2022.11.29  赤ちゃんの涙

私生活では、赤ちゃんのいる日常からずいぶん遠ざかってしまった院長です。

ただし、眼科診療をしていると、赤ちゃんの患者さんも受診されます。

乳幼児・学童期になるともっと。

小児科ほどではないにしろ、子供と関わることが多い科と言えます。

 

生後まもなく片眼(もしくは両眼)から、涙と目やにが出る赤ちゃんがいます。

心配になって来院されます。

涙が目(涙点)から鼻に抜ける排水管(涙道)が詰まっている病気であることがほとんどです。

先天性鼻涙管閉塞(せんてんせいびるいかんへいそく)という病気です。

新生児の6~20%に発症と言われています。

 

しかし、生後12か月までの自然治癒率は96%と報告されているので、心配しすぎる必要はありません。

基本は経過観察(放っておけばいいということではない)。

 

目やにが出る場合は、抗菌点眼薬を処方します。

粘性や膿性など目やにの性状を見て。

漫然と使用していると、抗菌点眼薬が効かない菌(耐性菌)が出る可能性があります。

これは、鼻涙管閉塞に関わらず、すべての病気で抗菌剤を使用する際、注意すべき点。

目やには湿らせたティッシュや綿でそっと拭き取りましょう。

 

涙嚢(るいのう)マッサージが有効な場合もあります。

涙嚢(目頭のやや下内側)から小鼻に向かって、指で圧をかけます。

5~10回を1日2~4セット。

この時、マッサージをする人の指は爪を切って清潔にしてから。

涙の排水菅(鼻涙管)の一番下の詰まっているところに圧が加わるように。

 

約半年ほど経過を見ても開通しないようなら、プローピング(細い針金ようなものを挿入して詰まりを取る)をします。

最近では、涙道内視鏡での治療も可能になりました。

 

先天性鼻涙管閉塞診療の最新のガイドラインのまとめです。

 

ガイドラインは変化していきます。

専門家によって、多大な論文が検証され、信頼のある(推奨する)検査・治療が決定されます。

全て出所がはっきりしているものです。

私たち眼科専門医も、その都度熟知して診療にあたりたいと思います。

 

生後間もなくは、赤ちゃんは、まだわんわん泣いても涙を流しません。

生理的な(目の表面を保護する)涙だけが分泌されています。

3~4か月で神経系が発達してくると、感情による涙も出るようになります。

生理的な涙の分泌低下、または蒸発が早くなってしまうのがドライアイです。

 

三男出産1週間目で復帰した院長。

赤ちゃんを診療するたびに、患者である赤ちゃんは泣きます。

この泣き声に授乳中の母(院長)は反応。

乳汁分泌ホルモン・オキシトシンの働きでおっぱいが。

診察室で赤ちゃんの泣き声を聞くたびに反応した院長です。

今では笑い話ですが。

 

息子たちの泣く声を聞かなくなってどのくらい?

次の世代の赤ちゃんの声を聞く日が来るのかしら?

『孫が生まれました』の報告を聞きながら思います。

 

 

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2022.8.9  仕事が回りません

『8月は上半期で一番忙しい時期です』

産業医を担当しているスーパーの店長さん。

土用の丑から始まり、夏休みのレジャーやお盆の集まりなど、お客さんの購買力がアップ。

スーパーの売り上げもアップを狙います。

『忙しい時、余裕のない時に労働災害は起こりやすくなります』

 

コロナ禍と繁忙期が重なり、残業時間も増えているようです。

各部門とも新規アルバイトやパートさんを指導し、仕事を任せられるように…とお願いする店長さんは、自分(院長)の姿が被ります。

 

安全衛生委員会は、会社側(産業医もこちら側)と労働者側の何人かのメンバーで構成されています。

 

惣菜部門より出たのは『暑いです!』

当然、火を使い調理をするので、巡視していても室内温度はかなり上がっています。

加えて、総菜部門に隣接する壁面に室外機が設置されているので、さらに室温上昇です。

『こまめに水分を摂ってください』産業医(院長)。

『室外機は移動できないですよね~』(と、店長さんを見る)

後は…

『ちょっと触っていいですか?』

制服の生地が化繊です。

自宅用ではないので、火傷予防にも長袖着用が望ましいのですが、これでは暑いわ~

『惣菜部門だけでも、化繊から綿100%に出来ないでしょうか?会社全体の問題になるかもしれませんが…』と、店長さんに提案を依頼(報告書も提出)。

 

