2012.10.17    目を動かそう

ロービジョンケアでは、見にくくなった人の残っている視力や視野を自覚させ、眼球運動の練習をし、時には顔や首、腰の動きも利用して、より広い視野の獲得に努めます。また、視覚以外の感覚を最大限に利用することも大切です。目は動くものだと当たり前に思われていますが、健常人でも子供より大人の方が目の動かす範囲は小さくなります。大人になるにつれて、好奇心が減り、眼前の物しか見えなくなるとしたら(もちろん正面視することが重要な場面は多々ですが)ちょっと淋しい…

いつも土地勘のない場所に行った時には、時間があれば散策するのが常の院長。先日学会場から歩いていると、右前方に電飾が飛び込み、キャーキャー弾む声も。ふらふらと光と音のする場所に入っていくと「東京ドームシティ」。中には、アトラクションや飲食店がずらり。「東京ドーム」=「後楽園球場」ということは、ここは以前「後楽園遊園地」?中学の修学旅行先の一つ(ディズニーランドは当時はまだありません)でした。遊園地初体験にみんな絶叫、興奮、満足。しかし、院長にとっては、「遊園地嫌い」にさせたジェットコースター恐怖の苦い思い出の場所。視線を動かし視野が広がり、加えて好奇心に引き寄せられたことで、意外な思い出に遭遇することとなりました。

今では東京も「おのぼりさん」ではなく、都会人のように歩いているはずの院長。しかし、毎回誰かに(残念ながら男性ではない)声をかけられます。目新しいものをキャッチしたいという思いが、視線と顔に現れているのでしょうか?でも、いつもより意識して少しだけ大きく目を動かすことで、意外な発見や出会いがあります。そして、時には大きく開けたり閉じたり、上下左右動かしてみましょう。すっきりしますよ!

 

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2012.10.09     より良き明日に向けて

秋は学会、講習会が目白押し。季節の変わり目で先週は風邪気味でしたが、気力、食欲で乗り切り、ロービジョン学会へ。この学会の特徴は、医学・教育・福祉・就労・行政・機器など演題も参加者も多岐に渡ることです(通常眼科関連の学会は眼科医が主)。東日本大震災・パラリンピックのことから、人工網膜・網膜再生(iPS細胞、ノーベル賞でしたね!)まで、今回もインプットできることはすべて聞いてきました(アウトプットせねば)。

某講演の中で…病気(障害)の受け入れの3段階。「初級:病気のことがよくわからない」「中級:病気のことを知って、自分を環境に合わせようとする。」「上級:自分の出来ることを知り、環境を自分にあわせて変化させる。」行きつ戻りつ価値観の転換をしていくのが、自身の成長の証(もちろん、受け容れることは容易なことではないですが)。このことは、病気だけでなく、他の物事にも当てはめられそうです。例えば、ロービジョン。昨年までの院長は初級段階、今は中級。一生懸命勉強している最中。

冒頭のフレーズは、今回の学会サブタイトル。学会中に誕生日を迎えた自分へ贈るメッセージでもあります。

 

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2012.10.2    日曜日の出勤

台風17号名古屋直撃予想の日曜日。部活の大会や学校行事は中止、しかし休日診療は中止になりません(当たり前ですが)。約1年ぶりに休日診療所当番に。内科一般は各区ごとに設置されていますが、眼科は新栄の名古屋市医師会休日急病診療所のみです。悪天候の中でも、急に眼が痛くなり来院される患者さんは結構ありました。物が入っていたり、傷がついていたり。いつも当院に来院される患者さんとは違い、きっと1回限りの出会い。当座の痛みと不安を軽減するべく対処をし、翌日の近医受診を念押しして診療終了。今回はお昼から暴風警報が発令されたこともあり、いつもよりは患者さん数の少ない一日でした。

休日診療所の日曜出務にはお楽しみ(よく自分だけのお楽しみを作る院長)もあります。数年前パリのビストロ風(フランスに行ったことはないのですが)の小さなお店を偶然見つけました。1年に一度、限られた休憩時間内でひとりランチ。走って午後診療へ。でも、日曜日働いている自分にちょっとご褒美。

出勤時はお天気も良く、荷物になるからと折りたたみ傘にしたのは全くの失敗でした。最寄りの地下鉄までの帰り道、暴風域に入っていた台風は見事に傘を破壊。役に立たない傘をさし、ずぶ濡れのまま走ることに。ドラマじゃあるまいし。地下鉄のホームで好奇の目にさらされたのは言うまでもなく…

 

 

