2013.1.15       良くても変わらなくても

当院では、ほとんどの患者さんに次回の受診日をお伝えしています。その期間は1日から1年先まで。慢性の病気や経過観察のみで良い場合は、間隔が長くなります。結膜炎、ものもらいを始め、細菌、ウイルスなどの感染によるものや、怪我、炎症が強い急性の病気は、「次回○曜日、○日、○週間後」がお約束。この○は院長の知識と経験によるもので、次回、眼科医として症状の経過を確認したいタイミングです。ですので、感覚が短ければ、変化も大きい(良くなることも、もしかしたら悪化することも)病気と判断した時です。その際「(自覚が)良くなっても、変わらなくても。ましてや悪くなった時は必ず来院してくださいね」と念押し。病気というのは、自覚症状が良くなれば軽快方向に向かっている場合がほとんどですが、完治したか否かは自覚だけでは確かではありません。また、自分では変化がないと思う場合でも、医師が見れば良くなっている場合も多くありますし、点眼方法に問題があることも。必ず来院してもらいたいのは悪化の場合です。医師は患者さんが治るよう全力を尽くしますが、予期せぬ展開に経過を検証し、試行錯誤し次の展開を考えるのは、患者さんから学ぶ大変貴重な機会です。

「お顔を見せていただきたいので、また○日にお待ちしてまーす。」「治療終了です。」の次は、「また、何かあれば来院してくださいね」。ハッピーエンドをより多く目指して日々精進中です。

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2012.12.19     キャッシュレス、キーレス

先週末は、最後の日本医師会認定「健康スポーツ医」取得のための講習会(於東京)。健康スポーツ医は、健康な一般の人から、病気を持っている人(患者)に対して、運動の可否を判定し運動処方(運動の種類、強度、時間など)ができます。昨年からランニングを始めた院長は、当初数十冊の一般向けランニング教本の類を読み、走り出し、怪我と回復の繰り返し。それでもあきらめず、やっと知識と実技が結びついてきた頃です。この年齢になると、痛い目に遭うのが見え見えなので、たとえ趣味でも、新しく始めることは知識なし体当たり戦ではできません。きちんと、スポーツ医学を学ぼうと受講したのですが、講師はオリンピックに帯同した医師を始め、スポーツ医学界の専門家が勢揃い。医学的に系統建てて総論各論を勉強することができました。「スポーツ」とは、心身の健全な発達、健康・体力保持増進の身体活動と知れば、うんと敷居も低くなるというものです。眼科医として運動指導をする機会はありませんが、聞かれれば少しばかりアドバイスはできそうです。また、校医として眼科医以外の保健指導(生徒の運動、体力、栄養など)もできそうです。眼科医としては視覚障がいスポーツにも関われたら。などなど、意外と活動は広がりそうです。視覚障害者用補装具適合判定医、健康スポーツ医と、今年は、日常診療を更に充実できる知識をつけた年でした。来年はみなさんに還元できるように。

さて、東京行きが多かった今年。院長はついにSuica(JR東日本のICカード)を導入。JRのみならず、地下鉄でもOKなので、切符を購入するのにまごまごする(東京は複雑)「おのぼり」院長には楽チン。また、買い物もSuicaをタッチするだけ。嬉しくてついつい色々な物を買ってしまいました。しかしながら、コインロッカーまでSuica対応とは。個々のロッカーにコイン投入口も鍵もなく戸惑った挙句、精算箇所に60秒以内にSuicaをかざさなかったので預りは無効になり、再度入れ直すことに。院長よりもはるかに「おのぼりさん」と思えるおじさんが、やり方を教えてくれました。やれやれ。現金よりも(東京では)格好よさそうと、Suicaで精算し続けた院長。最後は、残高が商品代より少なく冷や汗をかくハメにも。来年3月には各JRのICカードの相互利用が可能になりますが、少なくとも院長はICカードに対する身の程を知らねばいけません。

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2012.11.27     色も変化する

来年の手帳を用意する時期となりました。色々な種類が店頭に並び、選ぶ楽しさもありますが、自身の愛用は、某メーカー某シリーズの日曜始まり、赤カバーが定番。この「日曜始まり」がこだわる点で、店頭にはなく、毎年注文することになります。昔英語の授業で「サンデー、マンデー、テューズデー~」と習ったように、カレンダーは日曜始まり。手帳だけが、圧倒的に月曜始まりです。きっと、手帳はビジネス向けという意図があるのかもしれませんが、月曜始まりに慣れず(慣れようと思わず)にいる人も少なからず…では?来年の赤は今年使用のものより明るい赤、「色が変わったのか」と尋ねてみると「毎年変更なし」とのこと。1年使用すると、厚さは1.5倍に、色も深みを増してくるようです。確かに、過去の手帳を並べるとわずかに色のグラデーションが。

さて、就学児検診も終了しましたが、学校保健法の改正により、最近は小学校で色覚検査は実施されていません。そのため、小学生以下では周囲が気づいて受診ということが多くなりました。葉っぱの色の塗り違いとか、同系色のタオルの見分け困難とか、日常生活のほんの小さなことがきっかけです。その場合、色覚検査をすれば、色覚異常の有無はわかります。色覚異常は治療して治すことはできません。しかし、色の見え方に対する個性と受け止め、「色のなかま」テストを用い、苦手な色の見え方や組み合わせを知るだけで学校生活は過ごしやすくなります。気になることがあれば、ご相談を。

 

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2012.11.20        お母さんですか~?