各部門から、気になる事を挙げてもらいます。

 

安全衛生委員会の後は、いつもの巡視。

巡視時も、スタッフに何か気になる事がないか尋ねるようにしています。

 

『品出しで腰が痛くなるんです~』と、パートのオバサン(以下パートさん)。

『しゃがんで持ち上げるようにすると良いですよ』産業医のオバサン(院長)(以下産業医)。

『そんなことしてたら、仕事が回りませんよ』(パートさん)

回る仕組みを考えないと。

腰にやさしい運搬の仕方を定着させないといけないわ~

『まあ、コルセットしてるからまだましですけどね』(パートさん)

『コルセットで腰の負担は減るけれど、腹筋と背筋を鍛えると良いですよ』(産業医)

『朝から晩まで仕事して、家帰ったら、またやることだらけだから、そんな暇ないですよ』(パートさん)

オバサン(産業医・院長)アドバイスするも、オバサン(パートさん)手強し。

自身は腹筋・背筋を鍛えてから腰痛とは無縁になったのですが、普及活動は困難を極めそう…

スポーツ医の立場からも…腰痛予防だけでなく、腹筋背筋を鍛えると姿勢がよくなります(若見せ効果もあると思う)。

まずは、自重の腹筋を1回から。

慣れてきたら、負荷をかけたり、腹筋の部位に分けてトレーニングしたり…(メニュー色々実行中)

 

さて…『そんなことしてたら、仕事が回りませんよ』のセリフ、当院でも時々聞きます。

サンダーなどの研磨で鉄紛が目に刺さり来院されます。

すごく早いスピードで目に飛入するので、一瞬の出来事です。

院長は、専用の針やドリルで丁寧に鉄粉や錆(数日経つと錆が出る)を削り取ります。

『保護眼鏡付けてましたか?』の質問に、

『そんなことしてたら、仕事が回りませんよ』と答える患者さんの多いこと。

職場のマニュアルは、労働災害を回避し安全に仕事をするための指南書なので、守りましょう。

 

店長さんと巡視中に、鮮魚コーナーで。

『刺身は、厚すぎても薄すぎてもダメで、ちょうどいい厚さがあるんです。そういうことも研修受けるんですよ』

なるほどなるほど。

水産部門Aさん(安全衛生委員)作のお造りはお値打ちで美味しそう…

買って帰ろっと。

そんな余裕も出てきた産業医です。

 

 

 

 

 

 

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2022.8.2   おかげさまで25週年

開業初日の朝は今も記憶に新しい院長です。

8月1日まぶしい快晴の朝。

おかげさまで、25周年を迎えることが出来ました。

あの日以来ずっと地域の開業医として走り続けています。

 

異郷地で、小さな子供たちを抱えながら仕事を続けるのに、開業を選択しました。

開業の翌年に三男を出産。

自営業(開業医)は、産休・育休は保証されておらず、出産日と産後7日休んだ後復帰しました。

地域の開業医としての勝手な自負と責任感、若さゆえの体力が可能にしました(いつ寝ていたのか?)。

保育園の預かり18時に診療終了時間を設定したものの、お迎えはいつも遅刻。

我が家の子供たちはいつもお残り組でした。

 

眼科専門医の資格は取得したにもかかわらず、開業してみると、知識や経験の足らなさを自覚しました。

育児も中途半端で、女医がフルに働くことはなんて難しいんだろう!と嘆いたものです。

 

眼科医としての充実か、母親として育児の充実か?

優先したのは、医師としてのキャリア形成でした(もちろん悩みました)。

 

長男が小学校入学を機会に、自身も大学院入学。

しばらく遠ざかっていた大学病院の緑内障外来や研究。

開業医+育児家事に加え更に厳しい状況になりました。

子供たちがプールで泳いでいるのを見ながらのママ友の雑談から離れて、必死に論文を読んでいました(絶対的に時間が足りないので)。

台所にはパソコンを置き、4時起床が日課となりました。

子どもたちは、平日母とは遊べなくなりました。

 

あの時、今でなくても…と言う声もありました(家人ではない)。

もっと子供が大きくなってから…とか。

でも、あの時しかなかったし、あの時だからこそ出来たのだと思います。

医学博士は、最後のご褒美であって、その過程こそが大きな自信となっています。

 

