2020.5.26 ステイホームで見すぎちゃう

院長のスマホは、週の始めに、先週のスマホ総視聴時間を知らせてくれます(元々そういう設定?)。

ステイホームになってから、スマホだけでなく、タブレットやPCを見る時間の増えたこと、増えたこと。

 

さて、しばらくぶりに来院される子供の患者さん。

『家でゲームしかすることなかった』『外で遊ぶの禁止だったから』『課題より、ゲームの方に行ってしまう』『ステイホームだと見すぎちゃう』

『そうよね~家の中じゃ、ゲームくらいだもんね~。でも、前回より少し近視進んでいますね』と院長。

『やっぱりそうですか。学校休校を良いことに、一日中ゲームでした』とお母さん。

 

生まれたての赤ちゃんは、ほとんど見えません。

しかし、1歳で約0.2に、2歳で約0.4に視力が発達します。

3歳になるまでに急速に視力は発達し、3歳時健診前後では約1.0になります(月齢個人差有り)。

就学前には約1.0~1.2に発達します。

視力だけでなく、眼球運動やピント合わせも急速に発達していきます。

何気なくしている『見たいものにきちんとピントを合わせる(調節)』『見たい方向に目を動かす』『見続ける(固視)』『細かい字を追って読む(追視)』も、目の発達過程で獲得するもの。

更に『たくさんの刺激の中から自分の見たいものを選択して見る(音もそうですね)』『微妙な、物の立体感がわかる』などもそうです。

身体を動かすことで、目との協調運動も高まります。

例えば、屋外で鬼ごっこをしたら、遠くの広い範囲を確認したり、鬼との距離を確認したりと、視覚と身体全体を使います。

 

ところが、スマホ・タブレット・PCなどを操作している時は、ほとんど身体を動かしません。

画面との距離も、一般の読書距離(30センチ)より短く、20~25センチ(もっと短い距離の人も)に固定されています。

ピント合わせも常に同じ距離のままです。

眼球運動も、小さな画面の範囲のみ。

 

近視の人は、多くが遺伝的要素によります。

しかし、最近では、近視人口が世界的に急増化していて、環境の関りも大きいとされています。

姿勢が悪く、対象物との距離が30センチ未満だと、近視が進行することが報告されています。

小さいうちから近くの物だけを見る習慣になると、姿勢も悪くなり、何でも近づけて作業をするようになってしまいます。

また、長時間の近くを見続けることは、近視進行を早めることも報告されています。

最近では、太陽に含まれるバイオレット光が近視進行を抑えることがわかってきました。

1日2時間以上、屋外で遊ぶと、親が近視でも近視発症率が抑制されたという報告もあります。

散歩でも、公園でのんびり(その間、スマホなどは禁です)でも、バイオレット光は十分に浴びられます。

 

早く学校が始まって、外で思い切り遊べるといいね!

 

今年度の学校健診はコロナの影響で、例年よりも実施時期がずれます。

担当の眼科健診は、学校再開後、出来るだけ早い時期に行う予定でいますが、もし、それまでにご心配なことがあれば、ぜひご相談ください。

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2020.5.19 ひょっとこ顔に!?

ある晩、右眼が『すーすー』

角膜に傷でも付いたかな?

最近は、飛沫感染予防にコンタクトでなく眼鏡にしているけど…

角膜保護剤の点眼をしておこう(眼科医ならでは自己診断治療)。

翌日も『すーすー』が続きます。

まぁ、若い人より回復力は遅いから…

 

と、その日の夕食時、唇の内側右寄りを2回噛んでしまいました。

『加齢で口の中の肉がたるんできた?』

 

翌朝、相変わらず右目は『すーすー』

洗面所でうがいをしようと、水を含んだら唇の右側から漏れます。

食後のコーヒーも気を付けて飲まないと漏れてしまいます。

唇の裏を確認し、腫れが原因?

