2022.5.24  3つのお約束

今年度の学校医の仕事が始まりました。

春の眼科検診・秋の就学時健診・学校保健委員会が3大活動です。

そのほか、学校医として随時求められれば相談や助言をしたり、全国学校医会に参加したり…などなど。

院長は、小中学校併せて4校(一時は5校)受け持っています。

 

学校医の良いことは、生徒たちの成長(若い息吹)を感じられることです。

20年以上同じ学校3校を受け持っていますので、小学1年生に上がる前(就学時健診)から中学3年生までに検診に携わる生徒たちもいます。

また、親子2代にわたり、検診をするという機会も出てきました。

嬉しいことであり、有り難いことです。

 

さて、眼科検診では、3つのお約束があります。

1.(養護教諭に)名前を呼ばれたら、『はい』と返事をする。

2.整列のテープに沿ってきちんと並ぶ。

3.眼鏡をはめている生徒は、外して検診を受ける。

この3つを、検診を始める前に、養護教諭・担任・学校医(院長)が連呼します。

生徒の数は以前より少なくなりましたが、700名くらいの規模(ピーク時は1000人超)の学校ばかりなので、スムーズに行うためにはお約束(ルール)が欠かせません。

たった3つのお約束のはずですが…

これがなかなか…です。

 

『はい』と普通に答える子。

『ハイ!』元気よく大きな声の子(とても気持ちいい返事です。すかさず、先生が褒めます)。

『はい』耳をそばだてないと聞こえない小さな声の子。

何も言わずに立っている子(○○さんだったら返事しようね、と先生)

呼ばれる前に返事をする子。

なかには、呼ばれた子を差し置いて、学校医の前に立つ子も。

『自分の名前を呼ばれて返事をするのは、その人かどうかの確認をするために大事なことです。違う人を診たら大変だからね』と、学校医、連呼です。

 

整列のラインもジグザグになりがちです。

検診をどうやってやっているのか興味津々で、順番を超えて見に来たり、記入している養護教諭の机にウエイブのように流れて行ったり…

我が家の長男も小学1年生の時、学校検診で母(院長)を見つけ、『うちの母さんだー!』と大興奮。

並んでいる最中に、飛び跳ねて、机に頭を打ち付け、騒然となった一件があります。

入学式の日も通常診療をし、式に出席しなかった母。

公務で初めて来校したのは、長男にとってはすごく嬉しかったのだと思います(母の胸キュンの思い出)。

低学年の生徒は、学校検診でさえイベントになってしまい、興奮してしまうのかもしれません。

 

眼鏡を外しておくのも然り。

連呼の声を聞いていないのか、他の人の動作を見ていないのか、眼鏡をはめたまま立つ生徒も多々。

 

これらはさすがに高学年になると少なくなります(ここでも成長を感じます)。

ただ、個人差は否めません。

円滑に物事を運ぶには、ルールを守ること。

もちろん、検診の場合、特性を考慮して、全員に3つのお約束をさせるわけではありませんが。

 

検診後には、受診のお勧め用紙が出されます。

受取った保護者は、速やかに、医療機関を受診してください。

大したことがなければラッキーだし、何か病気が見つかってもラッキー(早期発見早期治療)です。

学校医を拝命したばかりの頃、ベテラン小児科医に『お勧め用紙をもらって、親が受診させないのは、子供の健全な成長を阻む一種の虐待ともいえる』と聞きました。

学校医は生徒の成長を見守っています。

それが楽しみで学校医を務めています。

 

願わくば定年まで(学校医も定年あり)!の気合の院長です。

 

 

 

 

 

 

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2022.5.10  歩いてベトナム

前回の続きです~  →前回はこちらからどうぞ

 

さて、休日診療所出務のお楽しみはお昼ごはん。

今回は、チェックしておいたベトナム料理屋さんへ。

次男が以前ベトナム旅行をしたときに、お土産にくれたコーヒーがすごく美味しくて(濃くて、甘い香りにうっとり)、ベトナムに興味を持った院長です。

(息子がくれた物は、何だって好きになるってことですが…親バカ)