緑内障の失明症例などを経験していくうちに、視覚障害者補装具適合医師の研修を受け、ロービジョンにも関心を持つようになりました。

パラスポーツを知って、まずは健常者のスポーツ医学を学ぼうと、日本医師会認定健康スポーツ医を取得。

ロービジョンとスポーツ医の次は身体障害者スポーツ医も取得しました。

患者さんの就労環境や健康管理の話から、産業医も取得しました。

また、高齢の患者さんも多いため、名古屋市もの忘れ相談医としてもの忘れ検診を実施しています。

開業以来拝命している学校医も、自身の資格や経験を活かして活動出来ていると思っています。

 

思い立った時はチャンス!

一歩踏み出すことで、その時はたくさん苦労もしょい込むことになりました。

でも、もっと先の未来(現在)に立てば、全てがつながっていると感じます。

眼科医が根幹を占めている院長ですが、色々関心のあることに枝葉を伸ばしたことで、幹も太くなってきたと思います。

 

当院は、オーナーシェフ1人でやっている小さなレストランだと思っています。

シェフの味と人柄を求めてお客様が来てくださるのが、生きがいです。

シェフは、お客様ひとりひとりが大好きです。

同じ気持ちを持ったスタッフも頑張ってくれます。

お客様の期待に応えるべく、気持ちよい空間(屋内外とも)つくりと、味の仕込みを続けています。

『来てよかった~また来るわ~』と言ってもらえる一皿をお出ししたいです。

 

知識も経験も年月を経て蓄えられます。

量ることは出来ませんが、院長の眼科医人生の中で、当院の患者様からの得た経験は大きなウエイトを占めています。

経験を診療で還元できるよう、これからも日々研鑽を積んでまいります。

地域のかかりつけ医として、今後ともよろしくお願いいたします。

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2022.6.14 暗いところで

学校検診後の『受診のお勧め用紙』を持って受診される患者さんが多い毎日です。

ほとんどは、視力低下です。

眼科で視力検査をすると、1.2ずつ出て、近視も遠視もなく、問題のない子もいます。

『学校では何で悪かったのですか?』

『おそらく、緊張とか他の様々な要因でたまたまだったのでは?眼科できちんと検査して問題ないから安心してください』と伝えます。

お勧め用紙をもらって受診、何もなくて何よりです。

対して、B(1.0未満)でお勧め用紙をもらっても、けっこう近視度が強いこともあります。

子どもは、ピント合わせの力が強いので、少し頑張れば見かけの裸眼視力はアップします。

 

学童の視力低下で多いのは、近視です。

近視は、遠くのものが見えにくくなります。

もっとも低学年では、見えにくいという意識が低いため、成人よりも近視が進行していても気が付かないことが多いです。

 

光は水晶体(茶目)を通して、眼球の底(網膜)にピントを合わせます。

網膜上に焦点がきちんと合っていると、物がはっきり見えます(脳が認識)。

近視の場合は、網膜の手前に焦点が合います。

このため、遠くのものが見えにくくなります。

遠視は、網膜の後方にしか焦点が合わないので、遠くも近くも見えにくくなります。

近視・遠視とも、眼鏡によって、焦点を網膜上に合わせることで、物をはっきり見ることが出来ます。

水晶体は、遠くを見るときは薄くなり、近くを見るときは厚くなります。

この調節をするのは、水晶体を支えている毛様体筋です。

この働きが鈍ると、ピント合わせがしにくくなります。

また、一般に、近視は眼軸長(目の奥行)が長く、遠視は短い傾向にあります。

 

近視の進行抑制には、外遊びや、20/20/20ルール(20分PCなどを見たら20秒20フィート(6M)先を見よう)が推奨されています。

『暗いところで本を読んだりゲームをしないほうがいいですよね!?』

院長も子供時代に言われていました。

その頃は、なぜかはわからず、言い伝えみたいなものかと聞いていましたが。

 

暗所で物を見ると、瞳孔(黒目)が開いて光を取り込もうとします。

瞳孔が開き続けると、目に入る光の量は増えますが、ピントがぼやけやすくなります。

これが刺激となり、眼軸長が伸びる(=近視化)報告もあります。

若いと、瞳孔の開きの調節がスムーズなので、暗所でも平気で字が読めますが、注意です。

 

ちなみに、加齢により、暗所の作業はしんどくなります。

薄暗いムーディーなお店では、目を凝らしてもメニューが読みづらいこと。

暗めのカフェで読書する気にもなれません。

同様のことを訴えて来院される患者さんも多々。

院長も経験済みです。

加齢により、瞳孔は小さくなり、暗所で瞳孔を調節することも困難になります。

だから、オバサン(院長)は明所を好むようになります。

ムードは関係なしに。

 

往診で老人ホームなどの施設に行くと、暖色系の灯りで統一されています。

暖かさや落ち着きをアピールするにはいいと思います。

しかし、この照度では、入居者は美味しくご飯を食べたり、読書が出来ているのかしら?