 

診療後、長年連れ添うスタッフから『先生、右目、腫れてません?』

マスク姿なのに、よく気が付くわね~。

ものもらいや結膜炎はありません。

細隙灯顕微鏡で写真を撮ってもらうと、角膜に横方向の細かい傷が。

 

仕事終了後、鏡の前で自分の顔をしっかり観察。

このところ、マスク姿を良いことに、目元だけの簡単メイクだったので、顔をじっくり観察することも少なくなっていました。

もしや…と思い『あ・い・う・え・お』と大きく鏡の前で声に出して言ってみます。

やはり…

顔の動きが明らかに左右違います。

右の口角が上がらないので、『う・お』は顕著に左右差が。

右目は腫れているのではなく。右眉毛が上がらない(下がっている)ので相対的に右瞼も下がり腫れぼったく見えます。

両眼をつむってみると、右眼はしっかり閉じず隙間が出来ます。

この隙間に一致しての角膜の傷でした。

いずれの症状も、顔面神経支配の顔面の筋肉が上手く動かないからです。

 

『大変!顔面神経麻痺になっちゃた!』

『どれ、どれ~』と家人。

顔面神経麻痺の患者さんを診断するときのルーティンを妻(私)にもして、『確かに、顔面神経麻痺だね~』

『耳痛くない?』発疹はなし。

『ヘルペスは出ていないみたいだね。もう一度、あいうえお、やってみて』

『あ・い・う・え・お』

『ホントに、ひょっとこ顔だね~』

同業者ならではの言葉に、納得。

『ひょっとこ』は火吹き竹で火を吹く顔が、顔面神経麻痺のようだと言われています。

 

声を聞きつけて、息子が。

『すごい!実物、初めて見たわ!もう一回やって。すげぇ、すげぇ。もう一回!』

『あ・い・う・え・お』

赤ちゃんを喜ばすように、何回もやってみせる愚母(私)。

『一生忘れんわ』と、息子。

 

顔面神経は脳から発し、側頭骨の中の顔面神経管を通り、顔面に分布しています。

多いのは顔面神経管の炎症(ヘルペス感染のほか、疲労・ストレスなど)による、『ベル麻痺』と言われるものです。

他に、骨折などの外傷・脳腫瘍や耳下腺腫瘍が原因となることもあります。

 

幸い頭蓋内は異常なし。

ヘルペスの所見もなく、ステロイドと神経賦活剤の内服となりました。

『日本酒飲みますか?』と受診先の先生。

繊細な味を舌先で味わう日本酒を嗜む場合、舌先も顔面神経支配なので、違いに気づくそうです。

『3か月で8割は治癒しますから』

常識的なことを言われても、『ということは、2割は治らない?このままだったら、どうしよう?』と、急に患者サイドでまだ起こりえないことを考えてしまします。

顔面神経麻痺でしっかり閉瞼できず、角膜障害のひどい患者さんを多く見てきました。

『どうしよう?』

 

しっかり服薬。

激しい運動を休んで、ゆっくりとした生活を。

鏡の前で『あ・い・う・え・お』リピート。

1週間単位で徐々に改善。

 

マスクのお陰で人には気付かれず、約1か月で完治。

完治したからこそですが、良い体験でした。

今も毎日『あ・い・う・え・お』確認の院長です。

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2020.5.12 WEBで学会

3月初め、4月の日本眼科学会総会は会場開催中止、WEB開催に変更となりました。

その後、5月、6月、7月の他の学会も全てWEB開催となり、現地の会場へ足を運ぶ必要はなくなりました。

参加登録費は必要ですが。

 

さて、初めてのWEB学会。

日本眼科学会総会は、秋の臨床眼科学会と並ぶ2大眼科学会です。

今回は東京で開催予定でした。

 

厚みのあるプログラムはいつものように送られてきます。

その後、開催間近になると、ログインIDとパスワードが送られてきます。

 

当初の学会開催時期より約2週間遅れで配信開始となりました。

 

パソコンの前に座り、ログインして、視聴ページに到着します。

日付、会場、演目などで検索すると、該当するプログラムが出てくるので、そこをクリックすれば視聴できます。

スライドを次へ次へとめくっていくのですが、音声付きのもあります。

演者の顔は見えません。

質疑応答もありません。

しかし、自分のペースで、スライドを進めたり、戻すこともできます。

集中力が続かなくなると、一旦休止することもできます。

また、リアル学会では、同時刻に一つの会場でしか聞くことが出来ないのですが、WEBでは同時刻の他の演目も視聴することが出来ます。

視聴期間は2週間(先日もう1週間延期決定)。

特別講演、指名講演、シンポジウム、教育セミナー、日曜日特別講演、外国人招聘講演に加え、一般演題が513題。

GWは、自宅でWEB学会→集中力低下し休憩→WEB学会。

休憩の方が長くなってしまいがちでしたが、かなりの演目を視聴することが出来ました。

 

