2022.11.22  通常勤務可

産業医出務の日。

年に一度の会社の健康診断結果が出揃いました。

就労判定の時期です。

産業医は、分厚く束ねられた健診結果を見ていき、『通常勤務可・要自己管理・要就業制限・要事業場管理・要休業・要産業医面接・判定保留』のいずれかに区分。

 

院長担当の職場(スーパー)は、肥満気味の人が多い傾向です。

よって、高血圧や脂質異常・血糖異常もそこそこ。

既に加療中の人はいいとして、毎年異常を指摘されているのに、受診せず放置のツワモノも。

血圧が160!

即刻受診して~と念じながら、受診勧告書を作成します。

 

0.3とか0.4で、裸眼視力低下を指摘されている人も。

矯正視力の記入がないので、自分の視力が悪いことに気が付かず運転しているのかもしれません。

『裸眼でも免許更新できた~』眼科医は要眼鏡と思っても、試験場で通ってしまうことがありますが、危険です。

 

健診の目的は早期発見・早期治療。

健診結果だけですぐに病気と言うわけではないので、必ず医療機関を受診しましょう。

また、病気だったとしても、その日がこれからの人生の中で一番軽い状態と考えれば、治療を開始して良かったというもの。

 

ちなみに、視神経乳頭陥凹拡大とか視神経線維層欠損のコメントが出れば、緑内障の検査してね~と言うことです。

緑内障は、40歳以上で発症率約5%(多治見スタディ)ですが、自覚がないことがほとんどです。

むしろ、見にくい(視野欠損)の自覚が出た時点では、中期~後期になっていることが。

コンタクト作りに来ただけなのに…の患者さんにどれだけ緑内障(疑い)が埋もれているか、日々の診療で実感しています。

 

今年も全員『通常勤務可』に。

ただ、もっと運動したほうがいいです。

店内だけでは、歩いていると言っても運動にはイマイチ。

あとは、菓子パンや惣菜弁当が好きな人が多いので少しセーブを。

 

店内を巡回します。

これから1年で最も繁忙なクリスマス・年末商戦です。

クリスマス用菓子や料理・お餅やおせちなど、院長の感覚としてはかなり先取りですが、会社の気合を感じます。

いつものように店内とバックヤード。

鍋特集コーナーについ目が行きます。

その数約50種類!(目視で計算)

見やすいレイアウトで、つい見入って買いたくなってしまいます。

(院長もつい帰りに数種買いました。重かった…)

水濡れ対策にタオルやクロスをいつも帯同。

台車にも設置。

出入り口にも図入り付きで設置。

整理整頓されていてとても気持ち良いです。

指摘することなし。

 

鍋の素をリュックに入れて、駅まで戻ります。

いつもは駅から大きな道を右折左折右折。

帰りはいつもと違う小道で曲がってみます。

路地は生活感があふれていて好きです。

建物や駐車してある車や自転車、洗濯物などきょろきょろ見ながら歩く院長です。

オバサンだから不審者には見えないと信じて…

 

古い商店街に出ました。

靴屋さん・本屋さん・カメラ屋さんなど懐かしい。

お客の気配は何処もありませんが。

店先に柿が売っていました。

近づいていくと、お好み焼き屋さん。

おやつに食べていこう。

イカを選びました。

何と160円!?

薄い生地にほぼキャベツ、イカ2カット入りのお好み焼きです。

店内は院長ひとりだけ。

こうしてかつての商店街もだんだん淋しくなっていくのでしょう。

途中パン屋さんも見つけたので次回に。

 

仕事(産業医)ですが、プチ旅気分で今日も無事任務終了。

もちろん帰宅後は、職場巡視報告書を仕上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 産業医

2022.10.4 パーマで幸福

色々な資格を取得すると、それらを維持・更新するための勉強も必要になってきます。

 

先日は、午前10時から午後5時15分までみっちり、産業医の講習会。

産業医の職務や労働衛生など、毎回、多岐にわたり学びます。

まだまだひよこの産業医(院長)は、毎回、『へ~っ!』(感嘆)連発。

新しいことをインプットすると、嬉しい!得した!気分。

 

講義の中で、初めて聞いた『ポジティブメンタルヘルス』

働く人が、心も体も健康な状態で快活に働き、生産性の向上や組織の活性化を目指すということです。

 

不調への対応が主眼の『メンタルヘルス』に対して、自己肯定感や幸福感で仕事に活力が出る『ポジティブメンタルヘルス』

 

ネガティブなことがなくなれば、ポジティブなことが起こるのか?