秋は就学児検診の季節でもあります。担当校はクリニックの周辺学区なので、住宅造成が盛ん、勢い少子化に逆らい生徒増加中です。今年も可愛い新一年生が、緊張気味に入ってきました。眼科は、ペンライトで目のズレ(眼位)から診るのですが、「まっすぐ見て」と言うと、ほとんどの子供が条件反射といってもよい程口を大きく開けます。子供の中では「診察=口あけ」の図式ができているようです。しかも本人は過緊張の状態(そうでない子もいますが)。その姿がまた可愛いと思いながら検診。眼科は、眼の病気(疑い)の有無を診るのですが、視力もポイント。担当校では、1.0指標が見えなかった児童には、眼科受診を勧めています。緊張の余り視力が上手く測定できなかった場合もありますが、近視・遠視・乱視・時には弱視や他の要因で視力低下がないかは眼科受診でしかわかりません。また、視力だけに囚われ、それだけで安心してもいけません。そんな事を、必要な保護者にはお話し、無事今年も終了。

さて、今年も門をくぐろうとしたら、「お母さんですか~?」と声をかけられ、ひらがな表を渡されそうに。「(お母さんですけど、我が家には)結構で~す」と断りつつも、何歳まで未就学時の母と間違えられるのかしら?と少し嬉しい気持ちに。ところで、他の校医の先生方(年上ばかり)は、「お母さんですか~?」「お父さんですか~?」と声かけられているの?と素朴な疑問が。先生方はみなさん車で来校、自転車か徒歩は眼科医(私)しかいない。若さのバロメーターにはならないようです。

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2012.11.6         つい期待してしまう

診察室にて、「某テレビ番組で視力回復の画期的方法が紹介されていた」という問い合わせが多数あるこの頃。心地よいキーワードの発信は、マスメディアならでは。今回のキーワードは「ドライアイ」「実用視力」「ムチン」。患者さんからのイメージをまとめると、「目が乾いたり見づらい人は、この最新の目薬を使うことで視力が良くなる」…かなり飛躍的な解釈ですが、マスメディアではよくある手法。目の前の患者さんの誤解を解き、適切な説明をするのは、現場のその患者さんを診ている眼科医の務め。タイムリーに、週末、ドライアイの講演(もちろん眼科医対象)を聴講。講演、講習会等は、当然ながらマスコミを通じてよりも最新の知見です。ドライアイの概念が広く知れ渡ったのは良いことですが、当然広義(思い込みも含め)から狭義まで幅があり、治療については、眼科医が個々の患者さんに応じて決定します。実際、あの手、この手のドライアイ治療法があるのは日本ならでは(日本の眼科は最先端です)。眼表面の乾き、傷に加え、(表面の屈折機能障害による)視機能低下、瞳の輝きの低下なども出るドライアイ。しかし、「ドライアイ(病気)でないのに、ドライアイ(病気)と思い込んでしまうことは不幸です」これはドライアイ大御所の某先生の言葉。正しい知識で、不安に陥らせないのも現場の医師だと思っています。

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2012.10.09     より良き明日に向けて

秋は学会、講習会が目白押し。季節の変わり目で先週は風邪気味でしたが、気力、食欲で乗り切り、ロービジョン学会へ。この学会の特徴は、医学・教育・福祉・就労・行政・機器など演題も参加者も多岐に渡ることです(通常眼科関連の学会は眼科医が主)。東日本大震災・パラリンピックのことから、人工網膜・網膜再生(iPS細胞、ノーベル賞でしたね!)まで、今回もインプットできることはすべて聞いてきました(アウトプットせねば)。

某講演の中で…病気(障害)の受け入れの3段階。「初級:病気のことがよくわからない」「中級:病気のことを知って、自分を環境に合わせようとする。」「上級:自分の出来ることを知り、環境を自分にあわせて変化させる。」行きつ戻りつ価値観の転換をしていくのが、自身の成長の証(もちろん、受け容れることは容易なことではないですが)。このことは、病気だけでなく、他の物事にも当てはめられそうです。例えば、ロービジョン。昨年までの院長は初級段階、今は中級。一生懸命勉強している最中。

冒頭のフレーズは、今回の学会サブタイトル。学会中に誕生日を迎えた自分へ贈るメッセージでもあります。

 