勉強できたのは良い、見返しも可能、時間とお金の節約(休診・代診・交通費・宿泊費など)。

 

でも…いつものような高揚感がありません。

 

大きな学会は、『行くぞ!』と気合の入るイベントです。

限られた時間の中で、いかに自分にとって聴きたい題目に集中し、多くの知識を得るか。

少しだけ合間にお楽しみを入れるのもコツです(今回はホテルで朝ごはん女子会の予定でした)。

大いに勉強し、興奮し、リフレッシュし帰名。

が、いつものパターン。

 

WEB学会で通常より多くの演題を視聴出来ました。

でも、自宅で…ということからか、緊張感ゼロ。

服も普段着以下だし…(学会へは気合を入れて装います)。

誰もいないので、飲食物持ち込み自由だし…(会場では禁止です)。

臨場感ゼロ…が一番の欠点。

 

今後どっちに向かうのかしら???

 

WEB学会とは別に、先日、病診連携先の病院の勉強会がZoomを通して開催されました。

ビデオ会議システムは初の院長(私)。

病院の会議室、東京の演者の部屋、別の演者の部屋と3会場からの中継でした。

参加者は、自分の映像を付けても切ってもOK。

開始は20時過ぎだったので、院長は普段着に。

敢えて?間違えて?自分の映像を映している参加者は、視聴者に映るので『〇先生ってああいうTシャツ好みなのね』とか『〇先生の居間なのかな~』なんて思ったり。

『あくびしてる』とか、『何かお疲れモードみたい』とか表情の観察をしたり。

それでも、質疑応答も出来、リアルタイムで、会場に行かずして講演を聞けたことは有意義でした。

1時間半くらいならZoom歓迎です(院長私見)。

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2020.3.24  MCIって?

先日、『名古屋市もの忘れ検診』について告知したところ、検診を受けられる方が増えています。

当院まで、ほぼ自力で通院。

受付後、視力検査をし、時には視野検査や画像検査もしてから診察。

この間、必要事項だけでなく、何気ない会話が成立している眼科の患者さんは、しっかりされている方が多いように思われます。

 

『もの忘れ検診』のパンフレットを見せると…

『うん、うん。気になってたのよね~最近、良く忘れるし』

『大丈夫だと思うけど、受けて、確認してみようかな~』

『私より、お父さん(夫)の方が心配なのよね~』などなど、様々な反応がありますが、概して検診意欲あり。

もちろん、なかには『結構です!大丈夫です!』ときっぱりと拒否、もしくは『そのうちに…』との先延ばしの返事もありです。

 

難しいことは何もなく、簡単な質問に答えていくだけです。

同居家族の方が、医療者より検診を受けられる方のことを良く知っていることが多いので、夫婦・家族などで質問に答えることも有意義です。

 

『今いるところはどこですか?』

『はせこうさん』(はせ川こうクリニックは結構短縮で呼ばれています。院長を示す場合もあり)

『緑区兵庫』(近所だと地名までわかります)

名古屋市。日本。地球。など、どれも正解です。

 

『一人で買い物出来ますか?』

『いつも嫁さんが買い物してくるから、一人で買い物なんかしたことないな』こういう答えもあります。

 

『入浴は一人で出来ますか?』

『当たり前じゃない。誰かと一緒なんて、お父さん(夫)とでも嫌だわ~』

 

想像を超えた返答が他にも多々…

 

生活に関する質問は、検者や配偶者・家族との関係も垣間見えて、更に世間話的に広がりが出ます(検診後)。

そういった一連の検査結果を集計し、判定します。

 

『認知症の低下は認めない』

『認知機能低下の可能性あり』

『認知機能低下がある』

 

いずれかの結果を伝えます。

『検診受ける前は、ドキドキだったわ~』

少しでも認知機能低下がみられれば、精密検査を推奨します。

 