テーブルにLEDスタンドでも置いたら、コントラストがはっきりするのにな~(ムードはこの際なし)と思います。

 

ムーディーな暗所も時と場合によっては必要です。

でも、何かをしっかり見るときは、明るくしたほうが良いです。

見なくて済むものも見えるかもしれませんが。

 

 

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2021.9.14 見つめられても…

高校生のA君が、お母さんと一緒に来院されました。

『1年位前から、息子と話していると、片眼が外に向いているんです』と、心配そうなお母さん。

 

『自分では、気づいていますか?

お母さん以外の周りの人から言われたことは?』と本人に質問。

 

自分で気にしたことはない。

母親だけが気にするだけで、周りは誰も気づいたり、指摘しないそう。

父親からも(まあ、この年頃だと、父親と顔を合わることも少ないでしょうが)。

 

『まじ、きもいんですよ~この人(母を指して)。

話してると、俺の顔じっと見てきて…まじ、うざいんっすよね~

それで、なんか変…とか言ってくるし…』

院長の脳裏に『うっせわ~♪』が流れます。

母親の前で…

 

『まあまあ…診察始めましょう』

 

診察を始めます。

ペンライトを持ち、正面視させると、両眼ともまっすぐ前を向きます。

しかし、斜視検査をすると、片眼が外側に向きます。

輻輳(寄り目)は十分できています。

軽い近視あり。

その他、眼の病気はありません。

片眼の外れ方も軽度なので、立体視は正常でした(斜視だと立体的に見る力が育たないことがあります)。

 

『お母さんのご指摘のように、やはり、片眼が外向きますね。

いつもは正面視で問題ないので、間欠性外斜視です』

『え~何々?まじっすか~』

 

間欠性外斜視は、正面視だと、まっすく前を向いているのですが、何かの拍子で片眼だけが外側を向く斜視です。

外向きの力が多々強いので、片眼が外側を向いてしまいます。

いつも(恒常性)ではなく、時々(間欠性)。

緊張が取れたときとか、気が抜けたときに、片眼が外れやすくなります。

なので、人前(学校などでの緊張状態)では気づかれないことが多いです。

家で家族が気が付くか、自分で気が付くか…

子どもが小さいときは、母親(たまに父親)が気付くことがほとんどです。

学校検診で見つかることもあります。

 

治療は、外向きの程度により、経過観察・眼鏡・手術があります。

Aくんには近視もあったので、眼鏡を処方することにしました。

 

『どう?』

『いい感じっす』

『お母さんが気付いてくれて、眼科受診することになって良かったですね~

お母さんほど、Aくんのこと見つめてくれる人はいませんよ。

だから、変化に気づけたんだから。

うざいなんて言わないで。

ね~お母さん』

お母さんをしっかりフォロー。

 

『わかるけど、時々マジうざくなるんですよ~』

息子の言い分もあるけれども…

 

息子も、思春期の頃、母の気持ちも知らず人前でボロクソに言ったよな~

母の愛は無限の慈愛です。

パートナーの愛は、恋愛から始まる有限の愛。

長い年月をかけて、慈愛になるのだけれど(院長も慈愛の域に…)。

 

親子連れが来院される度に、自分の子育てを顧みて、診療後、安心して帰っていただきたいと思っています。

 

*来週は『公センセの部屋』お休みします

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2021.8.24  寝押しのイメージ

眼鏡処方希望で患者Dさんが初診で来院。

ふだんはハードコンタクトレンズ(HCL)装用で左右とも視力1.2。

しかし、50代になり、近くを見るのはコンタクトなし(裸眼)のほうが見やすくなり、コンタクト装用も疲れるようになり…眼鏡はどうかな…と言うのが受診のきっかけ。

 

