保健室に入るや否や「あっ!知っとる!」「見たことあるー!こー先生や!」の声。小学校の検診ではまだ初々しい1年生が緊張の面持ちで並んでいます。きっと受診したことのある、もしくは就学時検診で見たことのある眼科医でホッとして出る言葉なのでしょう。小学1年生の反応は本当に可愛いものです。就学時検診では保護者と一緒でもあり、まだ保育園や幼稚園が違う知らない物同士で、泣きべそで検診を受ける子もいます。しかし、1年生になると大方の子供たちは、先生の言いつけ通り覚えたての台詞で挨拶が出来るようになります。私の検診スタイルは、名前を呼ばれたら’ハイ’の返事をするか、自分でフルネームを名乗る(学校によって違う)ことが前提です。私の子供時代なら当たり前だったことでも、最近の子供たちは検診の時の特別なことかもしれません。目の前で名前を呼ばれても無言‥(この場合くどいほど私は名前を連発する)の生徒。苗字のみ(同姓があるので下の名前まで言ってもらう)名乗る生徒。名前のみ!(低学年に多い。欧米風?かもしれないがこの場合もフルネームで言い直し)名乗る生徒と、様々です。そういう生徒には、人違いを防ぐためにも、自分の存在を確認させるためにも返事や自分の名をきちんと名乗ることは基本的なことと、やや説教じみてしまう私です。さて、今年ある小学校では1年生から「私は××です。よろしくお願いします。」と始まり非常に爽やかなスタートでした。同じあいさつの繰り返しに、瞼を下げながら’My name is ****.’と英語の基本構文が浮かんできます。上級生になると文体丸暗記の自己紹介派は減少し、’礼儀正しい派’と’とりあえず言う派’に分かれていくのも興味深いものがありました。学年が上がるに連れ、私の腕は下方運度から上方運動に変わり、高学年(中にはびっくりするような体格の子もいるので)では、生徒に椅子に座ってもらい検診することになります。校医歴が長くなってくると就学時から卒業(場合によっては中学も)までその子を検診することになり、毎年子供たちの成長も検診時の楽しみです。学校行事にほとんど参加できない母親(私)が校医として検診に来ることをすごく喜んで興奮していたうちの息子たちも、高学年になると照れ臭く他人行儀なのも成長を感じるひとコマでもあります。さて、帰り道My name is***.の後の「よろしくお願いします」はI’m glad to see you.でいいの??この場合ちょっと違う気もする?うーん??とはまり込んでしまった私。旧知のアメリカ人の友人(日本語ペラペラ)に尋ねると、この表現を教えてくれました。Thank you for seeing me today.