積極的に検診を受けられる方、80歳近くになっても仕事を持っておられる方は『認めない』傾向にあります(当院調)。

 

『もし認知症だったら怖いから、受けない』と乗り気でない方があります。

実は、いきなり『認知症』になるのではなく、その手前には『MCI:Mild Cognitive Impariment 軽度認知障害』が存在します。

正常な状態と認知症の中間です。

 

アルツハイマー型認知症の原因物質アミロイドベータは、アルツハイマー型認知症を発症する20年位前から蓄積されていると言われています。

MCI(軽度認知障害)の段階でも、脳内にはかなりのアミロイドベータが蓄積しています。

しかし、MCI(軽度認知障害)の時点で早期発見することで、適切な対策や治療で発症を遅らせられる可能性があります。

そのためMCI(軽度認知障害)の早期発見が重要なのです。

 

これは、緑内障でも言えます。(←話は飛びますが、眼科専門医からのメッセージ)

患者さんが、見え方の異常を自覚して来院された時には、中期から末期になっていることがほとんどです。

他の理由で来院されても、リスクや怪しいサインがあれば、緑内障の精密検査を勧めます。

緑内障の前段階の『前視野緑内障』の病態も、注目されています。

40歳過ぎたら、緑内障(前視野緑内障)に注意!

 

早期発見すれば早期治療が可能です。

気軽に検診受けてみませんか。

 

こちらもご覧ください

名古屋市もの忘れ検診

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2020.3.17 全盲デュオの演奏会

全盲二人組による小さなコンサートを聴いてきました。

主催は愛知県保険医協会女性医師・歯科医師の会。

 

バイオリンは29歳の稲葉さん。

バイオリンは5歳から。

 

ピアノは37歳の国枝さん。

ピアノは7歳から。

 

二人とも『未熟児網膜症』により失明したそうです。

 

『未熟児網膜症』とは…

網膜血管(目の奥の血管)は胎齢30週で完成するのですが、未熟児で生まれて、母体から外界へと環境が急変すると、まだ若い(弱い)血管が異常に増えて、悪さをします。

治療をしても、場合により網膜剥離を起こします。

周産期医療の進歩で、超低体重児も生存率が向上していますが、重症の網膜症も増えています。

現在、小児の失明原因の1位です。

 

そして、二人は『就労継続支援B型』施設からの派遣です。

 

『就労継続支援B型』は…

年齢、体力などの面で、雇用契約を結んで働くことが困難な人が、軽作業などの就労訓練を行うことが出来る福祉サービスです。

受給者証が発行されると、作業により生産された製品やサービスの出来高に応じて工賃が支払われます(事業所による)。

得意なことを就労に生かせないか…と考えていたところ、二人の得意分野の音楽に目を付け『DUO ABBEY』というデュオを結成したそう。

 

『メヌエット』『ユーモレスク』からアラジンの主題歌『ホールニューワールド』など、全12曲。

 

稲葉さんのこだわりのせいか、バイオリンの絃の調整で、開始が遅れたり、中断することもありましたが、それは想定内のようで、ピアノの前で、稲葉さんの声がかかるまでじっと待っていた国枝さん。

バイオリン側のステップ2回が曲の開始の合図です。

 

最前席の院長は、二人の表情、指の動きをじっと見ていました。

ピアノを弾く指は、何回も鍵盤から離れるのに、一度も間違えずに指は動き、曲が続きます。

弓を弾く位置、弦を押さえる位置も、ぶれたりしません。

 

点字用の楽譜はほとんどないそうです。

音楽を聴いて、それを自分で音階にして、楽器で再現。

曲は自分の耳だけで暗記して演奏します。

盲人は、他の感覚、特に聴覚は大変発達・鋭敏になると言われていますが、さらに、優れた音楽的才能があるからこそ、成せる技です。

また、一人で弾くだけでなく、相手と合わせるのは、より難しいことだと思います。

 

目を閉じて聞いていれば、目の見えない人達が奏でているとは想像もできない、心に響く素晴らしい演奏でした。

 

障害を持っていても、持っていなくても、人の価値は変わりません。

 

それぞれの出来ること・得意なことを発揮できる社会に。

 

『DUO ABBEY』の活躍を期待します。

 

良い音楽を聴き、心落ち着かせた院長でした。

ふだん『動』が多めの院長ですが『静』の時間も大切にしたいです。

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2020.3.3 障がい者スポーツ医

今年はオリンピックの年です。

そして…パラリンピックの年!