地図を頼りにたどり着いたのは雑居ビル。

急な狭い階段を上がって2階のドアノブを回すと…

ベトナム語(おそらく)のおしゃべりの渦。

カップル、グループ、ベトナム人コミュニティーかと思う店内です。

注文を取りに来た小柄のお兄さんもベトナム人。

 

フォー(米麵)を頼むに当たって、日本人は鶏肉を好むけれど自分たちは牛肉を好むと言うので、牛肉入りフォーに。

出てきたフォーは、沖縄ソーキそばの汁を少し甘くしたような優しい味。

レモンが付いてきたので、スープに入れてみると…一気にエスニックに。

そして、デザートはチェー。

豆・タピオカ・ピーナッツ・ココナッツが入っている甘いかき氷みたいなベトナムのご当地スイーツ。

普段食べない組み合わせが、ご当地ものだと思うとしっくりきます。

どちらも美味しい。

 

前のテーブルのカップルは何やら盛り上がっています。

凄く早口な彼女が時々語尾を上げるのを聞き、今のは疑問文なのかな?と。

あちこちでベトナム語が飛び交う喧騒の中、フォーとチェーを食べているオバサン(院長)は異国にいるよう。

しかし、窓から少し見える向かいのビルは明らかに日本。

不思議な感覚です。

会計を済ませて出ようとしたとき、また階下から集団が。

小さな故郷なのでしょうか?

ビルから出ると日本・名古屋の街。

お腹と心を満たして、ベトナムから歩いて脱出。

午後は再び眼科医に戻ります。

 

眼が痛くて充血の患者さん。

出先で急遽泊まることになって、朝コンタクトを付ける前に洗おうとしたら違う液だった。

『コンタクトは何を使っていますか?』

『1デイです』

『1デイなのに何故?』

かくかくしかじか…

つまりは予定外のお泊りになった。

予備のレンズなし。

泊り先(彼宅)の使用しているソフトコンタクトレンズ(SCL)中和洗浄液で前日のレンズを洗ってはめようとしたが、激痛。

コンタクトを入れた右眼には充血と角膜の傷を認めます。

 

1デイSCLは装用後一度外したら、再装用はNGです。

SCL洗浄液で洗うのも、もちろんNGです。

また、SCL洗浄消毒液には、オールインワンタイプと中和タイプがあります。

オールーインワンタイプは一剤で楽な分、洗浄力や消毒力は中和タイプに劣ります。

中和タイプは、錠剤をしっかり中和させる前に、レンズを使用すると、今回のように激痛を生じます。

 

急なお泊りに備えてはもちろん、どんなトラブルでコンタクトレンズを外したり装用できない場合もあるので、予備のコンタクトレンズと眼鏡を携帯するように伝えました。

 

ここは都心の休日診療所。

ふだん遭遇しない色々な患者さんに出会います。

その他にも、普段他院に通院しているのに来院や、なぜか休日診療所常連さんなどなど。

あくまでも、担当医師にとっては、

その日限りの患者さん。

診療はしっかり、でも出来ることは限られています。

明日近医を受診し、診療を続けてくれるように。

 

束の間の異邦人を味わったある一日でした。

 

 

 

 

 

 

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2022.3.8  世界緑内障週間2022

緑内障診療ガイドライン第5版が届きました。

診療ガイドラインとは、エビデンス(科学的根拠)に基づいて最適と思われる治療法を指示する文書のことです。

2003年に初版が出版されて以来、5回目の改定。

 

医学全般、日々進歩しています。

眼科学もそう。

その中の緑内障診療についてもそう。

 

院長が初めて参加した全国的な学会は、緑内障学会。

私たち研修医は、一般講演の内容もほとんど理解できず???

大御所の先生たちの特別講演の内容も???

