2021.11.9 もはやお母さんではない
就学時健診の時期です。
近隣の小学校3校を受け持っているので、自転車で出かけます。
毎度のことながら、校門には、習い事のチラシ配りの人が。
数年前までは『お母さんですか?』と聞かれたものの、今は声もかけられません(当たり前ですが)。
この秋から読み始めた源氏物語(現代語訳)で、主人公・光源氏は40歳で孫を抱くシーンがあります。
65歳くらいの尼君(明石の御方の母)に至っては、十分品よくふるまっているようだが、もうろくして耳もよく聞こえない様子(と書かれています)。
はるかかなた、平安時代は、寿命も短い分、人生の営みも早かったのでしょう。
現代は、結婚出産も遅くなったとはいえ、院長の年齢なら『おばあさんですか?』と聞かれて『そうです』と答える人もいます。
健診の介助に付く若い先生は、息子たちと同世代。
早い家系なら、おばあさんです。
担当する小学校は全て視力検査をしてから、眼科の健診になります。
教室に自分で入ってこられる子、母親と手をつながないと医師の前に立てない子、入り口で泣いて入ってこられない子、診察の前で急に泣き叫ぶ子などなど色々です。
しかし、入学後の学校検診では、ほとんどの子は問題なく健診を受けられます。
ほんの半年ほどですが、1年生になり心にも成長が見られます。
ルールに従うことも、多くの子供ができるようになります。
1年生と2年生、2年生と3年生など、学年による心身の成長差はいつも感じることです。
今回視力が出なかった子(B/C/D)には、近日中に眼科での再検査を勧めます。
また、気になる眼の症状(斜視や眼の病気)がある子も、眼科の受診を勧めます。
『はい、わかりました』という保護者。
『ホントに見えなかったの!?』と子供に詰問する保護者。
『ふ~ん』と全然気にしていない様子の保護者。
保護者も色々です。
視力は、本人の見え方なので、再検査したときに異常はないかもしれません。
しかし、遠視や近視・乱視や何かの眼の病気がある場合もあります。
異常がなければ『良かったね』
異常があれば『早めにわかって良かったね』
就学時健診で視力D/Dだった患者さんが来られました。
少し遠い地域からの来院です。
強めの近視がありましたが、どんな度数を入れても矯正視力が出ません。
本当に近視なのか(子供は、見かけ上の近視ということがあります)、眼の奥に異常はないのか、精密検査をしました。
すると、見かけ上の近視で、実際には近視ではありませんでした。
また、眼の病気は何もありませんでした。
視力は出るはずなのに…
トリックを使って視力検査をすると、ちゃんと1.0まで出ました。
急を要する眼の病気はないこと、心因的な要因があること、視力は出ることをお母さんにお話しして経過を見ています。
『大丈夫!』
『安心して!』
お母さんによくかける言葉です。
先日81歳で校医をしておられる先生とお話しする機会がありました。
いまだに、自院の診療も。
81歳から見たら、まだまだ自分(院長)は若造ですが『お母さんですか?』と聞かれる年でもなし。
定年が来るまで、学校医頑張ります。
こちらの記事もぜひ、ご覧ください
→学校検診