2025.4.22 科学は美しい(日本眼科学会総会)

毎年大きな学会にはテーマがあります。

今年の日本眼科学会総会のテーマは『科学は美しい』

会期は毎年4日間。

今年は東京国際フォーラムにて。

開業してからは、4日通しでの参加は縁遠い院長。

オンデマンドで後から聴講できるとはいえ、やはり臨場感を味わってこその学会。

 

今回念願の全日参加を果たしました。

学会のスタイルも時代の流れ。

たまたま初日の聴きたいセッションはENGの表示。

講演が始まると、日本人座長・演者なのにオールEnglish!

英語のスライドは見慣れているものの、講演まで英語となると、日本語への変換をしつつ内容を理解する脳内処理の連続。

1時間20分!

質疑応答も英語。

そのせいか外国人の参加者も多い。

講演が終わるとぐったり。

いかに第1言語(母国語)は、音楽のように脳に入ってきて理解されているのかを再確認。

会場で英語千本ノックを受けるとは(母国語と同様に英語が堪能なDrは日常でしょうが)。

 

外国の先生の招待講演は、以前は同時通訳でしたが今回はAI(と思われます)。

演者の話に応じて、スクリーンに和訳がどんどん出てきます。

そのまま訳してくるからでしょうか、文脈を読んで理解するのに精いっぱい(内容が高度だったせいもあるかもしれませんが)。

単語や言葉も状況に応じて使い分けします。

AI翻訳だと、言葉が生きていない気がしました(内容を理解していないままそのまま訳すみたいな)。

 

さて今回は、『レジェンドと語る○○』というシンポジウムも目玉。

○○は、目の各部位なのですが、緑内障セッションでは、院長の師匠であるY先生が登壇されました。

Y先生はK教授の招きで岐阜大学眼科学教室に来られ、研修医院長と入局は同年。

緑内障の手術が大きく変わって行く時代でした。

診療・手術や研究を大きく担っていたのが当時中堅どころのY先生でした。

緑内障の患者さんの眼圧日内変動を調べるため、研修医は2時間ごと24時間測定しました。

深夜から早朝は12時2時担当と4時6時担当に分かれるものの、2人ともそのまま仕事。

働き方改革などない時代、診療もやり研究(の末端)もやり、それでも一人前の眼科医になるためには必要なことと信じていました。

(お陰で博士論文が書けました)

Y先生は以前日本緑内障学会会長も。

今までの診療・研究の軌跡を発表されました。

 

『患者さんを診ていると見えないものが見えてくる、病気だけでなく患者さんの人生を診(見)ている』

Y先生の言葉を肝に精進していきたい!と改めて決意した院長でした。

 

さて、信心深い?院長。

今回は市ヶ谷の茶ノ木稲荷へ。

稲荷神社の御神使の白狐が茶の木で目を突き、それ以来崇敬者は茶を忌み、正月3が日は茶を吞まない習俗があったとのこと。

特に眼病の人は、17日あるいは37日21日の間茶を断って願えば霊験あらたかであったと言われています。

たくさんの眼病治癒祈願の絵馬が。

いつものように患者さんたちが良くなりますように。

 

科学(医学)は、事実の積み重ねをデータ化し解析し結果を考察し結論に至る。

その結果、新たな発見・真実に至ります。

だからこそ美しい!

 

目の神様は科学から離れて気(と脳)を緩ませてくれる場所です。

市ヶ谷の駅の傍には都会(新宿区)なのに釣り堀が!

桜の季節にお花見と参拝と釣り堀の3本立ても楽しそうです。

 

*4月29日、5月6日は公センセの部屋はお休みです。

■目の神様シリーズはこちらからご覧ください

目の神様in奈良&愛知

目の神様in 鎌倉

目の神様 in平泉

目の神様 in 仙台

やりなおしたい?

初めての御朱印

身代わりどじょう

目の霊山

余呉へGO,GO

鎌倉好き

医者も祈願する!?