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2012.9.25          大切に使えば…   

「大切にされているお嬢さんですよ。人に例えて言えば。」とは、自転車屋さんの台詞。最近、自転車の空気入れの頻度増。ライトの調子も今ひとつ。15年も使用している自転車もそろそろか…と尋ねると、前述の答えが返ってきました。「?」という顔をしたようで、補足。「自転車を見れば、どういう使い方をされているかわかります。自転車は、雨や紫外線に弱いのです。この自転車は、屋内に駐輪してあって、雨風にさらされていない。パーツを換えれば、まだまだ10年以上乗れますよ!」院長愛用の自転車は、いわゆるママチャリ(実はチャリという言葉は、未だに使い慣れないのですが)。当世風のおしゃれさや格好よさはありません。一般の廉価な物。しかし、自転車屋さんの言葉に、確かに人に例えられなくもないと納得。雨や紫外線は身体には当然よくないし、使い方(生き方)次第で、パーツはメンテナンス(検診)や修理(治療)で長持ちさせることは出来ます。15年前に比べ、かごやタイヤなど部品の交換修理は幾度となく。もしかしたら総額は購入代金を超えているかもしれません。今回タイヤは問題なく、虫ゴムのみ交換。LEDライトにして、夜も安全に。今まで以上に大切に乗ろうと決意。帰りは、変速がなくても、ペダルも心も軽くなるというもの。今回気になった(色々気になる院長)のは、自動の空気入れ(コンプレッサー)。出がけに、スカート・パンプス姿で手動ポンプを押している姿は、誰かに見られたら気恥ずかしい(想像はしていただいても結構)…自動で楽々給気には憧れます。さて、スタッフも感化されてか自転車通勤をしたり、購入予定者も出現。これからの季節、自転車お勧めです。生活習慣病の患者さんには、任意でこっそり体重を聞く院長。高血圧も糖尿病も悪化すると目に来ます。一緒にダイエットしませんか?

 

 

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2012.9.18       「いきいき」に一役

「緑区いきいき支援センター」で眼科の勉強会を開催しました。「いきいき支援センター(地域包括支援センター)」は、ケアマネージャー(介護支援専門員)、社会福祉士、保健師などが中心となって、健康・福祉・福祉など様々な面から高齢者やその家族を支える機関の名古屋市での総称です。眼科勉強会は初の試みだそうで、介護者のケアプランを作成する上で眼科知識が少しでもお役に立てればと、お引き受けしました。ケアマネージャーさんを対象に、患者さんに説明するような形式で、時々質問にも答えながらお話。一度で終わらず、来月第2弾の予定となりました。開業とともに当院の患者さんも年を重ねられ(もちろん院長も)、要支援・要介護認定患者さんと接する機会も多くなり、眼科医としてもいきいき支援分野についての知識、支援の必要性を感じています。ちなみに「支援」とは力を貸して助けること(明鏡国語辞典)。

さて、「いきいき」とひらがなで書くと、シルバー世代のイメージ。しかし、「生き生き」ましてや「活き活き」と書くと、若い世代でも違和感はなし。「イキイキ」だったらうーんと若いイメージ。文字表現で印象が変わるし、固定された言葉にもなります。院長世代なら何を支援して欲しい?「ドキドキ」?「ワクワク」?女子(女の子)だった時に感じた気持ち?あの頃より、より広い意味で日々「ドキドキ」「ワクワク」ありの院長。実現のために支援して欲しい時(事)もあり。ドキドキ、ワクワクしすぎて動悸が起こらないよう、年齢相応に体も鍛えています。

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2012.9.12   見えないことは存在しないことではない

自動車免許更新の通知が来たので手続きに。IC暗証番号決めに悩み、最新の道路交通法改正に耳を傾け、5年ぶりだと新鮮そのもの(ゴールドカードのお陰)です。さて、普段は仕事用に、年齢(要は軽い老眼)を意識し両眼で1.0程度に弱めに矯正しています。もちろん、この視力では両眼0.7以上の条件には十分適用していますが、検査表が暗いのもあり万が一「何とか通してもらう」状況になることは避けたいもの。1.2の視力に調整して臨み、難なくクリア。昼間の運転は1.0で何ら問題はないものの、夜間運転では通常使用より一段階上げた1.2のコンタクトレンズやメガネに替えます。逆に条件視力下限の0.7に調整すると運転するには躊躇します。実際の運転では、静止しているものではなく動いているものを見るし、薄暗くなればコントラストが低下、スピードが早くなれば視野は狭くなり、年を取れば明るさや暗さへの慣れも遅くなり…などと、普段より視力低下する状況は多々あります。加えて、眼科の病気があったりすると…例えば、以前見えていた視野が欠けても、脳は過去の情報からそれを補い、物や人があっても存在しない見え方を作り出してしまいます。欠損を自覚するのはずいぶん進行してからです(個人差はありますが)。たとえ更新できても、個々の患者さんに、病気の欠点を補うべく、より注意を払って安全運転できるよう助言(場合によっては運転制限や中止の勧めも)するようにしています。病気のある患者さんに運転する際の注意点を気づかせるシュミレーション機を研究している眼科グループもあります。深刻な病気でなくても、単に近視や遠視、乱視の矯正をするだけで安心して免許更新できます。ご心配な方は、ご相談ください。

それにしても…免許証の写真。5年間身分証明書として使用するには、もう少しそれなりに写りたかった(撮って欲しい)…といつも思います。

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2012.8.8     五輪疲れで病気?