そうではないよ。

ポジティブなことは、意識しないと増えないよ。

 

病気がなければ、健康?

身体だけ?心は?社会的には?

健康の意識が必要だよ。

 

よりポジティブな情動を持ち、

仕事と愛する人により深く関わり、

より良い関係を築き上げ、

自身の存在に意義と目的を見出し、

達成と熟成に至る

これこそがWell-Being(幸福)!

→以上はテキストからなので難しい…

 

『心身だけでなく社会的な健康もあってのWell Being(幸福)』と院長解釈。

 

Well-Beingの5つの要素は、PERMA。

P :Positive Emition(前向きな感情)

E :Engagement(物事への積極的な関わり)

R :Relationship(良い人間関係)

M :Meaning(人生の意義の自覚)

A :Achivement(達成感)

 

PERMAは、Pがピラミッドの一番底辺にあり、だんだんステップアップしていきます。

P ポジティブな感情と言うものを知り、気づき、体感し、増やしていく(嬉しい!面白い!楽しい!など)。

 

E 物事へ積極的に関わり、時間を忘れて没頭できる。

 

R 他者に援助を受けたり、与えたりできる。

 

M 人生の意味と意義は何か考える。

 

A 何かを達成する、熟練していく感覚を。

 

まったく、個人ごとの事のように思えますが、産業医の世界では、従業員の健康と企業の収益性を結びつける『健康経営』という考え方です。

さらに、PERMAを実現できるような職場を目指すことを『健康&幸福経営』と言うのだそうです。

 

企業は、どのような働き方であれば、従業員の幸福度が増して、やりがいを感じるか?

そのために仕組みや制度を検討していきます。

そこに産業医も関わります。

 

なんか難しい話になってしまいましたが、印象的だったのは『ポジティブなことは、意識しないと増えないよ』と言うこと。

『思考は現実化する(ナポレオン・ヒル)』と言う名著があるくらいですから。

 

院長も、若い頃より、ポジティブに物事を考えられるようになりました。

そして、患者さんにも、データや経験を基に前向き思考になるよう、お話することを心がけています。

ネガティブに考えるのは、危機管理に優れているとも言えます。

しかし、そればかりだと、Well Being(幸福)は少なくなります。

診察後、『元気になったわ~』と、帰られる患者さんを見送り、自分も嬉しくなります。

同時に、スタッフにもPERMAを達成できる職場を目指していくことが、産業医をしている院長の目標でもあります。

 

PERMA(パーマ)でWell Being(幸福)。

 

自身も振り返る、有意義な講義でした。

 

来週の『こうセンセの部屋』はお休みです。

 

 

 

 

 

 

 

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2022.9.27 切れたほうが良い

スーパーや家電量販店のテーマソングは、覚えやすい歌詞とリズムで体にしみ込んでいきます。

産業医の職場であるスーパーの店内に流れる音楽も、職場に足を踏み入れる前から脳内に流れてきます。

 

今日も少し前に到着。

事務所に行く前に、『お買い得品はないかな~見つけものはないかな~』などと、お客であり、巡視もする産業医です。

 

安全衛生委員会では、床の水漏れの指摘があり、業者の手配をすることになりました。

会終了後、床を見ながら歩くと、修繕してある個所がいくつか。

就業前のお客気分の巡視では、気が付きませんでした。

まだまだ甘い…(自分)

床の水濡れでは、昨年、担当店で、お客さんが滑った事例が。

以後、台車にも、すぐ対応できるタオルを設置することになり、全店実施になったとのこと。

ヒヤリハットの事例報告とその対策がセットになり、良い効果を生み出しています。

 

 

毎月、全店の労働災害ニュースも配られます。

幸い、今月も担当する店舗では労災事故は発生せず。

全体では、今月も転倒が多くを占めています。

滑ったり、つまずいたり、踏み外したり。

 

次が切創です。

パン作業場で、安全ガードを使用せずスライサーを使用し切創。

こういう事例を聞くと、医師と言えども、ぞっ~とする院長です。

実際に、後から巡視して確認します。

こういうことね~と納得、スタッフさんに注意喚起。

 