障害を持っても、尚、各種スポーツで頂点を目指すスポーツマンの祭典です。

 

『健康スポーツ医』

『視覚障がい者用補装具適合判定医』を持つ院長。

この流れから、次なるものは…と、『障がい者スポーツ医』の資格取得の講習会を受けてきました。

 

『障がい者スポーツ医』は、障がい者のスポーツ・レクリエーション活動に必要な医学的管理・指導・支援する立場にあります。

パラリンピック競技チームの帯同に必要な資格でもあります。

また、全国障がい者スポーツ大会の帯同も。

 

『障がい者スポーツ』と言っても、障がいの部位によって特性も大きく違います。

 

全国障がい者スポーツ大会では…

身体障がい・知的障がい・精神障がいに大きく区分されています。

さらに、身体障がいは、肢体不自由・視覚障がい・聴覚障がい・内部障がい(呼吸器・心臓・消化器・腎臓など内科系)に区分されています。

各障がいごとに、その原因や病態・スポーツをするにあたっての医学的特性や留意すべき点などを、学びました。

自分の専門科目については、かなり熟知していますが、それでもスポーツ指導となると大変難しい…

専門外の科目については、はるか昔の学生時代の上書き保存。

連日ハードなカリキュラムでしたが、非常に新鮮でした。

 

『ゴールボール』と『車椅子バスケ』の体験実習もありました。

 

『ゴールボール』は視覚障がい者のスポーツです。

アイシェード(目隠しのゴーグル)をして、音の出るボールを転がし、ゴールを狙います。

1チーム3名制です。

指導してくれる選手たちの自己紹介では、『生まれつき見えなくて…』『〇歳くらいで見えなくなって…今は、視野がこんな感じです』など多様な症状。

話を聞いて、きっとこの病気なのだ…と推測できるのは眼科医ならでは。

ゴールボールは、昨年の眼科学会での体験があるので、要領はわかるものの、真っ暗の世界は不安でいっぱい。

相手への声掛け、自分がどう行動するかなど、声での意思疎通のみになります。

 

『車椅子バスケ』は、その名の通り、車椅子でプレイするバスケです。

通常の車椅子ではなく、バスケ用の特注です。

ハの字に車輪が傾き、非常に軽量、スピードも出ます。

ぶつかってもガードがあるので安全です。

まず車椅子で自由自在に動く練習をします。

いかに腕で上手く漕ぐかが、速さの秘訣です。

 

にわかチーム(受講医師たち)に2名の選手が加わり、いきなり対戦。

選手たちのスピードの速いこと、速いこと。

もたついているその他大勢は置いて行かれ、早々とボールをドリブルしてゴール下へ。

受講生たちにボールをパス、シュートするチャンスをくれるのですが、車椅子からゴールにシュートするのは、困難極まります。

チャンスは与えられても、ちっとも届かない…

車椅子バスケは、脊髄損傷の人が多いので、下肢に力が入らす、上肢・腕の力が必要になります。

女子だと、ゴールシュートできるまでに1年くらいかかるそうです。

肢体不自由になって、初めてバスケを始めた人がほとんどだと聞き、驚きでした。

 

パラリンピック開催の目的は

『できない』ことに着目するのではなく『どうすればできるか』の視点に立って創意工夫すれば可能性が広がることを気づかせ、社会を変えること。

 

車椅子陸上競技選手のハインツ・フライ選手の言葉

『健常者はスポーツをした方がよい。障害者はスポーツをしなくてはならない』

 

リオ2016 パラリンピック 『Yes,I can』

YouTubeで検索してください。

きっと世界が広がります。

 

こうした小さなことから『障がい者スポーツ医』として働きかけていきます。

 