『なんか、難しい話ばかりだったね~』

『どうやって聞いた講演をまとめよう?』などなど。

メーカーの担当者さんが『大丈夫ですって。すぐに発表する側になりますよ』と、ご飯を食べながら励ましてくれました。

あんな難しいこと、わかるようになるの?出来るようになるの?と、見えない未来の中、先輩たちの指導を仰ぎながら日々緑内障診療。

いつの間にか、学会の内容も理解できるようになっていたのでした。

 

緑内障治療の原則は眼圧下降です。

まずは点眼、そしてレーザー、手術があります。

院長が研修医の頃、教授が好んで使用されていた点眼薬も、今ではほぼ消失。

代わって、様々な機序の新薬は開発されていますし、配合剤(2種類が1ボトルに入っている)も主流になってきました。

レーザー治療も、以前からありましたが、古い術式から新しい術式に変化しています。

また、手術も、大枠は変わっていませんが、派生して色々な術式が発表されています。

 

緑内障に対する考え方も変わってきました。

院長が眼科医になる以前は、緑内障は眼圧が高いことがスタンダードでした。

しかし、研修医の頃から、眼圧が正常な(基準値より低い)緑内障もある…と言うことが分かっていました。

今では『正常眼圧緑内障』ですが、当時は『低眼圧緑内障』と呼ばれていました。

日本人の多くは正常眼圧緑内障というのも、2000~2001年の多治見市疫学調査で分かったことです。

眼圧だけで判断できない。

視神経の変化、視野の変化、正確な眼圧測定が大事。

研修医の頃に叩き込まれました。

 

元々、眼科は、検査機械の多い科ですが、診断機器も著しく進化しています。

人間の眼ではわからない、眼の奥(網膜や神経)の様子をあらゆる方向から観察することが出来ます。

視野変化が起こる前の緑内障(前視野緑内障)という新しい病名も出来ました。

 

画像を用いての診断や説明は、今では緑内障診療に欠かせません。

もちろん、機器だけに頼るのではなく、あくまで眼科医としてのスキルあってのことです(自戒)。

 

今年の世界緑内障週間・ライトアップinグリーン運動のスローガンです

 

『早期発見・治療の継続・希望

あなたの目がずっと見えていますように

40歳を過ぎたら眼の定期検診を!』

 

日本の視覚障害の原因の第1位は緑内障(28.6%)です。

しかし、自覚の少ない初期・中期に発見され、治療すれば、不自由なく一生を過ごすことが出来ます。

40歳以上の約20人に1人は緑内障になっていると報告されています。

眼科検診で異常なければ安心。

もし緑内障と診断されても、眼科医と二人三脚で進行を抑えられるよう頑張りましょう!

 

当院も運動に参加しています。

3月6日から12日まで、花壇にグリーンライトが点灯します。

世界緑内障週間

 

 

 

 

 

 

 

 

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2022.2.15 ドーナツと緑内障

先日、ショッピングセンターで小腹が空いた院長。

Mドーナツ店の前を通ると…

某ショコラティエとのコラボドーナツが。

 

せっかくだからドーナツで一休みすることにします。

何年ぶり?

期間限定の…チョコレートをまとったハート形やガナッシュをサンドしてあるドーナツ数種。

キュートだわ~♡

どれにしようか…

しかし、結局選んだのは、定番のドーナツ2種。

斬新さより懐かしさが優先しました。

 

ドーナツにはコーヒーが一番合うとは思いますが、筋トレを始めてから常に頭の片隅に『タンパク質摂取』という言葉が。

炭水化物と油脂が主だから、ホットミルクをオーダーします。

 

丸いドーナツにクリームが入っているもの。

ドーナツは穴が開いているものと信じていた昔、初めて見て食べたときはびっくりしました。

軽い触感でチョコがかかっているドーナツも。

 

小学生のころ、街に勤めている母が買ってきてくれたのが、これらMドーナツとの初めての出会い。

田舎では、まだ誰(同級生)もそんなドーナツを食べたことがありませんでした。

 

母はフルタイムで働いていたので、よく街のドーナツを買ってきてくれました。

それはそれで嬉しかったのですが、母の手作りドーナツにも憧れていました。

それを察してか、ある日、父がドーナツを作ってくれました。

膨らし粉でつくった穴の開いたドーナツ。

白砂糖がまぶしてあります。

嬉しくて切ない、小さい頃の思い出です。

 

その後、自分で街へ行くようになり、ドーナツも自分で買えるようになりました。

高校のクラスメイトのお姉さんのバイト先はMドーナツ。

残ったドーナツをおすそ分けされ、お昼休みに何個も頬張ったことも。

若さゆえ、一度に3個食べるのは当たり前。

体重も人生最大値を示した頃です。

 