野菜果物を切る包丁も注意です。

昨年、かぼちゃ包丁を新しくしてもらったのですが…

店長『包丁、よく切れてる?』

スタッフ『いい感じです。ときどき研いでいますし』

産業医(院長)『砥石でですか!?』

スタッフ『そんな大変なこと出来ませんよ。電動研ぎ機です』

店長『切れる包丁より、切れない包丁のほうが事故が起こり易いですからね』

スイカ、かぼちゃ、白菜での切創事故が多いようです。

 

 

先日、我が家にやってきた甥っ子。

甥『公さん、包丁見せてもらってもいいですか?』

院長『どうして?』

甥『ぼく、包丁研ぐのが趣味なんで…』

いつも使っている包丁を3本(最近買ったペティナイフとパン切包丁以外)出します。

甥『料理してます?』

院長『毎日料理してますよ!』

甥『相当切れ味が悪いですね~よくこんなんで料理してましたね~』

確かに、最後に研いだのはいつ?っていうくらい昔。

加えて、スパッと切れる包丁は怖いと思っていました。

メスは、スパッと切れないといけないし、スパッと切ることに何の躊躇もない院長ですが…(プライベートでは怖い)

 

リュックから砥石を出して、ベランダで水を流しながら作業すること数十分。

甥『研ぎ終わりました!』

院長『ありがとう!』

甥『切れ味、全然違うと思いますよ』

トマトをスライスしたらスパッ!キャベツの千切り、サクサク。

料理の腕が上がったようです。

包丁の切れ味って大きい。

店長の『切れる包丁より、切れない包丁のほうが事故が起こり易いですからね』が響きます。

甥のTくん、ありがとうね~

 

 

今月は台風シーズン。

台風接近時に売れるもの・売れないもの、台風通過後に売れるもの・売れないものリストについて、資料を元に店長から説明。

売れるものは、発注量・陳列方法に注意。

売れない物はロス注意。

物品リストだけでなく、その理由も書いてあるので、勉強になります。

お刺身、台風接近時に食べたいと思わないよね~

墓花は、台風接近時に墓参りに行かないもんね~などなど。

 

 

今回も、仕事ですが、新しく珍しい(院長にとって)ことをget。

スーパーの音楽は、職場を出てもしばらく続きます。

駅までの帰り道は♪♪♪。

行きも帰りも♪♪♪。

恐るべし、スーパーのテーマソング。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:公センセの家族・恩師・友人など 産業医

2022.8.9  仕事が回りません

『8月は上半期で一番忙しい時期です』

産業医を担当しているスーパーの店長さん。

土用の丑から始まり、夏休みのレジャーやお盆の集まりなど、お客さんの購買力がアップ。

スーパーの売り上げもアップを狙います。

『忙しい時、余裕のない時に労働災害は起こりやすくなります』

 

コロナ禍と繁忙期が重なり、残業時間も増えているようです。

各部門とも新規アルバイトやパートさんを指導し、仕事を任せられるように…とお願いする店長さんは、自分(院長)の姿が被ります。

 

安全衛生委員会は、会社側(産業医もこちら側)と労働者側の何人かのメンバーで構成されています。

 

惣菜部門より出たのは『暑いです!』

当然、火を使い調理をするので、巡視していても室内温度はかなり上がっています。

加えて、総菜部門に隣接する壁面に室外機が設置されているので、さらに室温上昇です。

『こまめに水分を摂ってください』産業医(院長)。

『室外機は移動できないですよね~』(と、店長さんを見る)

後は…

『ちょっと触っていいですか?』

制服の生地が化繊です。

自宅用ではないので、火傷予防にも長袖着用が望ましいのですが、これでは暑いわ~

『惣菜部門だけでも、化繊から綿100%に出来ないでしょうか?会社全体の問題になるかもしれませんが…』と、店長さんに提案を依頼(報告書も提出)。

 

各部門から、気になる事を挙げてもらいます。

 

安全衛生委員会の後は、いつもの巡視。

巡視時も、スタッフに何か気になる事がないか尋ねるようにしています。

 

『品出しで腰が痛くなるんです~』と、パートのオバサン(以下パートさん)。

『しゃがんで持ち上げるようにすると良いですよ』産業医のオバサン(院長)(以下産業医)。

『そんなことしてたら、仕事が回りませんよ』(パートさん)