 

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2025.4.15  運転外来

緑内障が専門(博士論文は緑内障)なので、地域のかかりつけ医でありながら、緑内障の患者さんは経年的に増加していきます。

長い人は、大学病院時代から30年以上。

開業して以来ずっと経過を診ている患者さんも多く、一生のお付き合いそのものです。

 

緑内障は、目の神経が主に眼圧によって傷つき、その結果視野欠損や視力障害が生じる病気です。

日本人の40歳以上では約20人に1人が緑内障という疫学調査の結果を見れば、40歳になれば一度緑内障の検査を受けたほうが良いです。

特に強度近視や家族歴ありの場合はリスクファクターです。

機器の進歩により、ごく早期の緑内障や緑内障グレーの状態も発見診断することが出来るようになりました。

 

中期・後期で診断、もしくは中期・後期になってくると、視野検査でも自覚するような視野欠損が出てきます。

視野検査では見えない部分は黒くなりますが、実際には、視野欠損はその部分が黒く見えるのではなく、なんとなくぼやけたように見えるのです。

しかも、片眼で見えない部分があっても、もう片眼で見えると、脳が処理して両眼では視野欠損がないように見えてしまいます。

このため、片眼が悪くても気が付かないことが多いのです。

 

中期・後期でも視力は保たれていることが多いので、自動車の運転をされる人がほとんどです。

眼科医としては、視野も重視し、運転時の注意すべき箇所をお話ししたり、時には返納を勧めます。

見えていると思っているけれど、意外と車を擦ったり、ひやりとした経験をしたりすることは多いようです。

 

緑内障で上方視野欠損があると、信号の見落とし特に近い距離で交差点が連続してある場合、向こう側の信号を見ていて手前を見落とすなどの危険があります。

また外側に欠損が及ぶと、飛び出しに対応できない場合もあります。

下方視野障害は、手元のメーターなどがすぐに見えない場合があります。

 

網膜色素変性症という病気は暗いところで見にくくなる病気ですが、徐々に周辺から視野が狭くなっていきます。

視力が良い場合、周辺の視野の狭まりに気づかないことが多く、脇からの飛び出しや変化に対応できなくなります。

 

脳梗塞など脳の病気、脳腫瘍などの病気でも視野に影響を及ぼすことがあります。

 

運転免許は視力だけで更新できるので、視野は不問にされています(特別な場合を除く)。

 

普段の診療では、視野欠損が運転に支障を及ぼす可能性のある患者さんには随時お話をしています。

 

そして…ついに名古屋市立大学付属東部医療センター眼科でも運転外来が始まりました。

全国4番目、東海地方初です。

緑内障などで視野に異常がある人の運転能力をドライビングシュミレーター(模擬運転装置)を使用。して判断できるようになりました。

 

車を発進すると、交差点や信号があったり、車や人が横から出てきたりなどいろんな場面に出くわします。

運転中どこに視線が向いているかを追跡記録されます。

その結果から医師が運転時に気を付けるべき具体的なアドバイスをします。

 

疑似体験はすでに昨年の学会で院長も体験。

今年の学会でも再体験を申し込みました。

視力視野が正常でも加齢による変化はあるはず。

体力知力気力に自信があるつもりの院長でも、あくまで同年代に比べて…と戒めも必要。

運転能力も然り、病気があればなおさら。

自分の視野と運転能力の関係を理解するために運転外来は有用と考えます。

 

運転外来は主治医の紹介状が必要です。

 

こちらもご覧ください

2024.6.11  運転止める?続ける?

砂嵐の運転

 

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2025.4.8  ずっと0歳

今年のお正月、一本の電話。

N保育士から。

毎年年賀状のやりとりをしていたのですが、今年は時勢に乗り?年賀状じまいの院長。

『あけましておめでとうございます!年賀状じまいにしたから思い切って電話してみたの!』

懐かしい声。

お互いの健康状態を確認してからおしゃべり。

『会いたいな~って、ずっと思っていたの』

『私も~。絶対会いましょう。思い立ったら吉日。いつにする?』

『こちらは時間あるから、長谷川さんに合わせるよ~』

ってことで、いくつか院長が候補を挙げ、その中で日時お店を決定。

 

第1子産休明けで大学病院復帰の新米ママ(院長・当時は最下位の医局員)。

N保育士は、院内無認可保育園の長男の担任でした。

まだコートの中にスッポリ隠れてしまうくらいの小さな赤ちゃんを預けて働く。

たとえ当直免除でも周囲に気を遣う(今みたいに堂々と権利を主張できない)し、子供のことも気になるし…

元気でやっているのかな?

昼休みにお乳飲ませに行けるかな?

朝微熱あったけれど、仕事中に呼び出されないかな?

などなど。

新米ママは心配が尽きません。

初めての子育てと仕事の両立。

当時の日誌には、毎日息子の健康状態や行動について、また母の質問が書いてあります。

母の相談にも乗ってくれた頼もしいN保育士でした。

 

大学病院のお給料(一番安かった)はそのまま保育料に消えていきます(一番保育料が高かった)。

無認可なので、バザーもあるし、保護者の掃除当番もあります。

仕事も中途半端(な気がする)。

なんのために働くのか?????