こちらもぜひ、ご覧ください

始めなければ始まらない

キャッシュレス、キーレス

日本眼科学会総会のあとの暗闇

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2020.2.25  名古屋市もの忘れ検診

院長は眼科専門医ですが、『名古屋市もの忘れ相談医』でもあります。

スタッフも講習を受けて『認知症サポーター』です。

眼科はせ川こうクリニックは『認知症の方にやさしい店』に指定されています。

当院では、患者さんと会話の多いクリニックゆえか、眼科診療中の会話の中で『あれ?』と『認知症』を疑うとスクリーニング検査をし、『認知症サポート医・専門医』に繋げています。

『認知症』も軽度だと、簡単な会話は成立するので、既に内科にかかっていても、気付かれないこともあります。

 

今年度から、『名古屋市もの忘れ検診』が始まっています。

当院も実施医療機関です。

 

検診に関連して、国立長寿医療研究センターの先生から認知症の講義を受けてきました。

 

認知症に大きく関与しているのは…

中年期では、高血圧・肥満・聴力障害

高齢期(60歳~)では、うつ・糖尿病・運動不足・社会孤立・喫煙だそうです。

 

中年期の肥満は発症リスクを上げるけれど、高齢期にはやや太っている(ぽっちゃり)の方がリスクを下げます。

また、やせ(BMI<20)もリスクを上げます。

高齢期には、無理に痩せてはいけません。

体重減少と認知症も相関ありです。

 

糖尿病は認知症発症のリスクを上げますが、糖尿病性網膜症(眼底に出血など起こる)など末梢血管の循環が悪くなると、さらにリスクが高まるとのこと。

眼科と認知症もリンクしています。

 

喫煙もリスクありなので、禁煙をお勧めします。

喫煙は、眼科の病気(加齢性黄斑変性症など)を含め、ほとんどの慢性の病気のリスクになっていますが。

 

運動習慣も大事です。

推奨は1日60分ほど、1週間に3~4回、中~強度の強さで続行すること(体力のない人、機能の衰えがある人はこの限りでない)。

有酸素運動、筋トレ、太極拳(体幹を使う)などの運動が有効です。

 

あとは、社会との繋がり。

繋がりの大きさは関係なく、外部社会に参画することが重要。

 

内容は、どれも、スタディ(研究)に基づいた事実や仮説であり、非常に興味深い内容でした。

眼科以外の勉強は、いつもリフレッシュ出来て楽しい!と思うのは院長だけ?(もちろん眼科の勉強も楽しいですが)

 

人生100年時代。

現在95歳以上だと、女性の4人に3人、男性の4人に1人が認知症です。

誰もが、なり得る認知症だからこそ、発症リスクを抑える努力(予防)をしたり、早期発見・治療に主眼が置かれてきています。

認知症になったとしても、社会生活に支障を及ぼさずに、天寿を全うする。

これが、今の認知症治療の目標です。

 

認知症の患者さんを、目の病気の依頼で往診します。

認知症の程度も様々、認知症の進行具合も様々です。

 

『名古屋市もの忘れ検診』は、1年に一回受けられます。

65歳以上で認知症と診断されていない市民が対象です。

受付にお申し出ください。

 

まだ若い(と言っても中年…)院長は、今のうちに、リスク軽減に努めたいと思います。

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2020.1.28 花粉と初期療法

1月も下旬、あっという間に2月です。

 

『そろそろスギ花粉症の時期なので…』と、点眼や内服を希望される患者さんが増えてきました。

『また、次のシーズン前に来院してくださいね』の院長の指示に、毎年この時期に来院(再会)される律儀な患者さんも。

 

『初期療法』という言葉が浸透してきたように思います。

『初期療法』とは、花粉の本格飛散開始の約2週間前から、抗アレルギー点眼薬や内服を開始する治療法のことです。

症状の発症を遅らせ(自覚症状が出にくくなる)、花粉飛散ピーク時の症状も軽減させると言われています。

 

眼科雑誌に、ちょうどアレルギー性結膜炎の予防投与の論文がありました。

 

初期療法のメカニズムには3つ考えられていて…

 

①本格飛散の前から少しずつ花粉は飛んでいるので、自覚症状(かゆみなど)はなくても、局所では炎症が起こっている可能性がある。

無症状だけど、水面下で炎症が起こっている状態を早めに抑えることで、本格飛散時の炎症を抑えられる。

 