回る仕組みを考えないと。

腰にやさしい運搬の仕方を定着させないといけないわ~

『まあ、コルセットしてるからまだましですけどね』(パートさん)

『コルセットで腰の負担は減るけれど、腹筋と背筋を鍛えると良いですよ』(産業医)

『朝から晩まで仕事して、家帰ったら、またやることだらけだから、そんな暇ないですよ』(パートさん)

オバサン(産業医・院長)アドバイスするも、オバサン(パートさん)手強し。

自身は腹筋・背筋を鍛えてから腰痛とは無縁になったのですが、普及活動は困難を極めそう…

スポーツ医の立場からも…腰痛予防だけでなく、腹筋背筋を鍛えると姿勢がよくなります(若見せ効果もあると思う)。

まずは、自重の腹筋を1回から。

慣れてきたら、負荷をかけたり、腹筋の部位に分けてトレーニングしたり…(メニュー色々実行中)

 

さて…『そんなことしてたら、仕事が回りませんよ』のセリフ、当院でも時々聞きます。

サンダーなどの研磨で鉄紛が目に刺さり来院されます。

すごく早いスピードで目に飛入するので、一瞬の出来事です。

院長は、専用の針やドリルで丁寧に鉄粉や錆(数日経つと錆が出る)を削り取ります。

『保護眼鏡付けてましたか?』の質問に、

『そんなことしてたら、仕事が回りませんよ』と答える患者さんの多いこと。

職場のマニュアルは、労働災害を回避し安全に仕事をするための指南書なので、守りましょう。

 

店長さんと巡視中に、鮮魚コーナーで。

『刺身は、厚すぎても薄すぎてもダメで、ちょうどいい厚さがあるんです。そういうことも研修受けるんですよ』

なるほどなるほど。

水産部門Aさん(安全衛生委員)作のお造りはお値打ちで美味しそう…

買って帰ろっと。

そんな余裕も出てきた産業医です。

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:クリニックに関すること 産業医

2022.5.17 コロコロチェック

ホームのベンチでデパ地下のお弁当を食べるオバサン(院長)。

ローカルな人気(ひとけ)のない駅でなら許されよう…旅気分です。

いやいや、旅ではなく、産業医の職場(スーパー)に向かいます。

 

職場巡視は毎回。

『今日は、品質管理トレーナーによるチェックが始まっています』

『品質管理トレーナーさん?ぜひ、お会いしたいです』

どんな人だろう?

厳しそうなオジサン?いや、お兄さんか?

などと、想像して現場に向かいます。

『初めまして。品質管理トレーナーのAです』

『初めまして。産業医の長谷川です』

あれ?目の前には小柄でふくよかな優しい感じのオバサン(失礼・院長に近い年代ということでご容赦)。

巡視を中断して、衛生検査に立ち会わせてもらいます。

品質管理トレーナーとは、店内の衛生管理や食品事故(異物混入や原産地事故、期限事故)回避のために特化したスタッフです。

呼称は様々ですが、他の会社等でも同様の役職があるようです。

 

事前に日にちが決まっている1回目と、2回目の抜き打ち検査があります。

今回は1回目。

そういえば、先ほどの巡回先の持ち場でも、今日の検査に備えて前日いつも以上に清掃したとの報告を聞いたところでした。

どんな怖い人かと思いきや…

 

『さっきも、一人、手洗いの仕方が不合格だったんですよ』とAさん。

居合わせたパートさんとは顔馴染みらしく『そうだったよね~』

手洗う場の前には、『手洗いのタイミング』が掲示。

食品を扱うだけに、細かくしっかり明記されています。

また、手洗いの手順がイラストで描かれて貼ってあります。

汚れや細菌が付着しやすい、または洗い残しが起こりやすい箇所、爪ブラシの使用方法なども。

Aさんが手洗いの手本を見せてくれます。

医師としては当然知っていることですが、Aさんの滑らかな手洗い技?に見とれて、初めて手洗いを見学する医学生の気分でした。

(医学生の実習で手術室入室時、手洗い指導があります。しっかり洗ったと思っても、教官に指導されます。洗い直しのことも)

 

『コロコロチェックは、今のところ、みなさんOKでしたね』

『コロコロチェックですか?』

我が家にもあるような粘着テープ付きのコロコロが出てきました。

調理場に入るスタッフは、シャワーキャップ(素材は化学繊維で上等。使い捨て)を被り、その上から使い捨ての帽子を被ります。

髪の毛は先に被るキャップに入れ込み、さらに帽子で頭を固定します。

『B(そばにいたパートさん)さん、コロコロチェック、もう一度してみてください』

まずは、帽子を被った頭をコロコロでなぜます。

次に顔周りを。

両肩、両腕、両袖口、腹、背中という順にコロコロを滑らせていきます。

わずかなホコリや異物も持ち込まないようにの徹底ぶりです。

『背中はお互いやりやっこするんですか?』

『一人でできるよう、柄が少し長くなっています』

なるほど~確かに、我が家のより長い。

特注品?