悶々とした日々。

 

自分で育てれば保育料は浮くけれど、眼科医のキャリアは中断。

継続持続勤勉が自分の強みだと思う今、中断なく眼科医を続けて来れたのは、保育園のお陰です。

新米ママかつ中途半端女医を励まし、子供の成長を一緒に喜んでくれたのは、保育園の先生たち。

 

実は院内のT保育所に預けていたのは数か月。

当時の医局人事は、大体1~2か月前に発令。

Noという選択肢はなく、医局に属するならYes。

最低在籍期間半年を切っての退園だったので、違約金も発生。

泣きそうになりながら支払いました。

 

半年に満たない在園期間でのN保育士との関りでしたが、年賀状のやり取りは続いていました。

しかし、何十年ぶりの再会にはドキドキします。

 

当日会って食事をすると不思議。

この約30年の空白がなかったようにおしゃべりが弾みます。

当時の同じクラスのAちゃんは今…Bちゃんは今…

そして長男Kも0歳の時の思い出。

N保育士にとっては、もう四捨五入30歳になる子供たちもずっとハイハイしておっぱい飲んでいる姿です。

 

長男の現在の姿は、0歳のキュートなKからは想像できないお兄さん(おじさん?)です。

が、写真を見て『うん、やっぱりここのところが似ている…』

N保育士の心の中で育っていったK。

誰かに想ってもらえているのは嬉しいことです。

 

開業して以来の患者さんはもう立派な成人なのに、初診で来院した小さい時の姿が焼き付いています。

だから何年かぶりかの来院で、成長した姿(目はもちろん!)を見ることは嬉しいものです。

N保育士の気持ちがわかります。

 

眼科医のキャリアだけでなく、人との出会いも保育園に預けたからこそのご褒美です。

働くお母さん、頑張って~

 

『必ず年に1回会いましょう!』

『絶対に会いましょう!』

また新しいお楽しみが増えました。

一緒に出勤&登園

 

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2025.4.1  頑張ったら …

先日Aさんの結膜炎の治療が終了。

『今回はこれでおしまいです。また、何かあったら来てください』治療終了の際のいつもの台詞。

『あの…私、どうしても先生に言おうと思っていたことがあるんです…』

え?!何々、この改まった雰囲気?!

『息子のT、覚えてみえますか?』

Tくん、もちろん!

中学受験して進学したところまでは覚えています(それ以降は受診なし)。

『何かありましたか?』

『実は…』

T君は、学校の色覚検査で受診勧告され、当院で再検査して確定した。

その際、色覚特性の話や、進路就職の選択可能性の話などAさん(母)とT君に話をしました。

『あの時の言葉に支えられて、進路を考えました。楽器を弾くのが好きだったので、そちらの方向に進み、今では音楽家になりました。

きちんと説明してくださって感謝しています。いつかお礼を言わないとと思っていました』

今回の結膜炎での来院がお礼のチャンスと思われたそう。

『Tももう30超えたんですよ』

年月が流れるのは早い。

『検索してみてください』の言葉に、立派な音楽家のT君が現れました。

 

T君の話を聞きつつ、院長脳内検索エンジンがかかっています。

『T君、妹さんいらっしゃいましたよね?』

『はい』

『Mちゃん?!』

『そうです、先生すごい!』

Mちゃんは、心因性視力障害でみていました。

心因性視力障害とは、目に異常がなくても、視力が低下したり変動が起こります。

また、特有の視野障害を起こすこともあります。

病名の通り、心因性で、家庭内(兄弟姉妹との関係など)、習い事、友人関係などが原因の場合と、眼鏡に憧れる眼鏡願望の場合があります。

気のせい…にしてしまわず、しっかりと子供の声を聴くことが大事です。

院長自身、偉そうに言いながら、子供にちゃんと向き合えなかった母親だった自戒を込めて、小さな患者さんに接しています。

Mちゃんは、小学校には馴染めなかったけれど、新しい目標に向かって中学受験に臨みました。

いつの間にか、視力も回復。

自身も心因性視力障害の勉強をさせてもらった患者さんです。

『Mちゃん、今は?』

『SEとしてIT企業で働いています』

T君、Mちゃん、二人とも立派な社会人になって院長感涙ものです。

 

その日一番のプレゼントでした。

 

最近は記憶する必要性がどんどん減っています。

カルテも名前や番号で検索すれば、すぐに病名も内容も見ることが出来ます。

しかし、検索してもわからないことがあります。

それが、患者さんとのエピソードです。

簡単なエピソードはカルテに記載しますが、もっと深い話や診療とは関係ないここだけ(診察室)のエピソードは、院長の脳内のみです。

それでも、何か関連ワードから脳内検索すると、不思議に出てきます。

さらに、その家族までが…芋づる式に出てきます。

脳内検索処理能力、捨てたもんじゃなさそう。

 

こういうことを言うと、息子たちから『デジタル処理能力は低いことも自覚しないと!』と厳しい言葉。

先日も新幹線をネットで購入したら、ICカードに紐づけすることを知らなかった院長。

『そのまま行っても、改札でひっかかってた』息子があきれながらも紐付けしてくれました。

ご時世的には、デジタル処理脳能力向上しないと!