軽い近視があり、この年齢だと、裸眼で一番焦点が合いやすい程度です。

眼科的には異常はありませんでした。

近くは裸眼で見ることにし、遠用眼鏡の処方を始めました。

しばらくすると…検査スタッフが『眼鏡で矯正視力がしっかり出ません。HCLだと出ていたのですが』

 

HCLの使用状況を聞きました。

連続装用可のHCLだったので、連続装用(ずっと付けっ放し)していたと。

一般にHCLは連続装用と終日(起きている間)装用対応のものがあります。

連続装用可であっても、眼科医の指示のもと、夜勤など限られた仕事の場合に限定すべきで、自己判断で自由に付けっ放しで良いわけではありません。

 

やはり…

『HCLをずっと付けっ放しだったので、角膜(茶目)が押され続けて、角膜カーブがより平坦になってしまっているんです。眼科的に、角膜カーブがフラット(平坦)になると、近視が減る計算(詳細は割愛)になります。

なので、本日測定した近視の程度は、本当の値より低く出ている可能性があります』

Dさん、少し難しそうな顔。

眼球模型を見せながら…

『寝押しのイメージで…HCLで角膜を押すと、角膜は少しのっぺりするんですね。そうすると、角膜がのっぺりすることで、近視が減る仕組みなんです』

『なるほど!寝押しね。わかりました』

その後、『寝押し』っていうワード、懐かし~で盛り上がりました。

 

寝押しとは、布団の敷布団の下に衣服を敷いて、一晩寝て体重をかけることで、再度スカートやズボンのひだや折り目を付けることです。

アイロンより手軽な方法です。

院長が中高生の頃は、学生の毎晩のルーティンだったと思います。

 

我が家では息子の制服のズボンにアイロンを当てるほど、気の利いた母(院長)でもなく、ベッド生活なので脱いだ制服をそのまま着ていたような…

 

『寝押しって知ってる?』息子たちに聞くと

『何それ?知らない』という答え。

現代では死語になっている!?

 

さて、Dさんには、1週間ほど、HCLを中止してもらうことにしました。

再診時、角膜のカーブは前回に比べてややスチープ(急峻)になっていました。

近視も、前回測定時よりやや強めに。

これが本来のDさんの近視度数と角膜カーブ。

スムーズに視力も出て、眼鏡処方に至りました。

 

最近は、ソフトコンタクトレンズ(SCL)が大多数を占めるので、角膜カーブは以前より大きく問題になりませんが、大事な指標ではあります。

 

良く見えるようにする治療の一つに、オルソケラトロジーがあります。

角膜矯正療法と言う意味です。

個々の角膜形状に合わせてデザインされた専用コンタクトレンズを夜間装用することで、角膜カーブをよりフラットにします。

簡単に言えば、角膜の寝押しです。

夜寝るときに、個々にデザインされたHCLをして、朝起きたら外す。

日中は裸眼で過ごせる。

手術のような侵襲はないため、学童児でも受けられる方はあります。

ただし、継続が必須(止めたら戻る)ですし、その都度、角膜カーブに合ったHCLを作成しないといけません。

 

院長も強度近視なので、裸眼ですっきり見えることに憧れた時期もありました。

50代になった今、裸眼で近くが見えることの有り難さを感じる日々です。

近視…眼鏡で見えるんだったら、全然悪い目じゃないですよ!

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2021.8.3 二桁の人

電子カルテになり、来院患者は、診察券番号・氏名・年齢ともに一覧で確認できるようになりました。

診察室のパソコンで、本日の混み具合や検査の進行具合などがわかります。

診察券番号の付け方は、病院やクリニックによって違いはありますが、来院順に付けることが多いと思います。

 

ある日、2桁番号の患者さんが。

ちょっと年季が入っている当院としては、非常に珍しいことです。

1桁は開院当日に来院。

1番から9番までしかありません。

数人は知人だし、一回きりの受診患者さんもいるし、緑内障で長く診ていた患者さんも数年前鬼籍に入られました。

2桁も同じく開院当日か翌日。

10番から99番が該当します。

○○A子さん…誰?