 

それ以外にも…

引き出しに物を入れすぎていないか(引っかかるほど入れると支障をきたす)

シンクの錆はないか(あればきちんと落とす)

水産部門のまな板の前の衝立の裏に鱗が飛んでいないか(50センチはありそうな衝立の裏にも小さな鱗を一つ見つけました。調理の時に飛ぶようです)

その他色々Aさんのチェックポイントは厳しい!

ほんわかした感じ…は、仕事となると一転!

産業医(院長)も非常に勉強になりました。

次回からの巡視に活かします!

 

 

 

 

カテゴリー:産業医

2022.3.22  春色の~

『春色の汽車に乗って海に連れて行ってよ~』(赤いスイートピー)

陽気なある午後、思わず口ずさんだ曲。

この歌が流行ったころは、まだ乙女の院長。

おねだりしたら叶えてくれる誰かがいつか現れるかも!?と甘い歌声を聞きながら夢見がちに思ったものです。

あれから〇十年。

今や、何処に行くのも一人で行けるし、何なら連れて行ってあげますよ!のスタンス。

 

今日は、職場(産業医)のスーパーに。

駅から職場までは、口ずさむのにふさわしい長閑さがあります。

 

今月から新店長。

店長は1~2年程度で異動があり、しかも、各部署100人超のスタッフを把握しなければいけないのでなかなか大変です。

 

安全衛生委員会に出席です。

各部署のヒヤリハットと対応策。

例えば…

 

*水産部門では、氷水だけが滑る原因と思われているけれど、魚脂も滑る原因となっている

→早急に床の塗り直しをすることに。

 

*冷凍ケース下の霜や水濡れ予防のタオルが敷いてあるが、タオルの裾を客のつま先で踏んでしまい転倒の恐れがある

→吸い取り専用のソックス(absorbed sock)を導入

(本当は冷蔵ケースを買い直せばいいのですが、予算上、先延ばし)

 

*雨天時の床の水濡れの掃除が遅いと転倒の恐れがある

→気が付いたらすぐ拭く

→広範囲の場合は、足元注意の標識(増設)を立て、グリーンキーパー(清掃業者)に連絡

 

*惣菜で使用した廃棄油脂を1週間貯めておく屋外の貯留庫(その後産廃業者に)周囲の油のべたつきが多く転倒の恐れあり。

→貯留庫周辺に人工芝を敷いた

 

*有事に備えて避難経路の拡大

→商品の陳列方法を考えて、通路をさらに拡大(元々かなり広い店内で通路も広々なのですが)。

出入り口付近のカート置き場の見直し。

 

などなど。

 

『以上で、本日の安全衛生委員会を終わります』新店長。

ちょっと、ちょっと…

『店長さん、私からもちょっといいですか?』

『あっ、先生!どうぞ。お願いします』

私(産業医)、忘れられてた?

今回、男性スタッフばかりの出席だったから、紅一点(公だけに…)で目立っていたはずなのに!?

それとも、前職場の産業医(男性)は無口だったのか?

今日の会議で気づいた点、巡視等で気が付いた点、昨今の新型コロナウイルス予防の話など手短に発言します。

 

院長は、産業医や学校医を兼務していますが、委員会では、必ず発言するようにしています。

『特にありません』と答えるのは、職務を全うしていないようで、気が引けます。

毎回、何か変化はあるはずで、事実(問題点)と解決法(改善法)をセットで考えるようにしています。

 

新しい店長さんやスタッフと一緒に、良い職場環境作りのお手伝いが出来たらと思います。

 

 

駅までの帰り道、陽気に誘われて回り道をしてみました。

途中で、ウナギの寝床みたいな駐車場の奥にパン屋さんが。

そろそろとドアを開けると『いらっしゃいませ!』の若夫婦の声。

クリーパンをひとつ購入。

駅のベンチで、おやつタイム。

春色のクリームが優しい。

小さなお楽しみ(変化)に満足し帰路につきました。

 