そんなに大好きだったドーナツ。

今、久しぶりに、ドーナツを目にすると、走馬灯のようにドーナツをめぐる物語がよみがえります。

一口食べてみると、懐かしい。

そうだ、そうだ、こんな味・触感だった。

若いころのように、バクバクあっと言う間に平らげることもありません。

一口食べてホットミルクを一口。

ドーナツひとつで十分でした。

 

さて、院長は、1日1回は『ドーナツ』という単語を口にします。

日々、健康診断で『視神経乳頭陥凹(かんおう)拡大』を指摘され、精査目的で来院されます。

目の奥の網膜(もうまく)には、光を感じる細胞(視細胞)があります。

視細胞で感知した情報は視神経線維を通って、脳へ送られます。

視神経線維は、眼球の奥(視神経乳頭)でまとまって束となり、眼球の外(脳)へ向かって出ていきます。

 

この視神経乳頭の陥凹は誰にでも認められます。

しかし、その陥凹(=へこみ)が標準より大きい場合、健康診断で『視神経乳頭陥凹拡大』と指摘されます。

 

乳頭陥凹拡大を指摘されたということは、緑内障の検査をしてね、ということです。

緑内障で、視神経の数が少なくなると、視神経線維層の厚みが薄くなり、視神経乳頭陥凹拡大が大きくなります。

院長は、ドーナツの話をします。

穴が小さく食べるところが多いドーナツ(正常陥凹)と穴が大きくなって食べるところが少ないドーナツ(視神経乳頭陥凹拡大)。

ドーナツのように、視神経陥凹は穴ではないのですが、イメージです。

視神経乳頭陥凹拡大だからすべて緑内障というわけではありません。

緑内障の早期発見・早期治療のためにも、指摘されたら眼科を受診してくださいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

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2022.2.1 値引きを当てに

産業医の仕事で使う郊外のローカルな駅。

駅の近くには、自転車預かり所が何件か。

木造の家屋の中に自転車がきれいに整列しているのを見ると懐かしさを感じます。

『とらや』などと書かれた屋号を横目に仕事場に向かいます。

 

毎回、労災事故の確認をします。

担当スーパーでの発生が、一件もないのは何より。

全店舗の件数・事例も報告され、ほとんどは、転倒・切創。

整理整頓・作業手順の徹底が求められます。

 

毎回の巡視。

午後のバックヤードは、忙しさから解放された時間です。

総菜売り場では、排水溝?の掃除をしていました。

『今日は、グリストラップの掃除をしているんです』と店長さん。

ブリストラップ?

指しているのは、排水溝のような場所。

初ワードです。

メモ、メモ。

『ブリストラップとは何ですか?』

『ブでなくてグ。

グリストラップです(調べるとGrease(油)  Trap(罠)という英語表記)。

調理油が直接下水に流れないようにする装置のことです』

見せてもらうと、結構な油が付着しています。

 

グリストラップとは、業務用の厨房に設置が義務付けられている『油脂分離阻集器』のことです。

厨房から出る排水に含まれる油やゴミ(野菜くずや残飯)を直接排水に流してしまうと、自然環境への悪影響が考えられ、それを防止するための装置です。

飲食店やスーパーなどで発生した汚泥は、一般ごみではなく業者に委託しないといけません。

 

1槽目:厨房排水に混ざっている残飯や生ゴミを除く

2槽目:水面に浮上する油脂と、さらに細かい汚泥を分離

3槽目:汚泥と油脂をある程度分離した排水を下水道へ

 

1のバスケットの洗浄は毎日、2の浮上油脂の清掃は週1、沈殿物の清掃は2週間から月に1度清掃をするそうです。

 

『今日は、もう総菜作りはおしまいですか?』

『売れ行き見て追加します』

『売り切ったらおしまいじゃないんですか?』

『そうですね。

残っても廃棄になれば処理費用が掛かります。

余っても売り切らないといけませんからね。

でも、半額にすると利益出なくなっちゃいますしね。

残量と値引き率は毎日変わります』

『ほ~』

『それに、8時過ぎると値引きを当てに買いにくるお客さんも多いんです。

特に単身のお客さんは、ついでに飲み物やお菓子も買ってくれますし。

値引き品が全くないと何にも買ってくれないんで(他へ行ってしまう)』

『そうなんですか!?』

 

残量に対する値引きの設定もなかなか難しそう。

修業がいります。

 

毎回、新しいことを知る産業医(院長)です。

値引き品を買ったら、値引かれた分で、何か余分に買いましょう!