 

『○○A子さん、お入りください』

赤ちゃんを背負い、2歳くらいの男の子を連れた眼鏡をかけた女性が入室。

この顔、見覚えが…

『もしかして、△△(旧姓)A子ちゃん?』

『そうです。お久しぶりです。覚えてくれてましたか?』

やっぱり。

A子ちゃんは視力検査で来院した小学校低学年の女の子でした。

不同視(左右の度数の差が大きい)と乱視があることが分かり、弱視訓練を開始しした患者さんです。

眼鏡を常用することから始めました。

左右の度の差は縮まらなかったものの、最終的に両眼とも眼鏡で矯正視力が出るようになりました。

目の前の女性は成人した素敵な女性ですが、小学生のA子ちゃんも重なっています。

 

近況を聞くと、現在は関東在住とのこと。

『ちょうど、実家に帰ってきたので。定期検診と気になることもあったので、診てもらいに来ました』

『お母さんはお元気?』(お母さんの顔も浮かびます)

 

患者さんには失礼ですが、こうした再会は、患者さんからもらう、クリニックを続けるモチベーションアップとなるプレゼントです。

 

 

2桁の患者さんのひとり、Bさんからは、時々往診の依頼があります。

眼脂や、目の周りのただれなどで。

Bさんは90歳超。

残念なことに、認知症進行により、もう院長どころか、家族のことも施設の人のことも覚えていません。

診察券番号は、2桁前半。

受診された当時は60代でした。

施設入居された頃から、人の顔も物事もどんどん忘れられ…しかし、当時Bさんと交わした、いくらかの会話は、確実に院長には記憶されています。

 

 

2桁の人も、一回限りの患者さん、鬼籍に入られた患者さん、転居された患者さんなど、色々いらっしゃると思います。

ただ、開院当日と翌日の患者さんだけに、感慨深いものがあります。

 

 

記念日当日を覚えているのは、子どもの誕生日、自身の結婚式。

そして、院長にとっては開院日です。

周年が来るたびに、院長・スタッフ・患者さんとで築き上げてきたのだと実感します。

お店でも会社でも、何かをやり始めた当人は、その日は特別なんだと思います。

24年前の夏の日もセミがジージー鳴いていました。

A子ちゃんのように、5か月の次男をおぶり、2歳目前の長男の手を引く若いお母さんでした。

開業で、生活は一転。

育児より仕事優先、勉強優先。

でも、育児は待ってくれない。

今ほど筋肉はないが、日々を乗り切る体力。

今ほど知識・技術はないが、患者さんの症例から勉強させてもらう貪欲さ。

若さゆえの勢い。

 

来年の25周年に向かって、少しでも地域医療に貢献できるよう、初心忘れず、診療に励みたいと思います。

引き続きよろしくお願いいたします。

 

 

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2021.6.29  ふか~い視力?

大型自動車免許の更新時、深視力検査に合格できなかったと患者(A)さんが来院されました。

 

深視力検査は、内側で棒が前後に動く箱を覗いてスイッチを押す検査です。

箱の中に2.5メートル離れた位置に3本の棒があり、中央の棒が前後に動き、左右の棒と横並びになった時にボタンを押します。

左右の棒との位置ずれを測定する検査です。

目的は、物体の遠近感や立体感の確認です。

大型車は、側・後方確認にミラーを多用するため、距離感や奥行き感が正確につかめないといけません。

眼科的には、両眼視機能の検査の亜型です。

 

院長は普通免許のみなので、実際に検査を受けたことはありません。

家人は、大型免許を持っている(一度も活用なしですが…)ので、更新のたびに深視力検査を受けています。

 

Aさんは45歳。

斜視はなく、眼位は正常です。

両眼視機能の立体視は異常なし。

眼自体に問題はありません。

軽い近視と老眼があります。

近視になったのは30代後半で、運転時眼鏡を使用することも時々忘れるほど。

裸眼視力は右0.3左0.4

眼鏡の視力(矯正視力)は右0.8左0.9。

普通免許の更新は、両眼で矯正視力0.7以上なのでパスはするのですが…

夜間の運転だと両眼で1.2くらいあるほうが安心です。

大型免許なら日常時でも尚更、良い視力が求められます。

 

一通りの診察が終わり、Aさんには、夜間運転にも十分な眼鏡を処方することにしました。

老眼もあるので、処方した眼鏡は運転時に。

それ以外は弱い眼鏡や、裸眼で見てもOKの話をしました。

 

Aさんは、再検査でパスできました。

めでたし、めでたし。

 

 