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2012.9.18       「いきいき」に一役

「緑区いきいき支援センター」で眼科の勉強会を開催しました。「いきいき支援センター(地域包括支援センター)」は、ケアマネージャー(介護支援専門員)、社会福祉士、保健師などが中心となって、健康・福祉・福祉など様々な面から高齢者やその家族を支える機関の名古屋市での総称です。眼科勉強会は初の試みだそうで、介護者のケアプランを作成する上で眼科知識が少しでもお役に立てればと、お引き受けしました。ケアマネージャーさんを対象に、患者さんに説明するような形式で、時々質問にも答えながらお話。一度で終わらず、来月第2弾の予定となりました。開業とともに当院の患者さんも年を重ねられ(もちろん院長も)、要支援・要介護認定患者さんと接する機会も多くなり、眼科医としてもいきいき支援分野についての知識、支援の必要性を感じています。ちなみに「支援」とは力を貸して助けること(明鏡国語辞典)。

さて、「いきいき」とひらがなで書くと、シルバー世代のイメージ。しかし、「生き生き」ましてや「活き活き」と書くと、若い世代でも違和感はなし。「イキイキ」だったらうーんと若いイメージ。文字表現で印象が変わるし、固定された言葉にもなります。院長世代なら何を支援して欲しい?「ドキドキ」?「ワクワク」?女子(女の子)だった時に感じた気持ち?あの頃より、より広い意味で日々「ドキドキ」「ワクワク」ありの院長。実現のために支援して欲しい時(事)もあり。ドキドキ、ワクワクしすぎて動悸が起こらないよう、年齢相応に体も鍛えています。

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2012.8.8     五輪疲れで病気?

連日、テレビや新聞はロンドン五輪の報道です。患者さんに、視力がいつもより出にくかったことを言うと「オリンピックを未明まで見ていたので寝不足かも」。眼圧がいつもより少し高いと言うと、同様な答えが。同じ傾向は、知人内科医も感じているようです(いつもより血圧が高いと言ったとき)。夜更かししてオリンピックを見て翌日の仕事も通常にこなす、という自信はなくなってきている院長(世代)としては、愛国心よりも明日に備えて早々と就寝。結果は翌朝知ればいいやと思うのですが、東京オリンピックに感動した世代(そして今はリタイア)としては、オリンピックは国を挙げて応援せねばという意気込みがあるようです。しかし、寝不足から有らぬ心配が出ることも。待合室には、病気の説明ポスターがありますが、疲れているときは、例えばドライアイにも、黄斑変性症にも自分の症状が該当するようで、「なんか、ドライアイもあるような」「私って~の病気もある?」という心配の声もちらほら。五輪疲れが、身体に出てくる世代でもあるようです。昼夜逆転、熱中症(室内でも)にもご注意を。

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2012.8.1  おかげさまで15年

8月1日は開院記念日。おかげさまで、当院も15周年を迎えることができました。女医の待遇は改善されつつありますが、その当時は、出産後フルで働くか辞めるかの1か0の選択。大学と縁のない土地で働くには開業しか選択がありませんでした。乳児、幼児を抱えてまだまだ医師としても若輩での開業医出発でしたが、息子③の出産後1週間(出産前は0日)の自身の休養のみで今日まで診療を続けてこられたことは、困難に対するちょっとした強みになっています。

医師は患者さんによって成長するといわれますが、まさにその通り。病気のみならず、その背景(人生経験)、15年の開業期間を通して、自身の頭の中には患者さんと情報網がびっしり築かれています。悼む人になられた患者さんも記憶の中に生きています。病気は個人差があり、名解答ばかりが出てくるわけではありません。少しでもの軽快に向け、悩みつつの診療もあります。時々のごほうびは、患者さんからの’ありがとう’とか、’先生に診てもらってよかった’の言葉。うちを選んで来院された患者さんとのご縁を大切に、そしてたくさんのうれしい言葉を診療の糧に、これからも地域の眼科医として歩んでいきたいと思います。何かあれば、「適切な診療と満面の笑顔が迎えてくれる」そんなクリニックをスタッフ一同こころがけています。これからもよろしくお願いします。

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2012.7.17    夏は結膜炎

前期の学校保健委員会(教師、父母、校医で構成)も終了。学校検診による受診のお勧め用紙には、プール入水の可否記入欄もあり、受診率向上の助けになっているようです。

さて、夏になると多い結膜炎には、いわゆる「流行り目」とか「プール熱」と呼ばれるアデノウイルスによるものが代表的です。これらは、症状所見とアデノウイルス検査で判明します。また、それ以外に、意外と多いのが、「とびひ」。全身に出れば、まずは皮膚科受診されますが、目の周りもしくは結膜炎だけの場合は眼科に来院されます。目の周りや鼻の下、顔に赤い水膨れやかさぶたのようなものも同時に見られることが多いです。とびひは、主に黄色ブドウ球菌の感染で、私たちの皮膚や鼻の穴(子供はよく、ほじった手であちこち掻きますから注意)に常在しています。その他、夏風邪による細菌性結膜炎も乳幼児には多いです。結膜炎でプール中止指示を出し、すごくがっかりする小さな患者さん。治癒してOKを出すと「やったー!」とニコニコ。たとえ水遊びでも中止は子供たちにとって一大事。その反応がとても可愛らしいのでこちらもニコニコ。黄緑のめやにが出るようなら、水遊びをする前に(しなくても!)受診してくださいね。

 

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