 

とはいうものの、無機質なデジタル検索能力より、脳内検索のほうが、名前からモノクロ画像・思い出、まつわる暖かみと広がりをもたらしてくれます。

院長脳内の患者さんデータは門外不出であり、宝物です。

頑張ったら飛べなくても翔べる!

 

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2025.3 .25  頑張っても…

2019.7.30 見えるのに見えない

 

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2025.3 .25  頑張っても…

『色覚検査希望』で来院した大学生のX君。

現在は、小学校中学校で任意の色覚検査のお知らせを出しています。

院長子供時代は小学4年生で全員色覚検査を受けました。

今では、任意、希望者のみです。

 

まず、診察室で色覚検査を希望する理由を聞きます。

X君は某鉄道会社の説明会にて、簡易検査で異常ありと指摘されたそうです。

 

眼には赤・緑・青を感じる視神経細胞があります。

この三色の見分け方が弱い場合、色覚異常とされます。

赤と緑が同色に見える場合は非常に少ないです。

(昔、院長の愛読少女漫画では、色覚異常はこのように描写されていました)

例えば暗めの赤と暗めの緑など、同じ色でも色自体の明度や周辺の明るさによって見分けが困難になることがあります。

つまり似たような色の仲間に見えてしまいます。

学校や眼科で行う色覚検査は、まず異常の有無です(疑い含む)。

更に色相配列検査をし、タイプを分けます。

ここまでで、色覚異常の診断と説明は出来ますが、程度を判定する(希望なら)には、特別な機器がある病院を紹介します。

 

色覚異常が分かったところで治療法はありません。

まずは、今まで日常生活に支障を感じたことがないか。

あるならどんな状況で?

自分の色の特性を理解し、気を付けるべきこと(迷ったら明るいところで見る。この色とこの色の組み合わせは注意。触ったり周囲の状況もみて色間違いを防ぐなど)を話します。

一般に日常生活に大きな支障がある人は稀です。

自動車運転免許も取得可能です。

 

職業の選択は以前よりもかなり門戸が広がりました。

これは、院長よりももっと先輩眼科医たちの働きかけの賜物です。

しかし、鉄道運転士やデザイン・色に関わる仕事はまだまだ門戸が閉ざされています。

 

X君は運転士希望でした。

『頑張ってもなれないんですね…』

色覚異常について説明しましたが、励ましも届かないくらい落胆していました。

運転士にはなれなくても、きっとX君に合う仕事があるはず。

そう願わずにいられません。

 

色覚異常は男子の約20人に1人、女子の約500人に1人です。

色覚異常の生徒の約半数は、検査を受けるまで自覚がありません(日本眼科医会調査)。

異常のタイプや程度により、一部の仕事に支障を来たすことがあります。

進路を決める前に、自身の色覚特性を知っておいた方がいいでしょう。

 

学校で受け忘れても眼科でいつでも受けることが出来ます。

先天性の場合、一生変わらないので、検査は一度診断も一度です。

 

この年になると、頑張ってもできないことがいかに多いか知っています。

頑張る前に身体特性(色覚も含む)や知的能力で不可能なこともたくさんあります。

努力で補える範囲の自分の強みで生きていくしかない、と思います。

もっと違う可能性もあるのでは?などと自分探しをした若い頃。

それでも一つのこと(眼科医)を休まず(三男出産前日まで診療、出産1週間後から再開今に至る)続けてキャリアを積み上げてきました。

地域医療のかかりつけ医として少しは貢献できていることを願います。

 

どんな仕事も社会に貢献しています。

X君ももがいて悩んで、きっと自分に合った職業が見つかることを期待しています。

 

色覚検査は随時行っています。

自分の特性を知り、その上で頑張れば掴めるもの(仕事・職業)は必ずあります!