 

 

 

カテゴリー:公センセの想い 産業医

2022.2.1 値引きを当てに

産業医の仕事で使う郊外のローカルな駅。

駅の近くには、自転車預かり所が何件か。

木造の家屋の中に自転車がきれいに整列しているのを見ると懐かしさを感じます。

『とらや』などと書かれた屋号を横目に仕事場に向かいます。

 

毎回、労災事故の確認をします。

担当スーパーでの発生が、一件もないのは何より。

全店舗の件数・事例も報告され、ほとんどは、転倒・切創。

整理整頓・作業手順の徹底が求められます。

 

毎回の巡視。

午後のバックヤードは、忙しさから解放された時間です。

総菜売り場では、排水溝?の掃除をしていました。

『今日は、グリストラップの掃除をしているんです』と店長さん。

ブリストラップ?

指しているのは、排水溝のような場所。

初ワードです。

メモ、メモ。

『ブリストラップとは何ですか?』

『ブでなくてグ。

グリストラップです(調べるとGrease(油)  Trap(罠)という英語表記)。

調理油が直接下水に流れないようにする装置のことです』

見せてもらうと、結構な油が付着しています。

 

グリストラップとは、業務用の厨房に設置が義務付けられている『油脂分離阻集器』のことです。

厨房から出る排水に含まれる油やゴミ(野菜くずや残飯)を直接排水に流してしまうと、自然環境への悪影響が考えられ、それを防止するための装置です。

飲食店やスーパーなどで発生した汚泥は、一般ごみではなく業者に委託しないといけません。

 

1槽目:厨房排水に混ざっている残飯や生ゴミを除く

2槽目:水面に浮上する油脂と、さらに細かい汚泥を分離

3槽目:汚泥と油脂をある程度分離した排水を下水道へ

 

1のバスケットの洗浄は毎日、2の浮上油脂の清掃は週1、沈殿物の清掃は2週間から月に1度清掃をするそうです。

 

『今日は、もう総菜作りはおしまいですか?』

『売れ行き見て追加します』

『売り切ったらおしまいじゃないんですか?』

『そうですね。

残っても廃棄になれば処理費用が掛かります。

余っても売り切らないといけませんからね。

でも、半額にすると利益出なくなっちゃいますしね。

残量と値引き率は毎日変わります』

『ほ~』

『それに、8時過ぎると値引きを当てに買いにくるお客さんも多いんです。

特に単身のお客さんは、ついでに飲み物やお菓子も買ってくれますし。

値引き品が全くないと何にも買ってくれないんで(他へ行ってしまう)』

『そうなんですか!?』

 

残量に対する値引きの設定もなかなか難しそう。

修業がいります。

 

毎回、新しいことを知る産業医(院長)です。

値引き品を買ったら、値引かれた分で、何か余分に買いましょう!

スーパーもお客さんもWin Winになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 産業医

2022.12.7  押したり引いたり

担当の職場(スーパー)に近づくと、頭の中でテーマソングが流れるようになった産業医(院長)です。

 

1年に一度は健康診断結果の判定をします。

該当職場で労働は可能か、否か。

制限付き(時間・配置転換など)で労働は可能か、否か。

あとは、健診結果から、『要受診』対象者をピックアップします。

昨年、『要受診』と指摘した人が、今は『治療中』になっていると、ほっとします。

高血圧・糖尿病は特に自覚ないまま見過ごされやすいので、早期発見早期治療が大事です。

眼科健診項目は、視力・眼圧までがほとんどで、眼底検査まで健診で受けている人は少ないです。

眼科医としては、40歳過ぎたら、自覚症状がなくても眼科受診を!と言いたいところ(実際啓発しています)。

 

 

労災事故は、発生防止に努めていますが、担当する店舗でも一件発生しました。

50代女性スタッフが、飲料を積んだ台車を引いている際、誤って台車の車輪に足の小指を巻き込み骨折。

普段、台車(スーパーやホームセンターのカートではない)を使用したことのない院長は、早速、職場巡視で確認。

バックヤードに台車は多数。

荷物が載っているのも、空のも。

『これで小指骨折するんですか?』

カートを前後に動かしながら店長さんに尋ねます。

別のカートの場所に連れて行ってくれます。

2リットルペットボトル6本1箱が12箱。

上下2段に乗っています。

合計144キロ。

該当女性に近い院長(体系は不明)。

かなり重いながらも、車輪がついているので、押す方向にも引く方向にも動きます。

 