深視力検査の目的は、良好な矯正視力と立体視の確認なので、深視力検査機が置いていなくても(ほとんどの眼科にはありません)、眼科受診で何が問題かはわかります。

眼位に異常はないか。

斜視や斜位があると、立体視がうまくできないことがあります。

屈折異常(近視・遠視・乱視)があっても眼鏡やコンタクトレンズで適切に矯正されているかも大事なポイントです。

そして、何かの眼の病気があるか否か。

 

深視力検査は練習とか慣れでパスできるという話を聞いたことがありますが、矯正視力と立体視が肝(きも)です。

 

 

日々、大型免許更新のみならず、様々な用途で眼鏡やコンタクトレンズを希望され受診されます。

眼科で処方、正解です。

眼に異常がないかどうかは、とても重要なことです。

病気がなく、単純に屈折異常だけでも、患者さんのライフスタイル・用途によって処方度数が変わります。

どういう時に使いたいか。

何をすることが多いか。

仕事は何か。

性格はどうか(意外に大事!)などなど。

総合して、院長が最終度数を決定します。

病気があれば、視力や視野の程度に応じて、さらに、患者さんの要望に最大限添うよう処方します。

時には、残っている視野をうまく使って見る方法などもアドバイスします(頼りになる視能訓練士たちもお手伝いします)。

 

眼鏡・コンタクトレンズの世界も奥深いです。

今日も、患者さんに見え方の確認をしながら、眼鏡やコンタクトレンズの度数変更をする院長です。

微妙なさじ加減で、見え方の質や疲労感が変わります。

患者さんからの情報も大切。

小さな変化でも遠慮なく言ってくださいね。

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2021.6.22 食べながら偲ぶ

所用で豊橋へ。

豊橋市は東三河の中心都市ですが、名古屋市民にはあまり縁のないところ。

名古屋・豊橋間は、新幹線・JR在来線・名鉄が走っています。

今回はあの名物メロディー?の特急に乗りたくなり名鉄一択。

特急は、ビュンビュン速いし、座席もまずまず。

新幹線にはずっと負けますが、ここのところ急行以下の在来線乗車が多いので、特急でもとても新鮮です。

 

さて、豊橋行きが決まった時に、真っ先に浮かんだのはYさん。

Yさんは、当院開院間もない時期からの患者さんでした。

ホテルマンで、オフはバイクで旅するのが趣味の、院長と同年代の男性。

各地へ転勤後も、毎年花粉症の時期になると、名古屋に寄ったついで…(実際にはついでではなく、診療のために)と、顔を見せてくださいました。

 

ある日、新しい名刺を。

○○ホテル…

知らないな…

『豊橋に出来る新しいホテルの立ち上げに関わっているんです。完成したら、ぜひ!』

名刺は引き出しにしまいました。

 

翌年、花粉症の時期にYさんは来院されず。

忙しいのかな?今年は花粉症、他で治療してもらっているのかな?

まぁ、ここまでわざわざ来ることもないしね…

 

ある冬の日。

カルテの患者さんの名前を見てびっくり。

Yさんです。

『お久しぶりです』

『お元気でしたか?ごめんなさい、まだ豊橋に行く機会がなくて…』

一回り小さくなったYさん。

あれ?

『僕、仕事辞めたんです。実は、癌で…実家に帰って療養しています。

今、ちょっと元気になっているんで…でも、もうあまり持たないらしいんです。

今日は、知り合いとかに会うついでに、先生にも…って』

カルテの住所は関東に。

余命少しでも長く…と無言で願うばかりでした。

その時が最後のYさんの受診となりました。

 

そういう理由で、この機会を逃すべきではありません。

豊橋駅前のウエディングも出来る洒落たホテルです。

最上階のレストランでは、窓際の席を案内してもらいました。

遠くに海や山が見えます。

豊橋の街並みも。

眼下の路面電車が、豊橋を象徴しています。

高層の名古屋駅ビルからの光景とは違う、アーバン(urban)とルーラル(rural)が混じっているような温かさ、緩さ。

美味しい料理と景色を楽しみながら、Yさんを偲びました。

ホテルは2008年オープンとのこと。

そんなに歳月が経っていたのです。

 

過去に亡くなられた患者さんたちが、ふとしたことで浮かぶことがあります。

亡くなられたことを家族や施設からの連絡で知るので、まだ(そこそこ)お元気な姿しか思い浮かびません。

故人患者さんのご家族も、当院の患者さんであることが多いので、その背後(背後霊ではなく)に故人患者さんが浮かぶことはよくあります。

息子さん、○○さん(故人)にそっくりになってこられましたよ!