先入観に囚われない

 

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2025.3.18 死は幸せなこと?!  in メキシコ

2024.5.14  校医のトリセツ

2020.11.24 加齢と色覚

2017.5.30 2017学校検診

2016.3.22 学校検診の変更

2015.7.21 色覚検査見直し

 

 

 

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2025.3.18 死は幸せなこと?!  in メキシコ

ペルーを旅した院長ですが…

乗り換えの時間を利用してメキシコシティを少しだけ観光。

 

メキシコはスペインが植民地とした後、湖の上に建設された標高2240Mの都市です。

多くの世界遺産があるのですが、古い建物は傾いています。

そして少しずつですが更に傾きつつあるとのこと。

地下水のくみ上げにより、世界で最も地盤沈下が加速しているシティです。

 

国立人類学博物館にはメキシコ古代文明遺跡からの出土品の数々が展示。

無知故ガイドさんの説明を一生懸命聞いて『へ~!』の連続感嘆詞。

メキシコシティ郊外で発掘されたマンモスの骨も。

愛地球博(2005年の愛知万博)ではロシアの冷凍マンモス。

生物や人類の誕生・進化・移動も勉強になりました。

 

名古屋市とメキシコシティは友好姉妹都市です。

名古屋市民なのに初耳。

偶然にも前市長はどちらも国政に転身(名古屋市→国会議員とメキシコシティ→大統領)したとのこと。

 

歩いていると、すれ違う人々(メキシコ人)はみんな体にフィットした服装です。

日本人だとスレンダーな人でも積極的に体のラインを出す服装の人は多くありません。

一般的には、いくらか隠す服装緩めの服装です。

恥ずかしくないのかな?

視線が気にならないのかな?

ガイドさんに尋ねると

メキシコでは、胸とお尻が大きいことは魅力である。

それらを引き立たせるために、身体の線を出す装いをする。

自身のアピールでもある。

日本人の適度にふっくらではなく、肥満と断定できるほどの人たちもフィットした服です。

あれだけしっかりお尻を強調するなら、当然Tバックが主流なのも納得。

 

ふくよかさが良い価値観とはいえ、肥満の人が多いのには驚きです。

油分・糖分多い食べ物に合わせてコーラ。

量・カロリーとも相当オーバーです。

美味しそうに完食。

食習慣により肥満大国となり、糖尿病患者も激しく増加しているそう。

糖尿病は進行すると失明することもある怖い病気です。

定期的な眼科受診は必須です。

また、腎障害や末梢神経障害も合併します。

 

私達のランチのメインはトルティーヤ(トウモロコシ粉や小麦粉で作る薄焼きパン)で煮込みポークを巻いて、カカオソースとチーズが掛けてある一皿。

手の込んだ料理だそう。

出てきたのは、クレープのチョコレートソース掛けをイメージする一皿。

美味しいのですが、甘味のないカカオソースに視覚・味覚の脳内処理が追いつきません。

カカオ=甘い、の先入観がぬぐい切れず、美味しいのかどうか不明。

カルチャーショックの一例。

 

さて、メキシコでは、たくさんの骸骨の人形や置物が売られています。

骸骨は、現地ではカラベラというそうです。

メキシコ文化からの流れで、亡くなった人は悲しい思い出として記憶に残るのを嫌がり、死は幸せなことであるべきと考えられています。

死は生の延長であり、その一部である。

死を受け入れ生を楽しむ。

カラベラは、悲しみでなく喜びの象徴であり、来世で幸せな生活を示すために、踊ったり楽器を弾いたりと楽しい姿に描かれています。

毎年11月1日と2日の『死者の日』は、亡くなった家族への愛と敬意を示すお祭りです。

 

日本の死生観とは違う…

 

キュートなカラベラをたくさん目にして、死にポジティブな印象を抱くラテンの思想もいいなぁと思った院長です。

 

院長には、あんなことがあったなぁとふと思い出し自分が温かくなる故人(患者さんも含む)がいます。

ふと思い出されて懐かしい思い出にちょっと浸ってもらえる…

たまに出てくるカラベラになりたいです。

 

こちらもご覧ください。

2025.2.18 幸せの黄色 in ペルー その 1

2024.3.4 幸せの黄色 in ペルー その2

 

カテゴリー:健康 公センセの想い 公センセの日常の出来事

2025.3.11 こすってますか?