『引いていた時の事故でしたよね?』

普段、台車やカートは押すイメージの院長。

スーパーでは、品物の量(かさ)も重量も多くなります。

押して動かすと、前方不注意や、重量で走行の制御が効かず、お客様に被害を及ぼす恐れもあるそうです。

だから、自分のほうへ引きながら商品を運ぶのだそう。

しかし、重量のある台車だと、引いた時の重さで、すぐに静止しない場合があり、今回もこれに該当(かつ、バックヤード通路がやや暗かった)したとのこと。

自分も144キロ荷重の台車をやや勢いをつけて引いてみます。

結構なパワーの台車を受け止めないといけません。

小指が下敷きになったら折れるかも!?

その後、念のため、安全シューズの支給もすることになりました。

 

台車を引きながら浮かんだのは、視覚障害者を誘導する体勢。

クリニックでは、眼の悪い患者さんが多く来院されます(眼科なので当たり前)。

中でも、視力や視野がひどく悪く、院内を歩くにも、介助が必要な方がいます。

もちろん付き添いの方がおられますが、誘導の仕方は色々。

目が見えないから…と、患者さんの手を引っ張って進行方向に後ずさりしていく介助者が多々。

これは、介助者も進行方向が見えないので危険ですが、患者さんにとっても引っ張られる行為は不安です。

見えていないのに、どんどん前に行く不安。

視覚障害の方を介助するには、原則、横に立つことです。

肩もしくは腰に手を添えて、声をかけてゆっくり進む。

白杖で介助者付きの場合は、介助者の肩に手をかけて後ろを歩くことが多いです。

その際も、介助者は、歩行のペースや障害物などを知らせる必要があります。

 

明日から、スーパーで台車を見かけたら、運搬方法と荷重を見てみようと思います。

今回も、新しいことを知った産業医業務でした。

 

 

 

 

 

カテゴリー:健康 公センセの日常の出来事 産業医 眼に関すること

2021.9.28 契約更新

学校医は、学校保健委員会や就学時保健委員会など、年に何回かある委員会に出席します。

必ず校医として発言の場が設けられるので、意見や見解を述べます。

 

さて、産業医は安全衛生委員会の出席があります。

安全衛生委員会とは、その事業場における衛生に関する問題について関係者が話し合いをする場のこと。

労働安全衛生法に基づき、常時100名以上の労働者を使用する規模の事業場で、月1回以上開催することになっています。

 

担当するスーパーでは、委員長は店長さんです。

安全管理者・衛生管理者・メンタルヘルス推進担当者・産業医が会社側のメンバー。

労働者側からも何人か参加します。

水産部門・畜産部門・農産部門・総菜部門…など、各部門ごとに。

 

嘱託産業医の院長は、毎回出席は難しいので、その時は前回の議事録を見て、店長さんに質問します。

スーパーという職場柄、スタッフの皆さんは、エプロンや長靴・コックシューズのままで委員会に駆け付けます。

全店舗の労働災害の報告が人事部から毎月入って来るので、その報告から始まります。

 

毎月、スーパーで多いのは転倒事故です。

高齢の従業員の転倒が多くなると、ケガも重症化しやすくなり、休業も長期化しやすくなります。

転倒の主な原因は、滑り・つまづき・踏み外し。

 

水産部門の水・氷や総菜部門の油など、スーパーは滑る場所が多いので注意が必要です。

アイスクリーム搬入時に床が濡れてしまい、高齢のお客さんが転倒してしまったという事例も。

濡れ・汚れを見たらすぐ清掃を。

あわせて、お客さん(主に子供)が、店内でする嘔吐することも結構あるそうなので、迅速な処理を。

冬場はノロウイルスにも注意ですが、『汚物処理ツールボックス』と言う専用キット(初めて知った!)があるので、手順通りに使用すれば良さそうです。

買った商品(大物)を忘れるお客さんにも驚きましたが、店内嘔吐事故?多数発生にも驚き。

 