②アレルギー反応は一度起こると、肥満細胞の脱顆粒(医学用語。俗にいう肥満とは無関係)により激しいかゆみが引き起こされる。

続いて、炎症細胞が動員され、ドミノ倒し的にかゆみが増加。

掻くことで目の表面のバリア機能も低下し、少し(10分の1から100分の1)の抗原(花粉)でも反応を起こしやすくなってしまう。

掻かないようになることで、アレルギー反応のドミノ倒しが起こらないようにする。

 

③抗ヒスタミン点眼薬は、かゆみに即効性があるので、近年処方されている(当院も処方しています)。

インバースアゴニスト活性の高い(医学用語)抗ヒスタミン点眼薬をさすことで、ヒスタミンH1受容体の数を減らし、かゆみを感じにくくすると考えられる。

 

実際、初期療法開始グループと通常療法(飛散してから処方)グループで比較したところ、『目のかゆみ』『目の異物感』『目の充血』『涙目』『目やに』の各項目に置いて、初期投与グループで有意(統計的に)に抑制されています。

また、QOL(生活の質)も低下が認められませんでした。

つまり、花粉の時期も快適に過ごせるということ。

 

以上が論文の大雑把な要約です。

 

『初期療法』は有効なので、1月下旬(今ですね)から2月初旬頃までには、点眼・内服を開始しましょう。

かゆみスイッチを減らすことで、かゆみを感じにくくする作用(予防)のある点眼・内服を開始しましょう。

また、一日何回の用法を守らず(忘れて?)、かゆくなったらさす人が多いのですが、定期的に点眼することで、かゆい感覚を抑えます。

 

今年は、例年よりは少ないと予想されています。

でも、油断は禁物!

東海地区は、2月中旬が飛散開始予測日です。

2月下旬から3月上旬にピークとなります。

 

院長は、スギ花粉に初めて発症の年(開業してから)、散々な目に遭いました。

あの恐ろしさを二度と味わいたくないと、毎年初期療法を行っています。

ゴルフもしばらくお休みです(だから上手くなれない…と言い訳)。

 

スギ・ヒノキ花粉症の方は、ぜひ、早めにご相談ください。

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2020.1.14 地域医療実習

今年度より、藤田医科大学医学生の地域医療実習の受け入れ機関となりました。

5年生への進級が決まった4年生、もしくは5年生がstudent doctor(学生医師?)として、地域医療機関(病院や開業医)に実習に来ます。

初の受け入れ第1号は、好青年のMくん4年生。

 

院長が医学生だったころとは違い、今は、カリキュラム全てが前倒しになっています。

4年生までに、基礎科目(解剖・生化学・薬理などなど)だけでなく、臨床科目(内科・外科・産婦人科などなど)も終了。

国家試験も前倒しで2月(院長の時代は4月)です。

 

藤田医科大学では4年生から臨床実習です(院長の時代・岐阜大は6年生のみ)。

国家試験のシステムも内容も激変しているようです。

30年なんて一昔どころではない期間、親子ほどの差がある学生を見てそう思います。

 

『〇内科のT教授に教わった?』

『はい、すごく勉強されていますよね』(そりゃそうです)

『大学の同級生なの』

『え~!?そうなんですか!?』

同級生の何人かは、大学教授に就任しています。

T君(教授)もその一人。

学生の立場からは『は、は~』と恐れ多い教授T君と、『は、は~(母)』みたいな実習先の院長(私)。

『月とすっぽん』ではありますが、双方、もうそんな年齢、立場なんだわ~

 

院長の傍で、診療の様子を見てもらいます。

当院は緑内障患者さんが多いので、院長自ら眼圧を測ります。

『教科書のその機械で測るの、初めて見ました!』

『こんな風に見える眼底カメラ(オプトス)、初めて見ました!』

初めてがいっぱい。

M君が持参した眼科の教科書は、今風のイラスト多しの廉価な本と、由緒ある『現代の眼科学』の第13版。

『お~!まだ、あるのね!』

院長室の本棚にある学生時代の『現代の眼科学』は第3版。

ここでも時代を感じます。

 

昼休みの往診も同行してもらいます。

眼科の往診は意外だったようですが、患者さんに会い、状態や病名を知ると納得。

 