スーパーもお客さんもWin Winになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2022.1.11  仕事は生きがい

本年もよろしくお願いいたします。

 

どんな一年になるのやら?

 

師事していたA先生は、退官後、新天地で緑内障診療。

昨年末、話をする機会がありました。

手術数もどんどん増え、『今が一番手術上手いかも。70歳までは手術できそうだね』

社会的に、既に頂点と認められている立場でも、前向きな姿勢。

『何歳になられましたか?』

『67歳』

『え~先生、そんなお歳になられたんですか?』

『はせこう先生だって、もう○○歳(内緒)でしょ。入局してから30年なんだから』

確かに。

 

 

医師会のあいさつで最年長の元医師会長B先生が登壇。

ずいぶん前に診療所の仕事は譲られたものの、未だ公の場に出られてお元気。

かなり減らしてはいるものの、医師として仕事をされている88歳。

開業時の挨拶に伺った時は、すごく怖かったけれど、今は好好爺です。

 

休日診療所の当番表を見て、『私、半日のはずなのに』と訂正を求めたC先生。

75歳以上は、午前午後1日でなく半日勤務になります。

『先生、一体おいくつですか?』

『もう、とっくに75超えているわよ』

全然変わらない、はつらつとしたC先生は、まだまだ自身のクリニックで診療をされています。

 

素晴らしい先輩たちに、敬意を払い、勇気をもらいます。

 

『人生(仕事)の上り坂は、歳と共にきつくなりますよね』

これは、大手企業の役員だった旧友からの新年の言葉。

同じ机を並べた彼女は、進路は違いますが、大きな世界で戦ってきた尊敬できる人。

今も新しい仕事に挑戦しています。

 

先輩たちを見れば、いくつになっても仕事が好き。

趣味を超えるやりがい・張り合い・生きがいなのだと思います。

 

若いころは、エンジン全開!加速しっ放しでした。

やることだらけで、ゆっくりする暇もなければその気にもならない。

つらい時もたくさんあったけれど、若さゆえに乗り切れました。

休まず続けてきたことで、少し減速してもゆっくりでも上っていける予測は立ってきました。

それでも、仕事を続ける限り、上っていく(知識・技術など)責任があります。

 

『健康第一だね~』

その通り。

この言葉も、合言葉になりつつあるオバサン院長世代です。

 

早速、今年は元旦からパーソナルトレーナーと筋トレ。

身体も鍛え、その後のメンテナンスも忘れずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

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2021.12.21 目薬コロコロ

『キャー!何やってるの!?』

オバサンの大きな声。

院長は、とある地方都市のホームに停車中の本駅発列車の横シート座席に座って本を広げたところ。

昼下がりの午後の車内は乗客もまばらです。

 

『何やってるの!』

みんなが一斉に向けた視線の先には…

オジサンのが太ももがホームと列車の隙間にスッポリ。

目が点…あっけにとられている間もなく、すぐに、男性数人がオジサンを引っ張り上げ始めました。

発車まで数分。

事なきを得、救助した男性たちも、取り囲む人たちもサーっとそれぞれの方向へ。

 

70代前後のオバサンは、大声で『この人(同年代オジサン)、バスで疲れちゃったんですよ~。どこか、席座らせてもらわないと』と、アピール。

乗降口付近の乗客は、さっと別の席へ。

オバサンが先に座り、オジサンが後に続きます。

二人は、それぞれ4泊5日分くらいのキャリーケースを持っていました。

どこかの旅行の帰り?

飛行機+バス旅行?

だとしたら、あの空港から?