以前の巡視で指摘した切れの鈍くなったかぼちゃカッターは新しくなりましたが、他店での巻きずしカッターでの切創事例を聞くと、鋭利すぎも怖い。

気を付けて取り扱ってほしいものです。

労災事故は極力起こりませんように。

 

食品を扱うので、作業場の温度管理も重要です。

冷蔵庫や冷凍庫から商品や材料を取り出す際には、事前に作業場を冷却しておくことは、毎回、店長さんが繰り返し言うことです。

一般家庭なら、冷蔵庫からエアコンの効いていない室内に出して調理、と言うことはよくあります(院長も)。

しかし、職場では、たとえ少しの時間でも、まず作業場を冷やしておくことが徹底されます。

食中毒の発生は致命的なので。

 

店内はいつもひんやりしています。

売り場は24度。

しかし、揚げ物作業場では27度にもなります。

火傷しないように、長袖長ズボンキャップなので、まめな水分補給を勧めます。

一方、水産作業場は18度。

制服だけでは、体の芯まで冷えてしまうので、支給のインナーを着用しての作業です。

同じスーパー内でも、かなりの環境差があり、個々の健康を維持しながら、作業を効率に進めるために勘考しています。

 

院長も産業医として、意見を求められます。

初出務の時は、ドキドキしていましたが、だんだん概要が分かってきたこともあり、この職場が好きになっています。

 

『次回は〇月〇日でいいですか?』

『はい、大丈夫です。伺います』

 

あれ?1年契約だったのでは?

どうやら本部から契約更新してもらえたようです。

産業医の成長物語?は続きます…

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2021.7.27 朝から見とれる

休日の朝、何やら活気ある若い衆の声。

カンカン、ガチャン、金属音が聞こえます。

何事?

ベランダから身を乗り出すと、近所のマンションの足場の解体でした。

ふた月ほど、修繕工事なのか、黒い網で覆われていたマンション。

住人は、毎日さぞかし暗いだろうね~

ちっとも工事が終わらない様子に、時々我が家の食卓に上る話題でした。

 

マンションは5階建て。

上から下まで7人のとび職人が、金属の棒や板を順々に手渡しし、下げていきます。

『ハイよ!』

『オーライ!』

『ヘーイ!』

聞こえてきた声は、手渡し時の掛け言葉。

命綱なしで、軽快にテンポよく作業が進んでいきます。

一番下まで降りてきた棒や板は、数本または数枚重ねて運び出す人がいます。

機械仕掛けの人形みたい!

見事な連携プレーは、一連の無駄のない美しい連続の動き。

思わず見とれてしまう院長です。

 

気が付くと20分余り。

見ると、マンション傍にも、見上げている人が。

あの人もきっと感動して、つい見てしまったのね~

 

足場の組み立ては、とび職の主要な作業内容の一つです。

足場の組み立て解体作業には、労働安全衛生法に基づいた特別教育を受けた者しか従事できません。

また、5メートル以上の足場の組み立て解体作業には、足場組み立て等作業主任者を選任しないといけません。

建設業の死亡労働災害の原因第一位は転落ですが、足場からの転落が多いのが特徴です。

 

産業医の勉強をして、かじった知識です。

建設業の産業医になったら、またまた、もっと勉強することがありそうです。

 

世の中には、たくさん仕事があって、どれも、適正と訓練を要します。

とび職の人たちの掛け声と一連の動きが美しいのも、熟練の技だからこそ。

 

 

どの仕事も、熟練されてくると、一連の動き・所作が美しくなります。

医師も、経験により、診療手順や手術手技は、無駄がなくなって洗練されていきます。

 

まだ慣れていないひよこスタッフが、眼底写真を左眼→右眼で送信してくることがあります。

電子カルテ上の並び方の違いだけですが、眼科医(院長)としては、右眼→左眼で送信、添付するよう伝えます。

カルテの画像の並びも整列されていると美しい。

病名も、屈折(目の前面)から奥に向かって付けていく。

そういうこだわりが、どの仕事も熟練していくにつれ、確立され、正確な仕事につながるのだと思います。

 

約1日かかって、マンションの全容が現れました。

住人のほとんどは、足場解体のとび職人には無関心のはず。

人生初のとび職メドレーを目の当たりにした院長。

何か得した気分。

そして、とび職人さんに改めてリスペクトした次第です。

どんな仕事も、必要とされている。

小さなことだけど、コツコツと。

院長の信条です。

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