ご主人、奥さんの○○さん(故人)なしでも、元気になられてますよ!

生前、院長との診察室での小さなエピソードも思い出します。

院長の心の中だけで、ひっそりと偲んでいます。

 

駅で、名産のちくわ(CMでお馴染み…と思うのは院長世代)をお土産に。

 

ちょうど急行が来ました。

ホームはまばら。

先頭車両に乗ると…誰もいません。

シートの一番前を陣取り、前方の広い窓から眺めます。

運転士に近い視界で、特等席でした。

名古屋までずっと視線が外せないくらいのワクワク。

 

Yさんを偲ぶ特別な豊橋行きになりました。

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2021.6.1 子ども・子ども・子ども

この時期、受診のお勧め用紙を持って受診される子供さんが増えています。

午前中は成人の方がほとんどですが、午後の待合室は子ども・子ども・子ども。

にぎやかな声が響きます。

 

学校の視力検査は、年に1~2回行われます。

眼科の視力検査ほど細かくはなく、指標をいくつか見せて判読できるかどうか。

Aは1.0以上・Bは1.0未満・Cは0.7未満・Dは0.4未満というおおまかな指標です。

多くの学校では、片眼でもB以下だと用紙を渡します。

 

眼科では、視力だけでなく、屈折(近視・遠視・乱視)検査もします。

小さいお子さん(低学年以下)は、調節力が強いため、屈折値と裸眼視力の相関がない場合もあります。

そういう場合は、近視などと一度で決めつけず、点眼による検査をして、正しい屈折値を確認します。

A相当でも、強い遠視があり、眼鏡装用になる場合もあります。

C相当でも、近視ではなくて、一時的な調節痙攣の場合もあるので、そうした場合は指導をしながら視力回復を待ちます。

今年初めて視力低下の紙をもらった子どもさんでも、検査をすると、おそらく1~2年前から近視になっていたけれど、視力検診で頑張って見ていたのでは…と言う結果になる場合もあります。

個々人によって結果は違いますが、問題なければそれでOK ですし、問題あれば対処します。

用紙をもらったら受診する!その行為がとても大切です。

 

時々、『こんなに近視が強いのに生活に支障なかったの?』と聞くことがあります。

多くは、男子中・高校生。

近視は、急に見にくくなるわけではないので、相当困らないと親に訴えなくなります。

保護者に視力や近視の程度をお話しするとびっくり!

『そんなに見えてなかったの!?』

『まぁ…』

診察室でのやり取り。

このくらいの年齢になると、親に話すのも聞かれるのも嫌なので、子どもの眼の状態も親は意外に知りません。

定期的に眼科を受診する(もしくは連れてくる)ように、保護者にお話しておきます。

自身の経験上、思春期の息子は秘密主義になってきます(残念ながら娘については未知です)。

でも、成人までは、保護者の管理下で健康な視力生活を送れるようフォローしてください。

 

まだほとんど意思疎通の出来ない子どもも多い当院です。

赤ちゃんの多くはめやにで受診されます。

小児の場合、肺炎球菌やインフルエンザ桿菌による細菌性結膜炎が多いのですが、治りも早いです。

子どもはよく結膜炎になります。

『そんなに何回も結膜炎になって大丈夫ですか?』と聞かれますが、何回も細菌感染をして、人間の身体は抵抗力をつけていきます。

 

3歳児健診で視力検査がうまくできなくて…と来院される小さな患者さん。

その子の性格や発育状況もあります。

1回でできなくても、焦る必要のない場合もあれば、急いで精密検査をしたほうが良い場合もあります。

概して未就学児は、飽き性です。

特に疲れているとき、お腹が空いているときには視力検査に協力してくれません。

お昼寝中の小さな患者さんは、手持ち細隙灯で診察しても寝たままで気が付かないこともあります。

 

開業時は、息子たちも小さくて、小学生でも大きな患者さんに見えましたが、今では10代までの患者さんはみんな小さな可愛い(失礼ながら)患者さんです。

小学生から中学生、中学生から高校生、高校生から大学生(この時期みんなすごく格好良く、綺麗になります)への成長を見られるのは楽しみです。

子ども・子ども・子ども…この時期の当院の光景です。

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