オジサンは、左太ももをさすっています。

『何やってるの?』(と言われても…)大声で繰り返すオバサン。

()は院長のつぶやき

『痛いの?』(そりゃ、痛いでしょ)

『骨折したの?』(まさか、それはない。おそらく挫創)

無言で太ももをさするオジサン。

対面の席で、大きな声で詰問するオバサンに、院長も怒られている気分に。

 

恐らく、加齢により、足を上げる力、踏み込む力が弱くなり、歩幅が狭くなってはまってしまったのでは。

大事に至らなくて本当に良かったです。

 

オジサン普段から、つまづき易かったり、転びやすかったりするのかな…

 

点眼薬も転がります。

先日、ある患者さんから『出してもらった目薬が、すぐ転がってしまう』との声。

後発品(ジェネリック)の場合は、医師がメーカーを選択することは出来ないので、薬局に在庫がある薬を受け取ります。

見せてもらったのは、ジェネリック品。

確かに、円柱形なので、キャップもボトルも、転がりやすそうです。

 

先発品新製品が出るたび、院長はあらかじめ点眼してみます。

 

・透明か濁りか

・しみるか否か

・さらりかどろり(粘度)か

・点した後の充血ありか

・点した後のかすみありか

など、特徴ある点眼薬を処方する場合は、予め、伝えるようにしています。

自分の体験談も。

 

先発品が優れていると一概には言えませんが、各社、点眼薬のボトルにも患者さん目線で考えています。

 

キャップの形で採用されているのは、10角形のねじれ。

12角形だと円柱型と同じように転がってしまうそうです。

8角形以下のねじれだとバランスが悪くなるそうです。

 

また、点眼瓶の先に穴が開いているだけのように見えますが、メーカーによっては、開栓しやすい様に、らせんのねじれになっています。

 

ボトルの形も様々です。

市販の点眼薬は、おしゃれなデザインで、医師が処方する点眼薬に比べて固いものが多いです。

処方点眼薬は、患者さんが使用するという前提で設計されています。

3本の指で、持ちやすいよう、指との接着面が広く安定するようになっています。

扁平型だったり、胴体がくぼんだ型だったり。

そして、少ない力で正確に1滴点眼できるよう設計されています。

 

容器も機能と見た目を兼ね備えているデザインになっています。

 

人は老化し、機能も見た目も低下してきます。

自身で努力できることはし、デザインの低下を少しでも抑えていきたいと思うある日の出来事でした。

オジサンの挟まった太ももを案じつつ…

 

 

来週12/28は『公センセの部屋』はお休みします。

今年もありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

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2022.12.7  押したり引いたり

担当の職場(スーパー)に近づくと、頭の中でテーマソングが流れるようになった産業医(院長)です。

 

1年に一度は健康診断結果の判定をします。

該当職場で労働は可能か、否か。

制限付き(時間・配置転換など)で労働は可能か、否か。

あとは、健診結果から、『要受診』対象者をピックアップします。

昨年、『要受診』と指摘した人が、今は『治療中』になっていると、ほっとします。

高血圧・糖尿病は特に自覚ないまま見過ごされやすいので、早期発見早期治療が大事です。

眼科健診項目は、視力・眼圧までがほとんどで、眼底検査まで健診で受けている人は少ないです。

眼科医としては、40歳過ぎたら、自覚症状がなくても眼科受診を!と言いたいところ(実際啓発しています)。

 

 

労災事故は、発生防止に努めていますが、担当する店舗でも一件発生しました。

50代女性スタッフが、飲料を積んだ台車を引いている際、誤って台車の車輪に足の小指を巻き込み骨折。

普段、台車(スーパーやホームセンターのカートではない)を使用したことのない院長は、早速、職場巡視で確認。

バックヤードに台車は多数。

荷物が載っているのも、空のも。

『これで小指骨折するんですか?』

カートを前後に動かしながら店長さんに尋ねます。

別のカートの場所に連れて行ってくれます。

2リットルペットボトル6本1箱が12箱。

上下2段に乗っています。

合計144キロ。

該当女性に近い院長(体系は不明)。

かなり重いながらも、車輪がついているので、押す方向にも引く方向にも動きます。

 

『引いていた時の事故でしたよね?』

普段、台車やカートは押すイメージの院長。

スーパーでは、品物の量(かさ)も重量も多くなります。

押して動かすと、前方不注意や、重量で走行の制御が効かず、お客様に被害を及ぼす恐れもあるそうです。

だから、自分のほうへ引きながら商品を運ぶのだそう。

しかし、重量のある台車だと、引いた時の重さで、すぐに静止しない場合があり、今回もこれに該当(かつ、バックヤード通路がやや暗かった)したとのこと。

自分も144キロ荷重の台車をやや勢いをつけて引いてみます。

結構なパワーの台車を受け止めないといけません。

小指が下敷きになったら折れるかも!?