この季節、受験生の患者さんたちの嬉しい報告が。

『おめでとう!』

『良かったね!』

『もうそんなに大きくなったのね~』

隣のオバサン(院長)です。

 

コンタクトレンズデビューも多くなる時期です。

 

衛生第1で選ぶなら、1dayタイプのSCL(ソフトコンタクトレンズ)をお勧めします。

もちろん1dayでも使い方が悪ければ、感染など病気になることもありますが。

 

実際には、2週間タイプ(もしくは1か月タイプ)のSCLユーザーが半数以上を占めています。

 

当院では、必ず院長が目に異常がないか確認、また度数は適正かを把握しています。

過去の使用歴・病歴はAI並みに院長の頭に入っています。

アレルギーが出ていれば、CL装用時間や洗浄方法などを聞いたり、中止して点眼処方をしたり。

『こすってますか?』

かゆい訴えの患者さんは、目をこすっています。

かゆいからこする→こするからかゆいの負のループです。

 

また別の意味での『こすっていますか?』

CLの洗浄の仕方です。

 

1990年代は、日本ではHCL(ハードコンタクトレンズ)が主流。

SCLは特別な人が装用するもの。

当時白内障手術は、眼内レンズの挿入がやっと始まった頃。

それ以前は、濁った水晶体のみ除去し眼内レンズは入れない(まだ未開発)手術だったので、白内障手術を受けた人がSCLで視力を矯正していました。

当時は煮沸消毒。

 

その後、海外から使い捨てSCLが導入され、今では日本でもSCLが主流です。

それに伴い、MPS(マルチパーパスソリューション)という、1本で洗浄・保存・すすぎ・消毒が出来るケア用品が発売され、SCLユーザーはほとんどMPSを使用しています。

 

『こすってますか?』

1日はめた後のSCLには約100万個!の菌が付着しています。

両面30回こすり洗いをすると1万~10万個(1/100~1/10)へ減少。

すすぎをすると10~1000個へ。

MPS保存前は10~1000個と報告されています。

 

両面とも30回、こすっていますか?

外して液に浸けるだけで翌朝装用…

気持ち悪くないですか?(100万個の細菌がまた目に入る)

怖くないですか?

角膜に傷があったりすれば、確実に角膜炎の引き金になります。

『しっかりこすって~』

『保存液は毎日交換して~』

4時間は浸けないと消毒になりません。

 

MPSの不適切なケアによる合併症が増加している中、注目されているのが過酸化水素によるレンズケアです。

過酸化水素は強い消毒効果があります。

ただし、過酸化水素そのものを目に入れると大変なことになるので、液が中和した後SCLを使用することになります。

6時間、確実に消毒すれば(時間を守る)こすり洗いをしなくてもOK。

また洗浄力が高いので、アレルギーでSCLが汚れやすい目の人には最適です。

 

過酸化水素は、洗浄消毒に2ステップかかるため、MPSが主流でした。

しかし、遂に1ステップタイプが登場。

1本を専用ケースに入れるだけで終了です。

誤使用防止にノズルを押し込まない限り液が出ない仕様(安全ロックノズル)になっています。

眼科医は、どちらかというと過酸化水素での消毒洗浄を勧めます(当院取り扱いあり)。

毎日両面30回こすっていると答えられる人はMPSで続行OKですが。

 

コンタクトレンズもケア用品も時代により変化します。

患者さんの眼の状態、コンタクトの使用状態、ライフスタイルなどから、いつも最新の情報を提供したいと思っています。

 

伊豆の河津桜です

カテゴリー:眼に関すること

2024.3.4  幸せの黄色 in ペルー その2

マチュピチュ遺跡はアップダウンあり、1日かけて歩くと1万歩超。

ナスカの地上絵へまでは、セスナでアンデス山脈を越え、砂漠を渡り、旋回飛行で主翼が指す絵を見ます(探します)。

スコール・乗り物酔いなどアクシデントも。

百聞は一見に如かず。

 

クスコは3360Mの標高で、マチュピチュも含め訪ねた村や塩田はアンデスの高山地帯にあります。

アンデス=高山病。

医学部時代に勉強した記憶が呼び起されます。

 

高山病とは、気圧が低く酸素濃度の低い高地へ行くことで、体内で使える酸素が少なくなり.頭痛・吐き気・嘔吐・ふらつきなど(酔った感じ)が起こる病気。

高度が下がるにつれて症状は改善しますが、ひどい場合は酸素吸入やダイアモックス@(炭酸脱水素酵素阻害薬)を用います。

脳の血管を広げ血流を増加、脳内の低酸素状態を改善。

3000M以上の高地では発症率は約40%。

ダイアモックス@の内服が効くと言われています。

 

ダイアモックス@は、実は眼科医にはおなじみの薬です。

眼圧がある程度以上高くなった時に眼圧を下げる内服薬としてよく処方されていました。

カリウムが不足することが多いのでカリウムを同時に出したり、全身の副作用に注意しなければいけませんでした。

しかし25年ほど前に、同じ成分の点眼薬が発売。

緑内障治療において画期的な点眼薬の登場です。

今では緑内障患者さんに、同種の内服薬を処方することはほとんどありません。

 