連日、テレビや新聞はロンドン五輪の報道です。患者さんに、視力がいつもより出にくかったことを言うと「オリンピックを未明まで見ていたので寝不足かも」。眼圧がいつもより少し高いと言うと、同様な答えが。同じ傾向は、知人内科医も感じているようです(いつもより血圧が高いと言ったとき)。夜更かししてオリンピックを見て翌日の仕事も通常にこなす、という自信はなくなってきている院長(世代)としては、愛国心よりも明日に備えて早々と就寝。結果は翌朝知ればいいやと思うのですが、東京オリンピックに感動した世代(そして今はリタイア)としては、オリンピックは国を挙げて応援せねばという意気込みがあるようです。しかし、寝不足から有らぬ心配が出ることも。待合室には、病気の説明ポスターがありますが、疲れているときは、例えばドライアイにも、黄斑変性症にも自分の症状が該当するようで、「なんか、ドライアイもあるような」「私って~の病気もある?」という心配の声もちらほら。五輪疲れが、身体に出てくる世代でもあるようです。昼夜逆転、熱中症(室内でも)にもご注意を。

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2012.7.17    夏は結膜炎

前期の学校保健委員会(教師、父母、校医で構成)も終了。学校検診による受診のお勧め用紙には、プール入水の可否記入欄もあり、受診率向上の助けになっているようです。

さて、夏になると多い結膜炎には、いわゆる「流行り目」とか「プール熱」と呼ばれるアデノウイルスによるものが代表的です。これらは、症状所見とアデノウイルス検査で判明します。また、それ以外に、意外と多いのが、「とびひ」。全身に出れば、まずは皮膚科受診されますが、目の周りもしくは結膜炎だけの場合は眼科に来院されます。目の周りや鼻の下、顔に赤い水膨れやかさぶたのようなものも同時に見られることが多いです。とびひは、主に黄色ブドウ球菌の感染で、私たちの皮膚や鼻の穴(子供はよく、ほじった手であちこち掻きますから注意)に常在しています。その他、夏風邪による細菌性結膜炎も乳幼児には多いです。結膜炎でプール中止指示を出し、すごくがっかりする小さな患者さん。治癒してOKを出すと「やったー!」とニコニコ。たとえ水遊びでも中止は子供たちにとって一大事。その反応がとても可愛らしいのでこちらもニコニコ。黄緑のめやにが出るようなら、水遊びをする前に(しなくても!)受診してくださいね。

 

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2012.7.10  スマホ依存に注意

「目がしょぼしょぼする、疲れる」という訴えで来院される患者さんが多くなっています。大方は、パソコン機器のやりすぎ(と思われる)ドライアイや眼精疲労ですが、パソコン業務が主な職種の人ばかりではなく、年齢層が広がってきたのを感じる近年です。もはや、パソコンは仕事だけに使用するものではなくなっているし、加えてスマートフォン(スマホ)普及により、誰でもどこでもの時代になってきました。院長自身も、昨年末にスマホに換えてから、電話とメールだけから卒業し、生活必需品に近い存在に。豊富なアプリとSNS(交流サイト)を利用すれば、スマホ操作だけで時間が過ぎていきそうです。そのため、最近では、スマホ依存という新語も。便利ですが、誤れば時間の浪費をさせ健康に支障をきたすのは、他の依存症と同じ。眼だけでなく、精神や対人関係にも支障をきたします。眼科症状の緩和には、ドライアイや眼精疲労のお薬、眼鏡の提案などはありますが、パソコンやスマホとの関係を見直し、改善することも必要です。「じかに話す、聴く、する」という一昔前なら当たり前のことが、人にとっては大切なことです。診療も同じ。診察室では、ネットや噂での一般論ではなく、眼の前の患者さんに特化したお話をします。不安なことがあれば、ご相談くださいね。雑談でアプリのお勧めも歓迎です。

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2012.6.11    始めなければ始まらない

埼玉県の国立障害者リハビリテーションセンターで視覚障害者用補装具適合判定医師研修会(厚生労働省主催)を受けてきました。医学が進歩しても未だ回復困難な病気、また高齢化により増加しつつ病気もあり、眼科ではロービジョンケアの必要性が高まってきています。ロービジョンとは、「成長・発達あるいは日常生活に何らかの支障をきたす視機能または視覚」と定義されています。ロービジョンの方の残っている視機能を評価し、少しでも見えることの手助けになる補助具、生活職業訓練への助言が出来る眼科医へ。朝から晩までの講義と実習は、まるで医学生に戻ったよう。しかもあの頃よりずっと真剣。同じ志の仲間とともに充実した3日間でした。視野が狭い、かすむ、見えない体験をし、介助の方法を習い、当事者のお話も聞き、知識だけでなく経験の引き出しも少し増えました。ご相談して頂ければ、よかった!というアドバイスが出来るよう、少しずつですが、ロービジョンケアの発信に取り組んでいきます。

ブラインドサッカー(視覚障害者がフィールドプレーヤーです。パラリンピック正式種目)日本代表加藤健人選手(高校生で失明)の言葉。「始めなければ、始まらない」

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