その後、念のため、安全シューズの支給もすることになりました。

 

台車を引きながら浮かんだのは、視覚障害者を誘導する体勢。

クリニックでは、眼の悪い患者さんが多く来院されます(眼科なので当たり前)。

中でも、視力や視野がひどく悪く、院内を歩くにも、介助が必要な方がいます。

もちろん付き添いの方がおられますが、誘導の仕方は色々。

目が見えないから…と、患者さんの手を引っ張って進行方向に後ずさりしていく介助者が多々。

これは、介助者も進行方向が見えないので危険ですが、患者さんにとっても引っ張られる行為は不安です。

見えていないのに、どんどん前に行く不安。

視覚障害の方を介助するには、原則、横に立つことです。

肩もしくは腰に手を添えて、声をかけてゆっくり進む。

白杖で介助者付きの場合は、介助者の肩に手をかけて後ろを歩くことが多いです。

その際も、介助者は、歩行のペースや障害物などを知らせる必要があります。

 

明日から、スーパーで台車を見かけたら、運搬方法と荷重を見てみようと思います。

今回も、新しいことを知った産業医業務でした。

 

 

 

 

 

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2021.11.9  もはやお母さんではない

就学時健診の時期です。

近隣の小学校3校を受け持っているので、自転車で出かけます。

 

毎度のことながら、校門には、習い事のチラシ配りの人が。

数年前までは『お母さんですか?』と聞かれたものの、今は声もかけられません(当たり前ですが)。

 

この秋から読み始めた源氏物語(現代語訳)で、主人公・光源氏は40歳で孫を抱くシーンがあります。

65歳くらいの尼君(明石の御方の母)に至っては、十分品よくふるまっているようだが、もうろくして耳もよく聞こえない様子(と書かれています)。

はるかかなた、平安時代は、寿命も短い分、人生の営みも早かったのでしょう。

現代は、結婚出産も遅くなったとはいえ、院長の年齢なら『おばあさんですか?』と聞かれて『そうです』と答える人もいます。

健診の介助に付く若い先生は、息子たちと同世代。

早い家系なら、おばあさんです。

 

担当する小学校は全て視力検査をしてから、眼科の健診になります。

教室に自分で入ってこられる子、母親と手をつながないと医師の前に立てない子、入り口で泣いて入ってこられない子、診察の前で急に泣き叫ぶ子などなど色々です。

しかし、入学後の学校検診では、ほとんどの子は問題なく健診を受けられます。

ほんの半年ほどですが、1年生になり心にも成長が見られます。

ルールに従うことも、多くの子供ができるようになります。

1年生と2年生、2年生と3年生など、学年による心身の成長差はいつも感じることです。

 

今回視力が出なかった子(B/C/D)には、近日中に眼科での再検査を勧めます。

また、気になる眼の症状(斜視や眼の病気)がある子も、眼科の受診を勧めます。

『はい、わかりました』という保護者。

『ホントに見えなかったの!?』と子供に詰問する保護者。

『ふ~ん』と全然気にしていない様子の保護者。

保護者も色々です。

 

視力は、本人の見え方なので、再検査したときに異常はないかもしれません。

しかし、遠視や近視・乱視や何かの眼の病気がある場合もあります。

異常がなければ『良かったね』

異常があれば『早めにわかって良かったね』

 

就学時健診で視力D/Dだった患者さんが来られました。

少し遠い地域からの来院です。

強めの近視がありましたが、どんな度数を入れても矯正視力が出ません。

本当に近視なのか(子供は、見かけ上の近視ということがあります)、眼の奥に異常はないのか、精密検査をしました。

すると、見かけ上の近視で、実際には近視ではありませんでした。

また、眼の病気は何もありませんでした。

視力は出るはずなのに…

トリックを使って視力検査をすると、ちゃんと1.0まで出ました。

急を要する眼の病気はないこと、心因的な要因があること、視力は出ることをお母さんにお話しして経過を見ています。

『大丈夫!』

『安心して!』

お母さんによくかける言葉です。

 

先日81歳で校医をしておられる先生とお話しする機会がありました。

いまだに、自院の診療も。

81歳から見たら、まだまだ自分(院長)は若造ですが『お母さんですか?』と聞かれる年でもなし。

定年が来るまで、学校医頑張ります。

 

こちらの記事もぜひ、ご覧ください

お母さんですか~?