幸い高山病にはなりませんでしたが、クスコよりも標高の高いチンチェロ村(3750M)では空気が薄い自覚はありました。

長閑な山岳農村地帯で人々は普通に生活しています。

(医学部ではなぜアンデスの人々が高地で普通に生活できるかも勉強しました)

やや小太りの浅黒い顔、山高帽にカラフルな民族衣装。

 

アルパカやリャマの毛を糸にし、染めて織っていく伝統工芸。

赤はカイガラムシをつぶしたコチニール色素から出す貴重な色だそうで、その深紅色に魅せられてしまいました。

 

 

マラスの塩田(3200M)は、泉から湧き出る塩水が流れていき、約3000の棚田を作っています。

塩水を天日で乾燥させて塩を生成するそうです。

段々の緑の田んぼではなく、全部真っ白な塩の田んぼ。

巨大なチョコレートのかけらのようです。

塩田ごとに所有者が違い、嫁入り道具として使われるとか。

 

ペルーは美食の国とのこと。

ほとんどの食材が手に入るそうです。

中でもジャガイモはペルーが発祥とされており、何十種類も。

市場でもカラフルなジャガイモが多種売られていました。

乾燥芋(天然のフリーズドライみたいな)もあり、何十年と経たものでもお湯で戻せば食べられるそうです。

ガイドさんに、インカの目覚め(日本産ジャガイモの名)を教えたら喜んでいました。

 

そしてコカ(の葉)。

コカの葉から抽出されたコカインは麻薬(違法)だけでなく、麻酔薬として医療用に用いられています。

ペルーではコカの葉が普通に売られています。

コカ茶やコカ飴も。

コカの葉自体はコカイン濃度が低いので、依存性は抽出コカインに比べて低いそう。

現地の人たちは好んで口にします。

高揚感が出たり、疲労空腹の軽減になるそうです。

コカを含んだ食物は国外に持ち出し禁止なので、珍しさで買ったコカ飴はペルー内で消費しました。

 

ペルーの魅力はまだまだたくさん。

わずかですが、行って見て知ったからこその産物。

Gracias peru!(ペルー、ありがとう!)

 

 

3月2日(日)の中日新聞に記事が掲載されました。

 

 

 

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2025.2.18   幸せの黄色 in ペルー その 1

『面会希望の方がみえています』

『誰?』

名刺を見ると『駐名古屋ペルー総領事』

心当たりはありますが、まさか?!

 

大晦日から新年をペルーで迎えた院長です。

新年を祝う色は黄色。

町の飾りも黄色一色。

黄色い布や風船がはためていました。

お店では、黄色の下着が積まれていました。

黄色い下着で新年を迎えると幸運が訪れるとのこと。

(巣鴨商店街の赤い下着のディスプレイに似ています)

 

マチュピチュ村での年越しは、各自黄色いものを身に着け、花火を打ち上げます。

院長も黄色い造花の首飾り(診察室にあり)をして、花火を見ていました。

24時を過ぎると、黄色い花びらのシャワーが。

花火に興じる人、ワインで乾杯する人、抱き合う人、色々でした。

 

日本の紅白・中国の赤以外に黄色一色のお祝いムードに圧倒された院長。

赤が一番好きな色ですが、次は黄色になりました。

色だけでなく、様々な体験に興奮冷めやらぬまま帰国。

溜まっていた新聞に目を通していた時のこと。

某新聞の外交便りにペルー総領事の寄稿が。

ペルーのお正月の縁起の良い黄色について書かれていました。

そうそう、これこれ。

休刊にしておかなくてよかった。

嬉しくなり、早速お手紙をしたためた院長。

 

まさか、直接来訪されるとは…

総領事さんは非常に温厚な感じの方。

ちょうど空輸(スーツケースに入れて)したインカコーラ(ペルーの黄色いコーラ)があったのでお出ししました。

通訳を通し(スペイン語なので)、手紙を読んだこと、ペルーに来てもらい感謝していることを述べられました。

旅の思い出、ペルーについて民族・生活・医療・文化など現地で知ったり感じたことを話しました。

 

また、ペルー人の日本語ガイド第一人者が書いたペルー(特にインカとアンデス)についての本を購入し、読んで学んだ感想も。

 

ペルーは日本の国土の3.4倍。

スペインの植民地を経て1821年スペインから独立。

スペイン人(白人)のような顔立ちもあれば、アンデス(先住民の血が入っている)の顔だちもあれば、日系人(アジア系)もあり、あらゆる血筋の人々の国です。

新疆ウイグルへ行った時もそうでしたが、世界には色々な人であふれており、共存していることを改めて感じます。

公用語はスペイン語ですが、アンデスのガイドさんは普段はケチュア語を話すと言っていたし、日系のガイドさんは日系1~2世とは日本語で話すそうです。

日系人は勤勉ゆえ、どの業界でも要職にあるそうです(日系のガイドさん談)。

ただし、そこまでの苦労は並大抵ではなかったとのこと。

経済の多くは観光業で支えられているためか、ガイドさんはペルーへの来国の感謝と自国の素晴らしさをアピールしていました。

 

