バージョン。

おやつとスイーツ、同じようだけどニュアンスの違いみたいな。

 

絶食明けなのと、具が軽いだけあって、どんどん行けます。

こんなに思う存分フルーツサンドを食べたのは初めて。

しかし…

食べた気がしない。

肉が食べたい!

結局、肉を焼くことに…

甘いものだけで満足出来たあの頃の私は何処に?

そして、ドックの結果は如何に?

 

 

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事

2021.2.2  2週間前

今年は2月17日。

日本気象協会による名古屋のスギ花粉飛散開始予測日です。

昨年の飛散が少なかったため、昨年比では、東海地方は非常に多い予想です。

とはいえ、例年よりはやや少ない予想です。

 

昨年からの流れで、マスクは風邪や花粉症の時だけでなく、常用する習慣になっている私たち。

この流れで行くと、何もしなくてもよいのか?と言うと、やはりスギ花粉症対策・治療は必要になってきます。

 

花粉症患者さんは鼻と眼に症状が現れることが特徴です。

アレルギー性鼻炎とアレルギー性結膜炎。

アレルギー性鼻炎の3大症状としては、『くしゃみ』『鼻汁(はなみず)』『鼻閉(はなづまり)』。

アレルギー性結膜炎の主訴は『掻痒(かゆみ)』

その他、『充血』『違和感(ゴロゴロ)』

いずれも、日常生活の質(QOL)を落とす不快な症状です。

 

今年も最新の花粉症についての勉強会。

もちろんオンラインです。

 

周知されてきましたが、花粉症の対策は、花粉飛散日前に!発症前に!が基本になっています。

『初期療法』と言います。

飛散開始日は、花粉がある一定量以上飛散する日なので、飛散開始日以前でも、ムズムズしたりかゆくなる人はあります。

当院の患者さんも、花粉症レギュラー(毎年花粉症で来院)の方は、1か月~2週間前に来院されます。

 

眼科なので、主に目の症状の訴えが多いのですが、鼻炎の併発ももちろんあります。

最近は、ステロイドの鼻噴霧薬が発症を遅らせることがわかってきました。

ただし、誤った使用方法で、眼圧が上がってしまったという報告もあるので、眼科での眼圧チェックは必要です。

 

眼科では、まずは、抗アレルギー薬の点眼を処方します。

スギ花粉飛散がどんどん多くなって、症状が出た時点で開始するよりも、飛散開始の2週間前から点眼するほうが、症状が軽く抑えられます。

自覚がないうちの『初期療法』です。

 

また、例えば、1日4回処方の点眼薬を、かゆみが出たときに4回点眼するよりも、かゆみが出ていなくても間隔をあけて4回点眼することで、かゆみのコントロールができます。

かゆみなどの症状がひどくなってからより、症状のピーク前に使用することが肝心です。

抗アレルギー点眼薬で効果がない場合は、ステロイド点眼薬を処方します。

ステロイドは、とても良く効くのですが、時にステロイドで眼圧が上がってしまう人がいるので注意です。

眼科医は、ステロイドを処方したら、必ず眼圧チェックをします。

他科でステロイドを処方されていて、いつのまにか眼圧が上がって緑内障になっていた…という悲惨な症例もあります。

もし、他科でステロイドを処方されていたら、たとえ、薬が効いていても、眼科医に眼の所見と併せて眼圧チェックをしてもらうことをお勧めします。

 

マスク常用の毎日。

花粉症予防には一役かっていますが、それでも発症してしまうもの。

くしゃみをしたら白い目で見られる昨今。

『花粉症です』のお知らせバッジも市販されているそう。

世知辛い世の中ですが、検討の余地も…

あらぬ疑いをされないように、早めの対策を。

でも、くしゃみだって赤い目(充血)だって、花粉症と診断されているなら、白い目を跳ね返したっていいんです!

 

今なら、2週間前ですよ!

カテゴリー:健康 眼に関すること

2021.1.26  サンギョーイ

産業医1年生の院長です。

出務日が近づくと、産業医関連の本を読み返し、前回の振り返りをして、当日のシュミレーション。

ハンドブックを持参するあたり、研修医1年目の初めての外勤(アルバイト)のよう。

外勤先で一人診療のとき『何かあったらどうしよう?』と心配が大きかったのですが、産業医1年目の今、『何かあっても、何とかなる(出来る)でしょう』の心持ちなのは、医師としての長い実務経験・知識から体得したものだと思います。

 

いつも少し早めに到着する院長。

職場のスーパーをひととおり、お客として巡回します。

広くてきれいな店内です。

お値打ち品も多々。

インフォメーションコーナーで取り次ぐように言われています。

『あの~本日〇時に〇店長さんとお約束した産業医の長谷川ですが…』

担当のオバサン(院長と同年代)は、声をかけてきたオバサン(院長)を見て『少々お待ちください』

早速、内線電話をかけ始めました。

『サンギョーイのハセガワさんが店長に面会です』おそらく事務所とのやり取り。

しばし、傍で直立不動の院長。

『え~!?センセイなの?わかりました』

きちんとした身だしなみの正体不明なオバサン(院長)は、『サンギョーイ』という意味不明な会社?の営業ではなくて『産業医』だったのね~

やっと漢字変換できた!って顔で『今、事務の者が来ます』

 

安全衛生委員会の議事についての質疑や、健康診断結果の精密検査のフィードバック、従業員の健康管理など色々チェックします。

店長さんだけでなく、事務やそのほかの業種からの相談も受け付けます。

 

職場巡視も毎回。

惣菜コーナーでは、揚げ物を調理するので、床が油で滑りやすくなります。

滑り防止のついた長靴を履いての作業です。

掃除はしていても、床は滑りやすいので、マットが敷いてあるとのこと。

薄くてテロテロなので、もう少し厚めのほうがいいかも…

新品をみせてもらうと、結構しっかりしています。

使い捨てなので毎日替えるルールを徹底してから、マットの種類を変更するか考えることに。

 

大量の揚げ物をするので、油が飛びます。

『コロッケはまだいいけれど、唐揚げは皮や脂身からずいぶん油跳ねがくるんですよ~』とパートのオバサン(アラカン)。

コロッケの時は、指が油面に触るくらいまで近づけて落とすと油跳ねが少ないという秘訣も。

主婦でもあるオバサン(院長)としては、その技に驚嘆!