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2021.10.5 しどろもどろ

新型ワクチン接種当番は秋になっても続きます。

秋のゴルフラウンド用に買ったウエアも、近々のラウンドは未定。

こんな秋晴れの日に、ワクチン当番。

人の多いワクチン接種会場に、新しいゴルフウエアで出務です。

誰か見てくれるかな~?

座って医師用ビブスを着て予診。

誰も見ないわ、気に留めないわ(当然)。

ゴルフウエアで、ペンを握る院長です。

 

初回は、地元小学校で、高齢者優先接種。

基礎疾患がある人が多いことや、地元ゆえに当院の患者さんもいて、予診で長くなることも。

その後、年齢が徐々に下げられ、若年でも持病のある人の優先接種が始まりました。

月ごとに、接種者の層が変化していきます。

 

今回は、12歳以上の若年者が大多数に。

ほとんどの人は、基礎疾患はないので、病気に関してはほぼスルーです。

しかし、今までになく、ベッドで寝ての接種希望が。

ワクチンごときで?と思うオバサン院長ではありますが、繊細なお年頃?(若者)は、安心のためにもベッドで。

若い人ほど、不安・心配の心情が見受けられます。

 

『医師と話がしたい』と付箋を付けてきた女子高校生。

付き添いの母親はすでに接種済みです。

ネットで、ワクチン接種否定の記事をたくさん見て、接種すべきか迷っていると。

ワクチンの開発の話、接種のメリット・副反応。

打たない選択をした場合起こりうること、などなど。

『○○は絶対ですか?』

『医学に絶対はないから、最後は自分で決めてね』

『もう少し考えます』

予診ブースを後退して悩むこと30分。

『来春、受験なので、その時コロナに罹って後悔したくないので、打ちます』

本日接種可能にサインして、接種ブースに進んでもらいました。

『受験頑張って!』

 

接種後のブースでは、何人かの若者が気分悪くなり(いわゆる脳貧血)、内科医師が駆け付ける場面も何回か。

人生経験が浅い分、不安も大きいし、迷走神経も過剰に働いてしまいます。

 

今回は、外国人も多い印象を受けました。

ベトナム・インドネシア・タイ・フィリピンなど東南アジア系。

バングラディッシュ・インド・パキスタンの南アジア。

中国・韓国。

ほぼ英単語を交えた日本語の日系アメリカ人もいました。

何人かに接していると、顔形・姿・名前の表記から、どこの国の人か見当がつくようになってきました。

最初は出身国を聞いていたのですが、そのうち『○○国出身ですか?』と尋ねると『そうです。よくわかりましたね』と言われる始末。

ほとんどの人が、日常会話には困らないよう。

子どもだけが日本語に堪能で、こちらの内容を両親に母語で伝える場面も。

インドネシアでは、苗字がないことを知ってびっくり(教えてもらった)、豆知識も。

 

『先生、英語大丈夫ですか?』

いきなり、係の人が尋ねてきました。

『少しくらいなら…』

『では、今から英語しか話せない外国の人お連れしますね』

え~!?

30代の浅黒い髭の生えた男性。

問診票は、もれなく問題なしです。

なのに日本語話せないの?(厚労省HPに各語の問診票あり)

まずは、お決まりの『どちらのご出身ですか?』(拙い英語で)

『パキスタン』

接種は問題ないけれど、接種に当たっての注意事項や確認をしないといけません。

相手の話の聞き取りは出来るのですが、話そうとすると焦ってしまいます。

しどろもどろながら、相手は理解してくれてやれやれ。

半年ほど前に、英会話の勉強を少々再開したもののこのお粗末さ。

トホホ。

 

若者と外国人。

院長、人生経験は半世紀あっても、まだまだドキドキは健在?です。

 

過去の記事もご覧ください「2021.6.8 こんな所で…」

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