世界遺産だけでなく、自分なりに垣間見た文化や生活はずっと記憶に残ります。

 

『またペルーに行きたいですか?』と聞かれ、

『はい、是非!』とは言ったものの

『かなり遠いので、なかなか直ぐには…』と付け加えると

『うん、うん』と頷かれました。

 

『知りたいことや行きたいところがあったら何でも質問・連絡してください』

『はい、是非!』

たくさんのペルーの観光パンフレットを持って来られました。

アマゾンも気になる…

ペルー再訪実現するか?!

 

やりたいことリストに追加です。

 

カテゴリー:公センセの日常の出来事

2025.2.4 怒ってもいい!

産業医資格を継続するには、定期的に研修会を受講(勉強)しなければいけません。

何でもそうですが、資格は取るよりも取ってからが大事&大変、少なくとも現役でいるためには。

 

今回は、日本産業ストレス学会で研修を受けました。

この学会参加は初めてですが、ストレスにかかわる各種業界(医療だけでなく)から会員は構成されているそうです。

産業保健という専門分野があるほど広く深い領域。

院長はほんの少しの関わりですが、勉強できる時はせっかくなので集中!

 

今回、特に興味を持ったのは、職場におけるアンガーマネージメント

『アンガーマネジメント』とは、怒る必要のあることは上手に怒り、怒る必要のないことは怒らないようにすることだそうです。

実地研修だったので、グループ(産業医の)で起こることのデメリット・メリットを挙げてみることになりました。

私たちのグループで出たのは

デメリット:自分が体調不良になったり落ち込む。関係性が壊れる。本質が伝わらないなど。

メリット:感情の発散(負の感情をため込まない)。相手に伝わるなど。

院長もよくプシュプシュ(小さな怒り)する方なので、負の感情をためないでいるのかも?!と振り返り。

 

怒りとは、自然で必要な感情のひとつ・コミュニケーション的機能であり身を守る防衛感情なのだそう。

個人差はありますが、エネルギーやパワーになるとも。(←院長に若干当てはまっています)

 

しかし、多様化の時代。

医療者の感情労働(感情を抑える)や職場のメンタルヘルスにおいてアンガーマネジメントの必要性が叫ばれています。

 

怒りはなぜ起こるかというと、理想と現実にギャップがあるから。

私の~べき・はずと他の人の~べき・はずは違うこと。

時代や立場・場所によっても変わることを認識することが必要。

 

また自身のメンタル(苦しい・悲しい・疲れた・怖い・空腹・眠いなどなど)が不調だと、怒りは生まれやすくなります。

 

怒ってもいい。(←ちょっと安心)

 

でも問題となる怒りもあります。

1.激高して謝罪しても許さない。

2.怒りを持ち続ける(前も~だった)。

3.頻度が高くいつも不機嫌。

4.怒りを人に(溜息・舌打ち)物に、自分(リストカット)にぶつける。

 

アンガーマネジメントの3つのコントロールとして

1.衝動のコントロール

怒りが出たときすぐ発散せず6秒待ってみる(深呼吸1回)

2.思考のコントロール

日時場所感情怒りの強さを振り返ることで、自分の怒りの傾向・パターンが見える

3.行動のコントロール

怒りを感じたときに重要・非重要/すぐ対応・放置と分けられるようにする

 

アンガーマネジメントに関する本は、以前何冊か購入して読んだことが。

息子たちに怒ってばかりの自分が嫌で読んだものの、結局母(院長)のべきと息子たちのべきは全然違うことが理解できませんでした。

社会人になった息子たちに、酒席で諭されます。

『親の言うとおりになる子供のほうが少ないんやで~』

『親と子供は違う人格なんやで~』

今ならもっと上手く子育てできるのに…

すごく焦っていたあの頃。

非常に長かった子育てを卒業した今、わかります。

 

今回も職場のスーパーはメンタル不調者なし。

スーパーもお客さんに対しての感情労働です(肉体労働もあるけれど)。

年末年始忙しかったそうですが、スキマバイトも動員して乗り切ったようです。

インドネシアの技能実習生たちは、仕事も日本語も上達し嬉しい限り。

産業医(院長)も頑張ります!

 

卵が茹るまで怒りを待てたらすごい!

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