開業医は、毎日毎日同じことの繰り返しのようですが、患者さんは一人一人違うので、全く同じということはありません。

尋ね方、診療の仕方、説明方法、薬の処方内容、世間話など、個々に対応できるコミュニケーション能力は大事です。

知識も、技術も、検査機械も、医師を続ける以上留まることなく更新していかなければいけません。

特に、個人の開業医は、自分で課さないと、進化していきません。

医療現場以外の体験も、プラスになることは多いので、好奇心もあった方がいい。

などなど、熱い?思いも、先輩医師として、語った次第です。

『患者さんとの距離が近いことに驚きました』

病院よりは、そうだと思います。

距離が近いことが、開業医の強みであり、地域医療を担う上で重要なことだと意識して、診療をしています。

 

M君との距離も縮まり、息子のように愛着がわいた1週間。

最後は、鏡開きのぜんざい(毎年の院長お手製)を食べて、『実習お疲れさまでした!』

 

どの科を選ぶにしても、モノになるまでは、辛くても諦めないで!

止めないで続けることこそ、医師の道が開け、更に続けることが出来ます。

M君、頑張って!

オバサン医師(院長)からのエールです。

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2019.12.17   ハンフリーもやってきた

忘年会のシーズン。

当院ではお昼が定番。

いつもよりちょっとお洒落して、いつもよりちょっと美味しいものを、いつもよりちょっと素敵なお店で。

 

今回は高層ホテルで和食を。

 

まずは、全員で一年の振り返りをします。

昨年の忘年会で『2019年は電子カルテを導入します』と宣言したことは実行(カスタマイズ道半ば)。

その後、予定外で、OCTA(光干渉断層血管撮影)、オプトス(超広角眼底撮影)を導入。

そして先週、ハンフリーフィールドアナライザー(HFA:通称ハンフリー)の新モデルを2台導入しました。

ハンフリーは緑内障を始め視神経や網膜の病気で、視野の程度や進行を確認するためにとても重要な視野計です。

当院には常時2台、一時は3台が稼働していました。

検査機械も経年劣化か、時々調子が悪くなります。

2代目モデルは修理をしても(うん十万です!)また故障の可能性がある…とのことで、2台とも新モデル導入を決断しました。

新モデルの特徴は、短時間メニュー(だけど信頼性は高い)が出来たことです。

集中力の続かない人、腰痛などで長くじっと座っているのがつらい人など、今までの視野計よりも時間が短縮した分、身体的精神的負担が軽減されます。

3代目モデルは、よりコンパクトになり、よりスピーディーに。

 

OCTA、オプトス、そして新モデルのハンフリーもやって来て、今年は、開業以来、最高の設備投資をしました。

『新規開業みたいですね』とスタッフ。

院長は経年変化(劣化ではなく成長と信じています)していますが。

患者さんに、より精度の高い検査機器で診療を受けてもらいたいのは、院長の願いです。

院長はじめスタッフの診療へのモチベーションも上がります(勉強することも増えますが)。

 

さて、女性ばかりの当院では、話題に事欠きません。

『趣味』『お出かけ』『流行り物』『ハマりもの』『コンビニデザート』などなど…

一人発言すると、『☆(そのあとに続く会話)』『☆』『☆』で盛り上がります。

 

雑談の後、本日の司会からお題が。

『やってみたいこと』

その一つに

『30日間、毎日スーパー銭湯で岩盤浴して、備え付けの漫画を読破したいです!』永年頑張ってくれているAスタッフ。

『う~ん、有給30日はちょっと…』と、院長。

『定年退職したら、ですよ』Aスタッフ。

『でも、7日間なら…いや、まず3日連続有給取れるように来年は何とかするから、まずはお試し(岩盤浴と漫画)で3日やってみたら?』

『う~ん、そしたら本当の温泉に行く方が良いかもしれないですね~。なんて、3日休んだら、仕事気になっちゃうかも』

新しいスタッフも増える予定です。

来年は、スタッフの有給消化を目指します。

 

今年はハード面の充実、来年はソフト面の充実を。

至らない院長をフォローしてくれるスタッフに『感謝』の忘年会も盛会に終わりました。

こちらもご覧ください「OCTA(オクタ)講習会」

こちらもご覧ください「Optosがやって来た!」

こちらもご覧ください「電子カルテがやってきたけど…」

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