しかし、オバサン(パートさん)の肘から下は腕まくり状態。

『肌に油跳ねしませんか?』

『そうなのよ~』と、見せてくれたのは、小さないくつかのシミ。

勲章?の火傷跡。

『袖おろしたほうがいいのでは…』

『そんなことしていたら、他の事しにくいし、面倒だし…だもんで、揚げるのは若い子にはさせられへんわ~私らみたいな年ならいいけどね~』

『よくない!よくないですよ!』とオバサン(院長)。

実は、使い捨てアームカバーは常備されていました。

ナイロン製なので、毎回使用してみて、油温に耐えないようなら、材質を検討することにしました。

 

眼科診療をしていると、鉄の研磨で鉄片が目に入ったとか、溶接焼けで目が痛くなった患者さんが来られます。

職場で、防護眼鏡やシールドを義務付けれているにも関わらず、面倒でつい装用していなかった…とうパターンがほとんどです。

 

今回も、職場のルールはありましたが、現場で徹底されていなかったようです。

 

帰宅後、職場巡視報告書を書き上げます。

良好な点も改善すべき点も指摘。

今回の業務も何とか無事終了です。

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 産業医

2020.12.8 再び1年生

昨年、日本医師会認定産業医を取得した院長。

 

眼科では、パソコン業務の患者さんが多く来院。

ドライアイだったり、近くのピントが合わなかったり、眼痛だけでなく頭痛や肩こりもあったり…

眼科としての原因、治療はもちろんですが、話を聞いていくとその要因は様々です。

職場環境の問題だったり、運動不足だったり…

眼科以外の興味は広がるばかり…

スポーツ医も産業医も眼科医療を基に、その派生で取得することに。

 

さて、本業ではなくとも、資格は持っているだけでは宝の持ち腐れ。

アウトプットしてこそ。

昨年暮れから、産業医の就職活動を始めました。

産業医の関わる産業保健の目指すところは、ひと(従業員)の作業の適応とその仕事へのそれぞれのひとの適応です。

誰を適切な作業につかせ、どんな作業を誰につかせるか。

 

事業所の規模によって専属産業医か嘱託産業医かが決まっています。

院長は、もちろん嘱託産業医。

 

実は、就職活動は初めての院長です。

大学卒業後、そのまま医局へ。

あとは医局人事で動き、開業。

なので、初めて顔写真付きの履歴書を作成。

動機・アピール欄もしっかり記入。

 

当初、すぐに採用されるでしょうと思いながら応募するも撃沈。

遠いところは…

この職種は聞いたことない…

なんて言っていたら、いつの間にか夏も終わりそう…

自分は、産業医1年生、謙虚に。

ただし眼科臨床医としての実績はあり、人生経験もあり。

これをアピールして?採用が決定しました。

 

担当するのは、スーパーマーケットの系列2店舗です。

どちらも、県内とはいえ、自宅から片道1時間半弱。

勤務日は、当院休診日です。

産業医1年生。

イメージがわく職種に、採用されるだけラッキー。

小旅行と思えば、通勤時間もまた楽し。

 

当日は、約束の約40分前に到着。

スーパーマーケットなので、院長(主婦)には馴染み深いお店です。

職場巡視は職務として行う予定ですが、まずはお客として視察。

広くてきれいなスーパーです。

鮮度もいいし、種類も多いし、名古屋よりいくらか安い。

が、仕事前に買い物はいけません。

ぐるぐるとカートを押しながらも、買うのは、小さくて軽いお菓子くらいに。

出入り口には、お客様の声と店長からの回答が貼ってあります。

店長の顔写真もあり、『この人が、これからお付き合いする方ね~』

 

時間になり、先ほどの店長と本社の総務に初対面。

どんな職種があり、どのような人たちが働いているかを聞きます。

今回のメインは、健康診断結果の事後措置の決定です。

健康診断結果を見て、精密検査をしたほうがいいとか、勤務に差し支えがあるかどうかなどを、判定していきます。

最後に、判定の責任者として『産業医・長谷川公』の判を押印したときは、産業医初日の感慨が…

 

その後は、職場巡視をします。

スーパーのバックヤードを見て歩きます。

興味津々。

良好な点や、改善推奨点などを記載し、報告書を提出します。

安全衛生委員会の議事録も確認します。

あっと言う間の初出勤日でした。

 

『うちの寿司は、鮮魚コーナーで握っているから自信を持ってお勧めします』

店長さんの言葉に、勤務終了後、堂々と?お客として買い物。

夕食はお寿司に決定!

 

初出勤、うまく仕事できたのかな~?

 

後日、聞くところによると、なかなか手際も良かったとのこと。

 

企業(と従業員)のお役に立てられるよう、再び1年生から頑張ります!

 

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 産業医 眼に関すること
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